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幼馴染みはBLゲームの主人公です【連載版】  作者: えっちゃん
悪役女子より普通の女子でいたいのです
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13.総一郎は歪んだ想いを吐露する

短めです。

危険思考注意!

 一緒に歩いていた陽奈子は昇降口前で立ち止まり、隣を歩いていた総一郎のワイシャツの袖を引っ張った。


「総ちゃん、部活行ける? 大丈夫なの?」


「大丈夫だ」


 素っ気なく答えれば、陽奈子は眉を寄せて口をへの字にする。


「総ちゃん、怖い顔になっているから生徒会長に嫌な事されたんじゃないかって、心配になったの」


 嫌な事の意味が違う気もするが、陽奈子が心配してくれている。見上げてくる彼女の瞳に映るのは自分だけ、という事に総一郎の胸が高鳴っていく。


 情けない表情、狸じみているなと思った。

 一度そう見えると狸そっくりなのに、可愛い。

 こんな可愛い陽奈子の表情は誰にも見せたくない。

 部活が無ければ一緒に帰れるのに。一緒に帰れないせいで、帰り道に他の奴等に見られてしまう。


 今すぐ抱き締めたい衝動をぐっと堪え、総一郎は陽奈子の頭を撫でるだけに止めた。




 ***




「杉山、生徒会長、狩野理人の三人に関するネタは無いか?」


 格技場へ向かった総一郎は、小学生の頃からの腐れ縁である太一と部室で二人きりになったタイミングで問う。

「はぁっ?」と、太一は大きく目を見開いた。ビクッと、肩を揺らした拍子にコントみたいに眼鏡がずれる。


「ちょっ、いくらなんでも杉山先生と生徒会長には手出ししたくないよ。陽奈ちゃん絡みだとしても、ちょっと冷静に考えてみて。教師や生徒会長のスキャンダルが明るみになって大事になったら、学校が機能停止になるぞ」


 ずれた眼鏡を直す太一は、必死な表情で総一郎を見上げた。


「それと、真面目に部活を頑張っている狩野君を潰すのは僕の良心が痛むんで無理。陽奈ちゃんに男に近寄るなって、頼めばいいじゃん」


「陽奈子は隙だらけの上、無自覚だから無理だ。面倒なことに、生徒会長が陽奈子に興味を持った」


「えっ、マジ?」


 幼い頃から電子機器に長けている太一は、学園内外の裏の情報に通じている。勿論、花京院凪沙の裏の顔も知っているし彼の餌食になった女子達、それも自ら彼に体を差し出している女子が多数いるのも知っていた。

 性格上、陽奈子が自ら花京院に擦り寄る事は無いとは思う。しかし、生徒会長に目を付けられた女子が無事に卒業出来るか分からない。


「生徒会長が手を出そうとしても鈍い陽奈子は易々と落ちないだろうが、彼奴は潰しにくい面倒な相手だ。それに、二年になってクラス替えしたせいか陽奈子に近付こうとする男が多いんだ」


「あー、確かに陽奈ちゃんはSNS女子ランク上位に急上昇しているもんね」


 高校生の裏で、太一が所属している情報収集グループがネット上で行っている女子高生ランキング。その中で陽奈子の情報が上がっていると、初耳だった総一郎のこめかみに青筋が浮かぶ。


「ひっ、総一郎っ、陽奈ちゃんの情報は写真以外はグループ内から外部に漏れないようにされているから、大丈夫、安心して? 因みに、総一郎も男子高生ランキング上位に入っているよ」


「消せ」


 ガンッ!

 殺気を込めて、総一郎は太一の顔の横へリュックを叩きつけた。

「ひいっ」と情けない声を上げた太一は数秒遅れで両腕で顔をガードする。


「で、出来る限り、消すように頑張ってみる」


 竹刀を持って打ち込んで来そうな総一郎へ、恐怖でガクガク震える太一ら首を縦に振る。

 陽奈子の名前を出してしまったのは失言だったかと、太一は寄りかかっていた壁に手をついて体勢を整えた。


「そ、総一郎は陽奈ちゃんに関すること限定で病んでるよな。総一郎のは好きっていうか、ガチの病気レベルじゃないか。そんなに大事なら告白して付き合えばいいのに」


 中学時代から、総一郎に振り回される度に言っている台詞。周りから男を排除しまくるくらい陽奈子が大好きなくせに、総一郎は告白すらしないで拗らせていく。

 毎回、振り回されて疲れ果てている太一からしたら、早く二人がくっついてくれればいいのにと、文句の一つも言いたくなる。


「付き合うのは、まだだ。まだ俺が結婚出来る年齢じゃないだろ」


「は?」


「付き合うより早く結婚したい。結婚したらずっと独占出来るし、避妊しないでいても子どもが出来ても問題無いだろ。陽奈子を味わうなら、コンドームに邪魔されたくないからな。でも、子どもに陽奈子を奪われるのは嫌だな」


 とんでもない総一郎の発言を聞いた太一は、あんぐり口を開けて数秒間固まってしまった。一度では発言の意味がわからず、脳内で再生する。


「ちょっ、お前、何言って、いや、マジで怖いんだけど」


「冗談だよ」


 口元は笑みを浮かべていても、総一郎の色素の薄い目は全く笑っておらず冗談だとは思えない。


「陽奈子の理想は、大人で強い男だから。陽奈子を養えるくらいになるまでは、まだ幼馴染みのままでいい」


「束縛しまくったら陽奈ちゃんに怖がられるぞ。いや、マジで陽奈ちゃんが可哀想だと思った」


「怖がられないよう、加減はするさ」


 ニヤリ、と効果音が付きそうな総一郎の笑みを見て、太一は背筋が寒くなった。

 元々、総一郎は陽奈子が絡むとおかしい思考になるとは思っていたが、今の彼は完全に病んでいる。生徒会長のせいか、年々魅力が増してきた陽奈子のせいか、両方からか。


「今までだってそうしてきたんだ」


 暗い光を宿して言う総一郎には何を言っても届かないと、長い付き合いの太一は分かっている。


「ああ、うん、そうだったな」


 イケメンでも、こういう危ない思考の持ち主が所謂“ヤンデレ”というのか。と、と遠い目になった太一はぼんやりと考えていた。


危険というか、本気で総一郎は陽奈子を孕ませたいと思っています。普段は、理性で抑えてるみたい。

突っ込み役の太一君もドン引き。

ネット情報収集グループ所属の太一君は、法に触れることは多分やっていない、はず。

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