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第五十四話 神様の道楽

「ここが、遊戯場?」

「不思議な空間だね、わー! 風船みたいなのが浮いてるよ!!」


 僕達が転移したのは、本当に不思議な空間だった。

 空がまず虹色だ。

 その空に浮かんでいるのは、なんだ? さっききらめさんが風船って言ってたけど。色んな動物がちょっと丸くなったようなものが浮いている。


 そして、地面。

 一見ただの草原に見えるけど、なんか顔がついている花があるんだけど。

 まさか、喋ったりとかしないよね? 人の言葉を覚える花は確かにあるけど……顔がある花は確認されていない。


「はいはーい! ようこそ、何千年ぶりかの遊び人さん達!」

「いやー、本当に久しぶりだから流れ忘れちゃったよー」


 景色を眺めていると、目の前に二人な妖精が現れる。あの石像の妖精だよね? 大きさは、今の僕と同じぐらいかな。

 一人は緑色の服を身に纏っており、もう一人は赤色の服を纏っている。どちらも似たような顔、服装だが、色は違うようだ。

 服や目。頬に描かれている星の色までも違う。


「まあ、そこんところは別にいいか」

「まあ、いいよね。楽しければ!」

 

 確かに楽しければいいとよく言うけど、今回に関してはちょんとやって欲しいんだけど。ここは、遊戯の神メサンタリア様が造った遊戯場なんだから。


 ちなみに、メサンタリア様は、今僕達の目の前にいる二人のように道化師のような格好をしている。

 道化師であるがゆえに、書物に載っている姿も本物ではないかもしれないと言われている。


「じゃあ、さっそくだけど始めるよ」

「この空間では、三つの遊戯をしてもらうから!」

「その三つの遊戯で二勝すれば、君達の勝利とし、褒美を贈呈しちゃう!」

「楽しみにしててね!」

「三つか……いったいどんな遊戯なんだろう?」

「おそらく、私達では想像できないような遊戯だと思います!」


 ミィヤの言う通りだ。僕達が知っている遊戯が出てくるとは限らない。もしかすると、神々の間でしか知られていないような遊戯が出てくることだってあり得る。

 ここは、油断せずにいこう。


「では、さっそく!」

「第一遊戯の発表だ!」


 パン! 二人が手を叩き合うと、頭上にカードの束が出現する。

 ……ん? あれって、まさかとは思うけどトランプカードじゃないよね?


「まさか、それでババ抜きをしようって言わないよね?」


 そんな馬鹿なことがあるのか? そう思いながら、カードの束を曲芸をしているかのようにシャッフルをしている二人に問い掛ける。

 すると。


「正解!」

「大正解!」

 

 あっさりと断言した。

 まあ、うん。トランプもこの世界では、有名な遊戯のひとつだけどさ。まさか、遊戯の神が造った特別な空間で普通にババ抜きをすることになるなんて、誰が思うか。

 

 しかし、知っている遊戯となれば、こっちにも勝機はある。

 これでも、旅の中で色んな遊戯をしてきたからね。

 昨日だって見張りをする前に、四人でババ抜きをしたばかり。ルールはもちろんだけど、心理戦だってみんな経験済み。


 ……あれ? でも、ババ抜きをするとなると、ここに居る四人でやるのか? 


「ルールは簡単! こっちから二人! そっちからも二人を出してきてね」

「そして、四人でババ抜きを開始して、先に抜けたチームの勝利!」

「つまり、二人のうち一人が抜ければいいってことですか?」

「はい、その通り!」

「理解が早くて助かるねー!」


 本当にそれだけなのか? 何か意図があるんじゃ……。


「ではでは、シャッフルを終えたところで……君達のほうから誰と誰が出るの?」


 と、妖精達は下りてくる。


「じゃあ、昨日抜けた順番にする?」


 きらめさんの提案に、僕以外の二人が首を縦に振る。


「わかった。ということは、僕と」

「私ですね。主様の足を引っ張らないよう頑張ります!」


 こっちからは、僕とレンが出ることになった。昨日抜けた順番は、僕、レン、ミィヤ、きらめさんという順番だ。どうやら、きらめさんはこういうポーカーフェイスが大事な遊戯は苦手なようなんだ。

 なんていうか、純粋というか。元気がいいというか。

 すぐ顔に出ちゃうんだ。


「その二人でいいんだね?」

「もう変えることはできないよ?」

「大丈夫。この二人で問題はないよ」

「さあ、始めましょう! ババ抜きを!」

「いいよ。でも、その前に君達のほうでもシャッフルね」

「はいはい、しゅっ! しゅっ! しゅー!」


 なるほど。これで、不正はないよということか。そういうことなら、遠慮なくシャッフルをしよう。


「……よし。これでいいかな?」


 シャッフルを終えたトランプカードの束を二人に返す。


「ほいほい。じゃあ、配っていくよ!」

「ちなみに、一抜けした時点でカードをいっぱい持っている人には罰ゲームがありまーす!」


 そういうことは早めに言って欲しいんだけどな……でも、こういう遊びにおいてはあるのが普通なんだろうな。


「配り終わったところで、ペアとなったカードは中央へ!」

「捨てろ! 捨てろぉ!」


 本当に楽しそうだな、この二人。

 あっ、そういえば肝心なことを聞いていなかった。


「ねぇ、始める前にひとつ聞いておかなくちゃならないことがあるんだけど、いい?」


 ペアとなったカードを中央に捨てながら、僕は問い掛ける。


「いいよー」

「なんですかな?」

「君達の名前、教えてくれないか? それと、僕達の名前もまだ教えてなかったよね」


 そう、名前だ。これから、遊ぶ相手の名前を知らないなんて、失礼だろう。なので、ババ抜きが始まる前にどうしても聞いておかなくちゃならなかった。


「そういえば、そうだったね。これは、失敬!」

「ごめんねー! 私達も本当に久しぶりだからついテンション上がっちゃってさ」


 カードを捨て終わると、まず緑色の方から口を開く。


「僕の名前はアタン!」

「私の名前はメサリ!」

《双子の道化師だよ!》


 やっぱり双子だったか。それにしても、アタンは男、だよね? 男女の双子って始めてみるから、こんなにも同じ顔でびっくりしている。いくら双子でも、性別が違えば顔だって多少は違うはずだと思っていたんだけど。


「次はこっちからだね。僕の名前はライカ。そして、こっちが」

「レンといいます」

「私はミィヤっていいます!」

「きらめだよー」

「以上この四人が今回の遊び人だ」


 自己紹介が済んだところで、双子は手札を見せつける。

 

「では、始めましょう! ババ抜きを!」


 さあ、相手はいったいどんな心理戦をしてくるのか。

 遊びといえど、油断はしない!

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