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第28章
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「・・・。」彼の、背中を見送って。・・・そっと触れた。
彼の唇が触れて、くれたところを指でなぞる。
またそれを、思い出す、みたいに。・・・・
わかる。
その姿勢まで、仕草まで、想像できる。
また、・・・目をそっと閉じて。
自分の頬を、ひとつ、ひとつ指先で辿って。撫でてゆく。・・・・
ここと。・・・ここ。
あと。ここも。
ここも。
ここにも。・・・・・
忘れないように。
瞼の裏に、脳裏に、深く刻み付ける。
いつでも。・・・・
それを思い出せる、ように。こうして、目を閉じればいつでも。・・・・
いつでも・・・そのキスを。
胸の中、思い起こせるように・・・・・
胸の上に、手のひらを充てて、
唇には。
してくれなかったな。
ふふ。
贅沢か。
そう思って、笑った。
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