第20章
・
「なんだおまえ。」
「・・・。」
「いつから、そこにいた?」
「いま。」
「・・・。」
「ナギが、君が全然、話を聞いてくれなくて困ってるって、言って来たから。」
「・・・。」へぇ。随分、仲のいいこって。
・・・困るとすぐ。こいつんとこ、行くんだ。
急に胸と身体ん中が、かっと熱く、なった。
「おまえらの話なんて聞きたくねんだよ!親切そうな顔して近づいて、」
「・・・。」
「裏で。なに、企んでるかわかんねぇ。」
・・・子供みたいに。
・・・嫉妬してる、おれ。
何とも思ってなかったこいつの事。今は、憎らしくて、たまんない。
あいつに。・・・なぎに。信頼されて、頼りにされてる。こいつが。羨ましくて。
・・・羨ましくて。・・・仕方、なかった。
「いつまで。」
「・・・。」
「駄々こねてる気ですか。」
「・・・なんだ、」その、言い方。
「てめぇいちいち偉そうな事言ってんじゃねぇよ、もう、放っとけよ、放っといて、くれよ。おれに。・・・近づくなよ。」
「放っとける、くらいならとっくに、そうしてます、余計な事話してる、暇はないんですよ?」
「・・・。」ぎろっとあいつを。睨みつける。
・
「プログラムの事話したのは知っています、僕は。・・・止めたんですけど。」
「・・・・。」
「でもそれは大きな意味で言えば、武士君の為でもない毅の為でもない、もちろん僕の為でも渚のためでも、・・・」
「ぅっせぇよ!」
「誰の為でもないこれからの、人の為になるんです。それなのに。馬鹿みたいに拗ねたり怒ったり。」
・・・。!!いー加減。
「・・・だまれよ!!」
「だからそんな!子供みたいに大声出す暇があったらひとつくらい!人の為になる事、やってみたら、どうなんですか?!」
・・・そう、言われた、瞬間。
・・・目、見開いて。・・・おれは、・・・・
・・・。驚いて・・・やっぱ、
「・・・・。」
・・・・凄ぇ、じゃん、こいつら・・・すげぇな、って急に、・・・素直に、・・・・思った。
・・・・プロ、だよな。やっぱ、・・・
こいつら、ふたりとも。・・・凄ぇ、おれの扱いを、よく、心得てる。
・・・どうせ、馬鹿だよ。わかってるよおれにだって。でもってそれを。おれより分かってる。奴らに言われたら、もう。素直に認めるしかない。
・・・どうせ、暇だよ。なんも。できない、よできない。・・・奴だよ。
・・・でも、せめてさ。
でもせめて、もしまだおれに。できる、事がまだ。あんなら。こんな。・・・おれにもまだ、あるなら。・・・・
やってやろうじゃん。
一瞬でそう。心が方向転換、した。びっくり、した。翼が。おれの父ちゃんみたいな、セリフを言ったから。
あの日、あの・・・最後の日、
父ちゃんに言われた言葉、を・・・、思い出したから。
・
「たけし。」
「人様の役に立つ事やっとくと、人の嫌がる事やっとくと・・・」
「・・・。」
「あとで、いい事、あるぞ。」
・
「武士くん。」
「・・・。」呆然とするおれに翼が言う。
「あっちで。ナギが。・・・待ってますよ。」
「・・・・。」
その指の先に、目線を向けた。
・




