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「A」  作者: みんと*
33/64

第33章



おれは。・・・・


おれを産んでくれた母ちゃんに。


おれを育ててくれた父ちゃんに、感謝してる。


海辺で一緒に暮らした仲間やまちのひと、そして。・・・海と空に、感謝してる。


それを、全てなくしてから。


やっと、おれはそれがわかった。


それが、どれだけ、大切だったのかが。わかったから。


そうやって、育まれた。・・・おれの、命は。やっぱり。


父ちゃんと、母ちゃんのもんだ。


ひとは生まれれば、必ず死ぬ。


それを、教えてくれたのもあのふたりだ。




「・・・おれが、おまえに何かを指図される筋合いは、どこにもない。」


そう。同じ、セリフをまた言って。


「・・・・。」


「悪いけど。もう。おれに近づかないでくれよ。頼むから。」


「・・・。」


「おまえの言うことは・・・わかったから。」







「それ、は。」


「・・・・。」


「随分と危険なアサインだな。」


「ん、」翼と、廊下で立ち話をする。人が。目の前を、行き来して。


「彼は明らかに、サバイバーズ症候群も患って、いるよ。彼の、お父さんやお母さんが。枕元に立たない事を祈るよ。」


「・・・・。」



サバイバー症候群。・・・戦争や災害、不慮の事故などに遭遇し、生き残ってしまった自分に対する、罪悪感ギルト、フラッシュバック、心的外傷ストレス症候群(PTSD)・・・を、総じて言う。


人に対して信頼感を得られなくなったり、懐疑的に物事を考えたりも、する。


単純に、生き残り症候群と呼ばれる、事もある。


人知れず苦しんでいる場合が多く、一番の弊害は・・・・


やはり、自殺。




・・・。生きて行くのも辛いほどの罪悪感を感じ、自分を罰する事で、その、苦しみから、逃れようとする。



・・・ただし、・・・僕が。そんな事は。させないけれど。



「はぁ。」ため息を、つく。


「なぎ、それについても、ちゃんと後で、報告書書いておいてよ。」


「うん。・・・」


「まったく、無茶な事して。あれだけ、やめときなよって、言ったのに。」


「・・・。」


翼を、上目で見る。



「・・・なんて言ってもどうせ考えは変わらないんでしょ?」


僕は・・・微笑んで。うなずく、・・・代わりにただ、・・・下を向いて言った。



「・・・あと・・・少しなんだ。」


「あと少しね。まぁ頑張って。」


「、あははは、」その、翼の言い方が可笑しくて。思わず、声に出して笑った。


「その頑固さ誰に似たんだろ。」


「ふふふ、」


「まぁいいよ、あとはさ。・・・きちんと自分で話して。その前に一度相談してみた方がいいと、思うよ?」


「うん。・・・・」


「・・・。ね、なぎ?」翼が、念を押す。


「・・・ぅん。わかってるよ。」


「・・・無茶すんなよ?」


「・・・。」



その。言い方に心配と、僕への気遣いを、感じて。


「大丈夫。わかってる。」僕も。念を押して言った。




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