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「A」  作者: みんと*
52/64

第52章



「ふふふ。」おれは上機嫌で笑う。



そっか・・・いい方法だ、確かに。



凄ぇわ、・・・あの爺さん。



確かに・・・それしかないわ。





・・・。





見上げる。そらは高くて。雲が白くて。季節は・・・もうすぐ冬だ。



おれ冬は嫌いだけど。・・・・はは。声に出して笑った。その頃には、もぅおれ。・・・・




この世に、いねぇわ。









「なぎーーー!!」



「・・・・。」大声で。おまえを呼んで、手を振る。



「こっちおいで。」手でもおいで、おいでする。



「・・・なんですか。」



「なにそんな。コワイ顔して。可愛い顔が。」



「・・・。」



「台無しじゃねぇか。」



ちゅ。



「・・・。」



ちゅっ、隣に座ったなぎの。あごに手を添えて、こっち向かせて、可愛いほっぺにキスをする。



「可愛い。可愛いなぎ。」



「もぅ。」





「どうしたの。・・・?」おまえが、おれを眉根を寄せて見る。



「どうもしない。」



「・・・。」



「ただ、おまえが好きなだけ。」おまえを・・・見つめる。



「・・・・。たけし。」



「なに?」



「頭でも、打った?」



「ふ、はははは。」



「振られた僕に。そんな事言うなんて。」



「振ってねぇじゃん。・・・・」おまえの。耳に唇を、近づけて言う。



「振った。」くすぐったそうに、おまえが身をよじる。



「振ってねぇよ。・・・・」



そんな、仕草が。たまらなく、可愛い。・・・



ほんと、たまんない。



「おまえここ、だめなの・・・?・・・ぁ、違うか、ここ好き?みみんとこ、こぅされんの、好き。・・・?」またおまえの、耳元に近づく。



「たけし。」



「何だよ。」



「僕もう、あなたの担当を外れましたから。」



「・・・・。」



「これ以上僕にできる、事はなにもない。だからあなたも。僕に何も。する必要はない。何の責任も、感じる必要はない。」





「・・・。」



「・・・そう言えば、いい?」



「なぎ。」



「そう言えばあなた。・・・楽に、なれる?」



「わかんねぇ。難しいことはおれ、ほんとわかんねぇよ。でも。」





「またさ、おまえんち、行っていい?」



「・・・。」



「・・・・。いい・・・?」



「・・・いいよ。」



「んでまた。あれ、作って。」



「・・・ふふ。ハムカツ?」



「そう、ハムカツ。・・・・そんで、またさ。おまえと。・・・」





「いっぱいキスして。」おまえの、あごを掴んで。



「・・・。」



キスして。・・・そう言って。その、・・・唇を、見つめる。



確かに・・・・



その唇に・・・唇で、触れたはずなのに。



触れたどころか。



自分のものにするみたいに・・・・



強引に、奪い合うように、激しく、求めあった、はずなのに・・・・





今はその思い出さえ、遠い昔の出来事だったんじゃないかと思う。





「・・・それでさ、今度はおまえんち。泊まっていい?」



少しだけ、怖くなる。



おまえが・・・どんどん、遠くなる。



「・・・。」





こんなに近くに、いるのに。



「・・・だめ?」おまえの。瞳をのぞき込む。



「ふふ。・・・泊まって、・・・何するの。・・・?」



なぎが、いつもの優しい瞳でおれを、見つめる。



「なに、するって。決まってんじゃん。」



「たけし。」



「なぎ。・・・・」





「好きだよ。」おまえを、腕の中に入れて言う。



「・・・。」



「なぎ、好きだよ。大好きだよ。」



抱きついて、



ぎゅぅぎゅぅ、その身体を抱きしめる。



「あはは、」



なぎが、あの時みたいな。



声を出して嬉しそうに笑う。



「おれと・・・朝まで一緒にいてくれる・・・・?」



「・・・。」



「もし、良かったら、だけどさ、」



「・・・。」



「おれのそばにいてくれる・・・?」



ずっとなんて言わねぇから。



せめてひと晩だけ、・・・ぃや、



最期の。その時だけ・・・・でもいい、



「どこにも行かないで、おれの・・・そばにいて。」





「・・・・。たけし、」そう言って、



おまえが初めておれを、



優しく抱きしめてくれる。





「いるよ。どこにも行かないよ、ずっと、一緒にいるよ。」



・・・優しく・・・優しく、何度も、髪を撫でてくれる。



「なぎ・・・渚。」



おまえの胸に顔を埋める。





「・・・。」つぶやくような、なぎの。声が聞こえる。





やっぱり・・・・







・・・。なぎ?





・・・やっぱり、・・・・最強、だね。







・・・・。眼を閉じる。







・・・素直な、あなたは・・・やっぱり・・・・





・・・・。





最強だよね。




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