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五八三七G3の酒の肴  作者: V4G3
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温暖化の夏と枝豆のにんにく炒め

「じーさん、やっぱりビール。あ、黒にしてみようかな」

「エビスの黒、缶になるけどいいかい」

「ノープロブレム」

「あいよ」

「冷えたグラスが嬉しいね。エビスの黒ってイメージがちょっと笑うセールスマンだけど。あ、やっぱりコクがあって甘みがあって美味しい」

「そして、ビールの定番、枝豆」

「えっ、枝豆、なんか変」

「枝豆のにんにく炒め。堅めに茹でた枝豆を、ニンニクのミジン切りと炒めて、ちょっと醤油を回しかけた。鞘ごと口に入れて豆だけ食べるのがいいよ」

「へぇっ、あ、味が濃くて、これ、いいね。確かにビールのアテだ」

「ま、茹でた枝豆だけじゃ、さすがに飽きてくるからね」

「全く、九月に入っても残暑どころか夏本番が続いてる感じで、ビールだけで生き延びてるからね。枝豆だけでもキロ単位で食べてる」

「熱帯夜も続いてるしね」

「これが地球温暖化ってことなのかね」

「まぁ、温暖化だから暑いって言うわけじゃないだろうけど、異常気象の原因のひとつではあるんだろうね。極地の氷も溶けるし、海流や風の流れも変わるし」

「でも、本当にそんなに深刻なことなのかなぁ。人為的じゃなくても地球の温度は、かなり高くなった時期や低くなった時期がある、って聞いたことがあるんだけど」

「そうだね。人類史上でもそういう経験はあるのかもしれない。だから今の温暖化が直接の原因で人類が滅亡するとか、哺乳類が絶滅するとか、そういうことはないんだろうと思うよ。ただ、億単位の人がその影響で飢えて死んだり、国の経済が破綻したり、島が沈んで海岸線も全く位置がかわってしまうことは、ありえると思う」

「それ、とんでもないんじゃ…」

「でも古代なら、そういうことが世界で起きてても、誰も知らなかった。自分たちが苦しかったり、生き延びられたり、それだけだから。日本で考えても、人類史から見たらつい最近の江戸時代に、アメリカ大陸で国が滅びるような災害があったとしても、日本人は知りもしなかっただろうからね。それに実際、有史より遥か前に、人類は一度、絶滅寸前まで数を減らした時期もあるらしいし」

「でも、今、そんなことが起きたら、世界中で大騒ぎに…」

「そう。そして自国も苦しい中で、他国に手を差し伸べられるか。その代償は何か。結果としてどの陣営がどういう行動で優位に立つか。難民はどこに行くか。どう受け入れるか、受け入れないか。生き残りという正当化の名分を掲げて、暴力込みの実力主義と格差拡大が、生活圏レベルから国家間レベルまで幅を効かすかもしれない。その結果として勃発頻発する戦争の方で、人類が滅亡する可能性もあるかも。だけど直接の原因は温暖化のせいじゃないよね」

「う、ううっ。なんだか、人類が発展してきたからこそ、温暖化が大問題になりそうなんだなぁ」

「そりゃ、CO²による温暖化自体が人類の発展の副産物なんだから、当たり前だよね。温暖化ってのは、人類が地球環境全体に影響を及ぼすことができることを証明したし、それを世界中の人がそれを意識できてしまった」

「そうだなぁ」

「温暖化の最大の問題は、問題の影響も解決手法も問題に関する情報の共有範囲も、全部、国の範囲を超えていて、最大の国家、最強の国家でも一国では対応できないのに、解決に向けての行動は各国家が最大規模ってことだろうね。国連は国家の調整と連携を推進することはできても、行動単位になれないから。だから深刻で各国に影響の多い問題には無力って言いたくないけど、有効性が乏しい」

「そうだね」

「国家って枠組みは、人類の発展に追い付いていないんだ。温暖化のような問題も、エネルギー問題や食糧問題も、宇宙開発も、人工知能も、情報ネットワークも、全部全部、国家単位じゃ力不足だ。各国家の自治は認める、固有の文化も守ろう、だから行政機能だけでも、上部組織ができないかな、と思ってしまうね。俺は文句言いだから勘違いされるんだけど、日本が嫌いなんじゃ絶対になくて、国家って概念の地位を下げたいだけなんだよ」


ちょっと短めです。また少し投稿できないかもなので、とりあえず何とか1話。

遅ればせながら評価を下さった方、厚く御礼申し上げます。

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