エピローグⅠ
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無言で、見つめ合う。何も。・・・なんにも、変わらない。
おまえのその。・・・瞳。・・・・・
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「おれ、さ・・・おまえに、恋しちゃって。」
「・・・それは。・・・仕方のない、ことですよ。」
「・・・。」
「僕、天使だもん。」
「・・・。」
・
「そっか。」
「そう。」
「そうだな。・・・・」
・・・そうなの、か。・・・・?
「恋させて。連れてくの。」得意げに、あいつが言う。
「たけし、僕とキスしちゃったもんね♪」ぱちっと。おれに向かって、華麗に、ウインクして見せる。
「・・・・・。」
「もぅ、たけし頑固だから。なかなかキスしてくれないんだもーん、もぅ☆」
・・・もぅ☆、じゃなくてさ・・・・
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・・・じゃなくてさ、おれの。一世一代の。・・・・・
・・・キスを・・・・命がけの、全身全霊の、・・・キスを。・・・・
・
・・・。
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・・・ぁ、れ?・・・ほらあれ・・・どこ行った、おれの・・・・
守ってやる設定、おまえを・・・・・
助けてやる設定・・・・・
「ん?」
「・・・。」
・
・
・・・ぃゃま、ぃっか・・・おまえ。
無敵そぅだもんな。
「ほら・・・僕って、」
「・・・。」
「僕って、武士の事・・・大好きでしょ?」
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「大好きって言うか・・・もぅずっと、愛して、愛して、愛しまくっちゃってるでしょぅ?」
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「武士がいないと生きていけないし。翼には邪道だって言われたんだけど、」
「・・・。」
「僕・・・、たけしと恋してみたくて・・・キス、してみたくて。・・・♪」
・
「凄く。良かった・・・なぁ、あのキス☆」
なぎが。
うっとりと両手を握って言う。
・
・
「・・・・・。」ぁ、そう。
・
・・・なら、良かった、けど。・・・・・
・
・・・。て言うか、
・
「・・・なんだよ、・・・恋させて連れてって、そんで、あとはばいばいってか?」
「・・・。」
「とんだ。悪魔じゃねーか。」
「ふふ。なに、・・・言ってるの。まだ。・・・わからないの?」
「・・・。?」
ずっと。・・・一緒だよ。
いままでも。ずっと、一緒だったんだよ。
いつも、どんな時でも。・・・・
ひとりじゃ。なかったんだよ。
あの暗い。・・・海にのまれた時も。
ずっと。・・・僕が一緒だった。
一瞬だけ。
水の中で見つめ合った瞳を。・・・
あなたは、覚えてはいなかった、けれど。
「良かった。ほんとうに、良かった。」おまえが笑って言う。
「・・・。」
「・・・良かった、・・・・」
あの時。
せめて、助かって良かったと。あなたが思ってくれて。
恨んではいないと。
その運命を・・・・僕の。・・・・した事が。
せめて、無駄ではなかったと。思ってくれて。・・・・
辛くて泣いている時も。嬉しくて笑っている時も。
いつも僕が、そばに・・・いたよ。
泥の上で、腕で顔を覆って・・・泣く武士の、そばにいたよ、僕も。
ぴったりくっついて・・・涙止まれって、思いながら・・・・
そして時には笑って?って、気付きを、与える。
悲しい事ばかりじゃない。
自分の好きだった事、好きだった物、思い出して。・・・?
楽しい事だって・・・たくさん、あったでしょぅ?って。・・・・
ふっと指の先を吹き、くるりとその指を廻して、取り出したそれを、
その紙を・・・見つけたあなたは。・・・避難所で。無心に、夢中で故郷の風景をペンを走らせそれを克明に、紙に写す。
何枚も・・・何枚も。・・・・・
そして満足そうにその紙を見て・・・笑って・・・・・
そんな武士を見て、僕も隣でほっとして、笑って・・・みつめて・・・・・
そしてこれからも。
同じだよ。
ずっと、一緒だよ。
下界を見る為の瞳を与えられ、
あなたをこの世界に導く。僕は・・・
あなたを守る。ためだけに生まれた。
天使なんだから。
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