第29章
・
・・・。
柔らかかったな。
なぎのほっぺ。
あれから。何度も何度も、繰り返し、思い出す。
ほらなんだ、ふわふわの。あの白いお菓子。・・・・・
そうだ、マシュマロみてぇ。
「・・・。」
その柔らかな頬に、そっと。唇で触れた。
その感触をまた、思い出して。
あったかくて。優しくて。でも少しだけ、期待したより、冷たくて。
まるで、なぎみたいな。
ココロが。ふるえる。心臓が。きゅぅっと苦しく・・・なる。
痛ってぇ。思わず身体を、折る。
痛いのは、キライだった、はずなのに。ずっと。・・・・
嫌だったのに。
これは、嫌じゃない。
この痛さは・・・イヤじゃない・・・・
またなぎの。顔を思い出す。
急に、顔が熱っつく、なるのを感じる。
そしてまた、あの。
きゅぅっとなる、胸の痛み。・・・・
痛い。・・・けど心地いい。
なぎ。・・・・
すぐに。たまんなく、会いたく、なるのな。
これって。なんなんだろな。
会いたいな・・・なぎ。・・・・なぎさ・・・・・
・・・ちゅ・・・ちゅっ。
いっぱい。キスしちゃったな。
おれ。・・・・・
なぎ。・・・・・・
枕をぎゅぅっと、抱き締めて、そこに、頬ずりする。
なぎだと思って、心を込めて、・・・キスをする。
両方の、ほっぺに。あとは例えば・・・まぶたに、
唇の。すぐ横に。
・・・唇。・・・・・
あの可憐な。可愛い、唇にも。キスしたかったけど。
キス、してぃ。・・・?
そう、言って。・・・・そう言ったら。
いっぱいして。?・・・なんて。あいつもそんな事。言っちゃってさ。・・・・
それで、おれは。いっぱい、いっぱい唇くっつけて、あいつに。キスすんの。
なぎ、・・・くち、開けて。?
そう聞いたら。素直に、開けてくれそう。あいつ。
ふふ、なんて・・・笑って。
もぅ・・・なんて言っちゃって、いつもと同じように、おれを許して、笑って・・・そのあと。・・・・・
閉じたまぶたの裏に。
なぎの可愛い顔を思い出して。
そうしながら。
なぎと。深く、キスする事を。想像した。
「・・・。」はぁ。・・・・
枕に唇を。押し付ける。・・・・
目に浮かぶ。
なぎの開いた、唇と。舌を想像して、・・・また夢中で、キスをする。
口をあけて、舌を絡め合って。唇で、ぴったり。なぎの唇を、塞いで。・・・・息も。させない位・・・・・
カラダとカラダ同士。
求めあうみたいに、抱き締め合って・・・・・
「こんにちは。」
「・・・・。」
ぱっと。目を開けて、枕から、顔を上げた。
・・・はぁ。・・・・・心の中で、深く、深く息を、つく。
「なに。」
「・・・・。」
「食べてたの?」
おまえが。嬉しそうに、楽しそうにそう、おれに聞くから。
「おまえ。」
そう、頭の中で思いながら。
おれは言う。
「・・なんも、食べてねーよ。なんも。食べられねーもん。」
「・・・。そうでした。ごめんなさい。」
「いいよ。そんな顔、すんなよ。」
おれは、照れを隠して・・・・笑って、そう言って、答えた。
・




