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その従魔おかしくないですか?~ダンジョンボス(元人間)ですが、主人の平穏な生活目指して頑張ります~  作者: 東風 晶子
第2章

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45.助修士のルーチェ

しばらくお休みしていました。待っててくださった方、ありがとうございます。

ちょっとpixivの方でエイプリルフール締め切り(自分設定)の小説がありまして…無事終わったので、またこちらに注力していこうと思います。遅筆ですがお付き合いよろしくお願いします。

 冒険者『ルーチェ』は、セラータ教会の助修士だ。

 白っぽい髪に色違いの目、暗い色のローブを纏い、顔の大部分を仮面で隠している。

 生まれは隣国シュマーナ王国。

 そこで事故に遭い、顔と喉に酷い怪我を負った。幸いなことに声が出ない以外は健常者とかわりなく、身を寄せた教会では力仕事を請け負っている。

 冒険者をはじめたばかりのノアの護衛兼保護者として、共に冒険者として活動している。


 ――というのが、俺の"設定"である。

 今回、ここに「投薬治療の甲斐あって喉の機能が回復した」という文言が追加された。

 やたらとエリアーテの薬草依頼を受けていたことを利用した形だ。あれこれ説明せずとも薬で治ったと言えば、ギルドの職員はエリアーテの存在と結びつけるだろう。何らかの形で薬を融通してもらったのだと勝手に解釈する。

 そのあたりの情報がない冒険者たちは、突然俺が喋りだせば困惑するだろうが、ぶっちゃけそれはどうでもいい。やりとりがあり、信用を得なければならないのはギルドの職員相手である。最低限、彼らさえ納得させられれば問題ない。

 とはいえ、エリアーテに迷惑がかかるのは本意ではないので、詳細はなるべくぼかす予定だ。そもそもそんな薬は存在していないわけだし。


「まあこんなとこが妥当だろ。ちゃんと頭に叩き込めよ」


 ギルドマスターの言葉に、ノアが頷きながら設定を復唱している。

 設定が複雑になってきたな、という俺の内心の嘆きが伝わったわけではないだろうが、「お前らに任せるのは不安」という理由でギルドマスターの監修の下、設定を(まと)め直すことになった。

 シュマーナ王国から教会に流れ着くまでの大まかなストーリーと、そこからノアの護衛になったくだりを、違和感をもたれない程度に作り込む。

 人前で公表する予定はなくともある程度作っておけと言われたので、俺の以前の仕事は『狩人』ということにした。生前はほぼ無職だったのでアレだが、幸い、父と兄のおかげでその辺りの知識はある。負傷も、魔物の酸性の体液を浴びた、とでもすれば問題ないだろう。実際、2000年前はそういう魔物もいたので。

 ついでに顔も治ったことにしてはどうかとダメ元で提案したけれど、やはり却下された。

『治ってソレは逆に怪しい』とのこと。まあ少しの傷跡すらないのは不審といえば不審か。俺がもう少し器用だったら適当な傷跡を作ることもできたかも知れないが、生憎そこまでの器用さはない。うっかり元の泥人形形態に戻ってしまったら洒落にならないので挑戦はしないでおこう。


「そういや、ランクアップの説明はきいたか?」


 懸命に復唱しているノアを横目に、ギルドマスターが確認してきた。

 受付嬢の説明で大まかなところは理解できたつもりなので、頷いておく。細かいところは、都度『炎の剣』にきけばいいだろう。受付嬢からも勧められたし。


「なら今後、マリード以外の町にいくこともあるのはわかるな?」


 ランクアップによって依頼の範囲が広がる。内容もだが地理的な範囲も広がるため、その可能性は十分にある。例えばマリードから隣町までの護衛依頼だとか、素材の採集でマリードから遠く離れた森までいくとか。

 頷いた俺に、ギルドマスターは真剣な顔で言葉を継いだ。


「そうなったらまず冒険者に注意しろ」

「……冒険者に?」

「お前らと同じDランクならまず気にしなくてもいい。Cランクもまあ……今のお前なら誤魔化せるだろ。ただBランク以上の連中はダメだ。お前の正体は見破られると思え」


 熟練の冒険者や上位ランクの冒険者ほど、俺の異常性に気付きやすいらしい。

 色々な魔物と対峙する機会が多い分、魔物の気配に敏感になるようだ。自身もそのひとりであるギルドマスターも、直感的に「わかる」のだと言っていた。ちなみにどこがどうとは説明しがたいとのことで、いわゆる第六感のようなものだろうと解釈しておく。

 勘の良い冒険者ならばCランクやDランクでも気付かれることもあるようだが、稀とのこと。


「冒険者全体でいえば、Bランク以上の上級冒険者は一握りだ。マリードで暮らしてる程度ならすれ違いもしねぇが、王都にいけばBランクなんてゴロゴロしてるからな」


 むしろ実力のある冒険者ほど、王都に集まるらしい。

 依頼も()り取り見取り、全体的に報酬も高め、となればこぞって王都に行きたがるのも理解できる。ただその分、良い依頼は奪い合いになるので、皆が皆良い思いができるわけではない。王都に拠点を移したことでかえって生活が苦しくなり、また他の町に移動する、なんて話はよくあるそう。


