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退避

作者(現実から)

― ストライカー歩兵戦闘車内 ―

Side アメリカ合衆国 ストライカー旅団戦闘団 ジョセフ・ハドソン二等軍曹

13:15


司令部との通信を終えた俺達は、残存部隊で部隊を再編成して八王子市中心部でヘリポートがある高層ビルへと向かった。


「ジェームス、上空から見た街の様子はどうなってた?」


「まさに地獄絵図ってところだったな」 (撃墜されたヘリの操縦士ことジェームス・マクシミリアン二等軍曹)

「そんなに酷かったのか……」 クリスが、ジェームスの怪我の手当てをしながら呟いた。


途中で残り僅かな砲弾を感染者達に惜しげも無く使い道を切り開きながら前進した。

「お、見えて来た! あそこですよ!!」 (先程飲む約束をした自衛官こと高橋 雪輝)


指を指している方向を見ると、全面ガラス張りだったであろう高層ビルが見えた。


「あのビルのBARから見る夜景はかなり綺麗だったんですけどね……」


《A・B車に搭乗している者は、1F~20Fまでの確保、C車に搭乗して居る俺達は、ヘリポートの制圧。 以上だ。》


《《了解!!》》



― ホテル(緊急回収地点) ―

13:40


こんな異常事態が起きる前は、ホテルに来た宿泊客を受け入れる為であった乗降スペースに戦闘車両を停めて車両内にあるブラックボックス(C4Iシステム等の暗号化情報が入っている)のデータを破壊して、機動砲システム・車両自体を第三者に渡った際に使えなくなるように少量のRDX爆薬を仕掛けてホテル内部へと突入した。


「こりゃあ……酷いな...」

ホテルのエントランスホール内部は、生存者と感染者が戦った痕跡が至る所に残されていた。

ホール一面に広がっている血・肉片・遺体...etc

B車に搭乗していた実践を経験したことの無い自衛官がこの惨状を目にして、胃の中に残っていた物を全て吐き出した。


非常階段の方へ足を進めると、突然カウンターに設置されていた客室と通じている電話が鳴りだし、驚いた俺は、SCAR-Lの銃口をとっさに向けた。


「こんな時にルームサービスの依頼か?」

「いや、生存者が助けを求めてるのかもしれない取り敢えず出てみるべきだ」


受話器に手を伸し電話に出ると、「今、車で来た方々ですよね!?たっ、助けて下さい!!」電話を掛けて来た女性の奥の方から、「電話ごと持って早くこっちに来て手伝ってくれ!! ドアが破られてしまう!!」そう叫ぶ男の声が聞こえた。

どうやらかなりまずい状況らしい。


クリスにメモを要求してポーチからペンを取り出しながら、雪輝に代わった。

「今、助けに行きますから何号室ですか!? 他に生存者がいる部屋はありますか!?」と聞くと、先程の男が、

「29階の2932号室だ!! 1140号室と1430号室にはまだ生存者がいる! 今、俺が居る部屋には、友人4人で他の部屋には、1人らしい。 あいつらが事実を言っていたらだが……」と答えた。


生存者の情報を書いたメモをクリスに渡して、生存者の分の拳銃を高橋と取りに行った。


《此方サブリ-ダー、各班聴こえるか?》

《《感度良好。》》

《生存者の情報だ、1140号室と1430号室にまだ生存者がいるらしい。 ついでに回収してきてくれ。》


《《了解。》》


拳銃を回収して20Fまでは、他の班に任せ4人で階段を全力で昇り息を切らせながらも20Fに着いた。

ジェームスに後方の警戒をしてもらいながら、自分を含めた3人で前と左右の警戒をしながら「生存者の方いたら返事をしてください」とドアのロックの有無を気にせず訪ねて回り、ロックの外れている部屋があった場合俺を先頭にして屈んだ状態でドアノブに左手を掛けて、開けるとともにクリスが正面の安全を確認をして雪輝が突入してクローゼットや風呂場の安全を確保していった。

それを1フロア辺り3~4回繰り返して29Fにたどり着いた。


電話の男が言っていたように部屋の前には大量の感染者達が集まっていた。

3人に俺が発砲したら撃つようにと言う意味のハンドサインを出してアンダーバレルショットガンの中に、フレシェット弾を装填してSCAR-Lの引き金を引いた。

銃口に取り付けられているサプレッサーによって抑圧された銃声が廊下に連続して響いた。

薬莢が落下したのと同時にそれぞれが持つ銃が火を噴いた。


アンダーバレルショットガンの引き金を引き、フレシェットが飛翔していった。


※タングステン製の矢 高初速で貫通力にとても優れるが、風に流されやすい。 閉所では、防弾チョッキを着ていようが壊滅的な損害を相手に与えられる点は、通常の12ゲージ弾と同じ。


