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「A」  作者: みんと*
20/64

第20章


「なんだおまえ。」


「・・・。」


「いつから、そこにいた?」


「いま。」


「・・・。」


「ナギが、君が全然、話を聞いてくれなくて困ってるって、言って来たから。」


「・・・。」へぇ。随分、仲のいいこって。


・・・困るとすぐ。こいつんとこ、行くんだ。




急に胸と身体ん中が、かっと熱く、なった。




「おまえらの話なんて聞きたくねんだよ!親切そうな顔して近づいて、」


「・・・。」


「裏で。なに、企んでるかわかんねぇ。」


・・・子供みたいに。


・・・嫉妬してる、おれ。



何とも思ってなかったこいつの事。今は、憎らしくて、たまんない。


あいつに。・・・なぎに。信頼されて、頼りにされてる。こいつが。羨ましくて。


・・・羨ましくて。・・・仕方、なかった。



「いつまで。」


「・・・。」


「駄々こねてる気ですか。」


「・・・なんだ、」その、言い方。



「てめぇいちいち偉そうな事言ってんじゃねぇよ、もう、放っとけよ、放っといて、くれよ。おれに。・・・近づくなよ。」


「放っとける、くらいならとっくに、そうしてます、余計な事話してる、暇はないんですよ?」


「・・・。」ぎろっとあいつを。睨みつける。



「プログラムの事話したのは知っています、僕は。・・・止めたんですけど。」


「・・・・。」


「でもそれは大きな意味で言えば、武士君の為でもない毅の為でもない、もちろん僕の為でも渚のためでも、・・・」


「ぅっせぇよ!」


「誰の為でもないこれからの、人の為になるんです。それなのに。馬鹿みたいに拗ねたり怒ったり。」


・・・。!!いー加減。


「・・・だまれよ!!」


「だからそんな!子供みたいに大声出す暇があったらひとつくらい!人の為になる事、やってみたら、どうなんですか?!」



・・・そう、言われた、瞬間。


・・・目、見開いて。・・・おれは、・・・・




・・・。驚いて・・・やっぱ、




「・・・・。」



・・・・凄ぇ、じゃん、こいつら・・・すげぇな、って急に、・・・素直に、・・・・思った。


・・・・プロ、だよな。やっぱ、・・・


こいつら、ふたりとも。・・・凄ぇ、おれの扱いを、よく、心得てる。



・・・どうせ、馬鹿だよ。わかってるよおれにだって。でもってそれを。おれより分かってる。奴らに言われたら、もう。素直に認めるしかない。

 


・・・どうせ、暇だよ。なんも。できない、よできない。・・・奴だよ。


・・・でも、せめてさ。



でもせめて、もしまだおれに。できる、事がまだ。あんなら。こんな。・・・おれにもまだ、あるなら。・・・・



やってやろうじゃん。



一瞬でそう。心が方向転換、した。びっくり、した。翼が。おれの父ちゃんみたいな、セリフを言ったから。


あの日、あの・・・最後の日、


父ちゃんに言われた言葉、を・・・、思い出したから。





「たけし。」


「人様の役に立つ事やっとくと、人の嫌がる事やっとくと・・・」


「・・・。」



「あとで、いい事、あるぞ。」





「武士くん。」


「・・・。」呆然とするおれに翼が言う。


「あっちで。ナギが。・・・待ってますよ。」


「・・・・。」




その指の先に、目線を向けた。



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