「ま、ここで活動するうちは適当に誤魔化してやる。だからって庇いきれねぇようなことやらかすなよ。あくまで冒険者らしく……いや、人間っぽく振る舞え」


 ギルドマスターの言うことはもっともなのだけれど、念を押されるほどやらかしてはいないと思う。彼にとってはやらかしである諸々も、殆どが俺の意思と関係のないところで起きたことだ。

 今後はそこまで彼を煩わせることもないだろう。

 人間らしく振る舞うのは得意だ。何しろ中身は元人間である。2000年前の人間だとしても、それなりに常識はちゃんと残っている。

 晴れて会話も解禁されたことだし、多少の粗はどうとでも誤魔化せる。困ったら全部「怪我のせい」ということにして情に訴えればうやむやにできるのではなかろうか。使えるものは使わねば。


「……おい、ノア。こいつの手綱(たづな)はお前だからな。なんかヤベェことしそうだったら止めろよ?」


 俺の内心を読んだわけでもないだろうに、何か感じたのかギルドマスターがそんなことをいう。


「森淵猪、埋めたのは大丈夫なこと?」

「残りの処理か。それは問題ない。むしろ良い判断だ」


 ノアのなかでは、森淵猪を埋めた行為が疑問だったらしい。

 そういえばあまり説明していなかった。レテでは、持ち帰れない死体はその場で処分するのが常識だったのだ。方法はどうあれ、その場に放置すると血の匂いを辿って新手の獣や魔物が現れるので。


「あとは……あ、そういえばお話しました。楽園の蛇のお姉さん達と」

「ああ、知って……まて、話したってのは、まさか」

「そういえば俺も話したかな」


 ノアの発言に、数日前の記憶を引っ張り出す。

 俺がうっかり森淵猪を素手で倒してしまい、どう誤魔化そうかと焦っていた時だ。ノアに説明を放り投げていたのだが、孤児院に関わる話しになってきたので少しだけ口を挟んだ。ノアが説明してくれるとは思ったが、下手をすると孤児につきまとう不審者認定されかねなかったので。まあほぼ事実なのだけれど。


「余計なこと言ってねぇだろうな……?」

「ノアの説明に少し補足しただけだよ」

「なら問題ないのか……? いや、何も妙な報告はなかったし……大丈夫、なのか……?」


 ブツブツと呟くギルドマスターに首を傾げる。さきほど「誤魔化せる」と太鼓判を押してくれたのに。


「あいつらは全員Cランクだ」


 しかも割と()()()()部類の冒険者らしい。

 なるほど、気づくかもしれない稀な冒険者たちである可能性が高いと。それは彼が慌てる訳だ。

 だが、振り返ってみても彼女たちの反応におかしなものはなかった気がする。


「過ぎたことはしょうがねぇか。お前が喋ったのが逆によかったかもしれんな。ま、次から気をつけろよ。ああ、それからもうひとつ。ダンジョン内も注意しろ」


 ここマリードで、Bランク以上、いわゆる上級冒険者と出会う可能性が一番高い場所らしい。

 ダンジョンにはボスがいる。

 ボスを討伐すると、記録としてギルドに名前が残る。そして倒したボスは必ず素材を残すのだそうだ。

「お前知らねえのか?」と俺の正体を知ってるギルドマスターに問われたが、中の人は2000年前の人間なので知るはずもない。そもそもボスの仕様なんていちモンスターが知ってるとも思えないし。

 ともかく、ボスに挑戦するメリットは大きく、ボス目当てでダンジョンを訪れる上級冒険者も多いとのこと。

 ボスといったら『泥木の王』くらいしか知らなかったが、どうやら下層にも2体ほどいるらしい。他にも、レア度が高く強力なモンスターが複数いるようだ。やはりあの時降りてみなくて正解だった。

 とはいえ、ダンジョンに行くことはさほどないだろうなと思う。

 魔石やコアは確かに魅力的だが、必死に稼がねばならないほど金銭的に追い込まれているわけでもない。ノアの成人までは生活拠点は孤児院だし、杖を含めた装備も一通り揃っている。

 いずれ自立する時のために貯蓄の必要はあるけれど、今すぐどうこうというわけではないのだ。

 俺としては、現状維持でもまったく構わない。討伐依頼もそれなりにこなせるようになってきたし、口が利けるようになった今、他の依頼でも役に立てる筈だ。報酬が少なくても安全に経験を積めるならそれが一番だと思う。

 なにより7歳児に日帰りできないような距離の依頼を受けさせる気はなかった。絶対アンジェリカに怒られる。俺が。


「それからこの調査依頼、ジーク達と合同で受けろ」

「合同で?」


 ジークたちとはこれまでも何度か一緒にダンジョンに潜っている。見知らぬ冒険者と組むよりはずっといいが、なぜだろうか。俺が「普通の冒険者」だとアピールするのが目的ならば、ジークたちと一緒にいるのは効果が減りそうな気がするのだが。


「お前ら調査依頼なんて初めてだろが。あいつらは何度かやってるから、要点がわかってる。勉強してこい」


 あと単純に不安だからな、と続けられた本音に納得する。要はお目付役ということらしい。


アルファポリスとのマルチ投稿?をはじめました。

カムバックキャンペーンに釣られて……文章量的に一括で更新するのは骨が折れるのでちまちま投稿しておりますが、あちらが最新話においついたらこちらと同時投稿する形になると思います。

読みやすい方でお読みいただけたらと思います。(アルファポリスでは3000文字~4000文字程度に調節しています)

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