5.56mm弾の貫通力も高いが、フレシェット弾の場合、更に貫通力が高いので複数体の感染者の頭蓋骨を貫通してから、奥の非常口のドアも貫通した。

雪輝は89式小銃を発砲していたが、途中で排莢不良を起こしてしまったので、9mm拳銃若しくは、桜sigことp220を感染者に向かって頭部にダブルタップで射撃を継続している。


※89式小銃は国産の小銃だが、規制ガス圧の調整をすれば(微調整程度)問題なくSS190弾を使用できる。 …… 排莢不良(ジャム)が起きたのは弾薬の精度が悪いのが混入していた為


40秒ほどで感染者達は、掃討された。

まだ反応がある(生き返る可能性)がある感染者には、頭部に一発ずつ撃ち込んでいき安全を確保した。

発砲する度に室内から悲鳴が上がっていた。


2932号室のドアは、感染者によって歪な形に変形して開きそうにも無い。

「内側から開けられますか!?」雪輝が尋ねた。

「無理だ! ドアノブが変な方向を向いていて開けられそうに無い!!」


「ドアを爆破するので出来るだけ離れて下さい!」

「爆破!? 危ないだろ! もっと安全な方法は無いのか!?」


「最善の方法がそれです! 速く離れてしゃがんだ状態で耳を塞いで口を開けていて下さい!!」


※しゃがんだ状態で耳を塞いで口を開けておくというのは、爆発で鼓膜が破けたりするのを防ぐため。


俺が、爆薬をドアの蝶番のところにRDX爆薬を仕掛けて雪輝に合図を出した。

「3」

「2」

「1」

「発破!!」この合図と同時に俺は、起爆トリガーを引いた。


蝶番を破壊されたドアをクリスが蹴破り俺を先頭にして突入した。


言われたとおりにしゃがんでいた女は、問題無かったがドアの付近で指示を無視してドアの近くに立っていた男は、気絶していた。


「大丈夫ですか?」

「大丈夫です。 私よりもそこで倒れている父は?」

「安心してください。 問題ありません」


「……? 自衛隊と米軍!? 随分と早い救助ですね」


「お名前は?」

「菅原 奏です。 東京大学2年生です。」

「自分は、高橋 雪輝2等陸曹でこちらの方が、ジョセフ・ハドソン二等軍曹で、こちらの方がジェームス・マクシミリアン二等軍曹で、こちらの方がクリス伍長です。」


手短に現在の状況と拳銃の使い方を説明していると彼女の父親が軽い脳震盪から復帰した。

「何でもっと早く来なかったんだ!? 国民の税金だぞ!! 私は、政治家なんだぞ! こんな状況でも統治できる人間が必要だろう!? グフッ!」


奏は、心底うんざりとした様子で実の父親を見ていたが、雪輝がとった行動に驚いた。

菅原(父)の胸ぐらをつかみ壁に押し付けてナイフを首に押し付けたからだ。


「ああそうかい、結局政治家ってやつはみんなこうか。 自分の意見を押し付けて自分だけが優位に立とうとする!!」


「貴様!! そんなことをしてタダで済むと思っているのか!? 後で貴様等全員まとめて訴えてやる!!」


「あんた等が防衛出動の許可をもっと早く出していれば……あいつ等は死ななくて済んだのに……クソッ!!」


俺は、雪輝が手にしているナイフを取り「そこまでだ」とだけ言うと、雪輝は拘束を緩めてテーブルの方へ行き、89式小銃内部で引っかかった薬莢を先程のナイフで除去して普段の冷静な状態に戻った。


「一応あんたにも銃を渡しておく」

M1911の簡単な操作方法だけ説明して菅原(父)に渡した。


「フン! 最初からそうしていればいいものを」と言いながら差し出した拳銃を奪い取った。


A班からの通信が入った。

《生存者を回収した。 直ちにヘリポートに向かう。》


《此方は、言われた部屋はもう手遅れだった。 他の生存者がいたのでついて来てもらっている。》これは、B班だ。


《少し問題があったがすぐに向かう。》


通信を終えると俺達は、屋上へと向かって行った。

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