第30章
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「・・・。」
「・・・・。」
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「・・・ぅ、ぇっほ、・・ん・・・・」
「・・・?」
不自然な。咳を、して。・・・・
「・・・大丈夫?」なぎが言う。
「・・・。なに、が・・・?」
「咳、・・・・ぁ、煙草!」
「吸ってねぇよ。」
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「吸ってねぇってば。」おれは、笑って。
疑わし気な、目を向ける。・・・なぎを、見る。
いつもと。何も変わらない様子で。
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廊下を。ふたり、連れだって、・・・歩く。
まるで何事も・・・なかったかのように。
おれが、ほっぺにキスしたこと・・・・
忘れてんのかなこいつ。・・・・・
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・・・。でも。
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正直、有難いとも、思っていた。
ワケを聞かれても。
答えようがない。ただの気の迷いとしか。
言いようが・・・ない。
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またあの目を閉じた・・・なぎの顔が、頭ん中浮かんで。・・・・
苦しくなって、息を吐く。
なぎの。後ろの頭を見ながら。
その髪にも確かに、この手で触れたのに。・・・・
何故か何も感触を覚えてない事。
不思議に、思った。
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「おまえ、何度も自殺しかけた、ことあるんだってな。」ディルームのテーブルを、四人で囲む。
なぎさに誘われて。
向かった先に二人がいた。
椅子に腰かけるなり、突然、そう言ったおれを、翼が凄い、顔して睨む。
「なぎ?」翼が。・・・やけに鋭い目線を向けて。
「・・・。たけし君。・・・・」なぎさが、心底困ったような。顔をしておれを見る。
「いーじゃんかよ、なんも。隠し事なしで。おまえ、根性あるな。」おれは。毅の肩に、ぽんと手を置いた。
「・・・・・。」
「死のうなんて。なかなかできる。事じゃねーぞ。」
「軽々しくそういう事、言わないでください。」翼が厳しい声で、おれをたしなめる。
「あ、自殺防止プログラムがだめんなるから?」
「・・・・。」
「そんなさ、マニュアル通りになんて。いかねっつぅの。」
「・・・もぅ。・・・・」なぎが深く。溜息を、ついて。
おれは毅に目線を向けると。
「おまえもう。自殺なんてすんなよ。」
「・・・。」
「あれって苦しいやつ多いじゃん、」
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「・・・それかバレないとこでこっそりやれよ。」すっと、毅のそばに近寄って、そう、耳打ちした。
「以上。おわり。」
おれは立ち上がり、そう言って。思い切りう~~んと。伸びをした。
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