第三十九話 ラルクに姉?
台風にも負けず、執筆!
外に出られない皆さんのために!
「〈雷鳴の礫〉!」
「〈獄炎波〉!」
「か、かっこ可愛いい……!」
何だから僕達のことを親とはぐれ子供だと勘違いしているようだったので、魔物と遭遇したと同時に、僕とレンがきらめよりも先に飛び出した。
雷と炎の合わせる技で、一掃。
少しやり過ぎた感じがあったけど、これぐらいじゃないと彼女は僕達の実力を信じてくれないと思ったんだ。
「どうですか? 僕達の実力は」
「本当に三人で旅をしてるんだね……さっきの料理の手際もやり慣れているって感じだったし」
よかった。どうやら信じてくれたようだ。
これで少しは子供扱いを止めて。
「でも! やっぱり年上として、見過ごせないよ! せめて、次の村とか町までは一緒に行こう! ね? ね!? お姉ちゃん頑張るから!!」
ずいずいと、キスをするんじゃないかという距離まで顔を近づけてくるきらめ。そこまで、一緒に居たいんだ……実は寂しいんじゃ?
「わ、わかりました。それじゃあ、もうしばらくお世話になります。きらめお姉ちゃん」
「うん!!」
凄く嬉しそうな顔だ。……これじゃ、どっちが年上なのか。
それからは、完全にピクニック気分。
遭遇した魔物も、まるで虫を追い払うかのように、一撃で倒し、その度にきらめがどう? どう? と褒めて欲しそうに見詰めてくる。
この子は、本当に姉としての自覚があるのだろうか? 何だか、姉と言うよりも大きな妹か娘のように見えてきている自分が居る。
そんなやり取りが続き、ついに。
「到着だね。とりあえず、ここに数日滞在しようか、二人とも」
町に到着した。比べたらだめだと思うけど、やはりハーバよりも小さく、外壁も若干脆そうだ。
「んー! 久しぶりの人里ですね。まだ、ハーバを出て一週間ですが、思い出します」
「皆、今頃元気にしていますかね?」
「やっているよ。あの街の人達は、皆強いからね。さて」
町に到着したところで、僕達は途中参加した謎の少女きらめを見る。
「ここまで、ありがとうごさいました。もうここまで来れば安心です」
「う、うん。でも、心配だな……大丈夫? お姉ちゃんがついていなくても平気?」
「平気です。それに、しばらくはここに滞在しますから、きらめお姉ちゃんがここから離れない限り、また会えますよ」
それを聞いたきらめは、まだ離れたくなさそうな表情だが、僕達とは逆方向へと向かう。
「何かあったら呼んでね! そうしたら、すぐ飛んでいくからねぇー!!」
こうして、嵐のような存在きらめと別れた。
姿が完全に見えなくなるまで、ずっと手を振っていた僕達は、ふうっと一息つく。
「げ、元気な人でしたね」
「主様もかなり圧される存在……何者だったんでしょうか?」
普通の少女じゃないのは、明白だ。
それに、やたらとお姉ちゃん行為をしたがる。世界中には、色んな性格の人が居るとは理解しているけど、彼女はその中でもかなり特殊な部類なんだろうな……。
「ともかく、宿を探そう」
「でしたら、町の人に聞くのが一番ですね。あの! ちょっと道をお聞きしたいのですが!」
ミィヤのおかげで宿の場所はすぐにわかった。後は、部屋をとって、荷物を置いてから町探索かな。
さすがに、ラルクの姿に戻りたい……。
・・・・・
「んー! やっぱりこっちの姿の方がしっくり来るな」
部屋も無事にとれた。けど、最初は宿屋の人びっくりしてたな……さすがに、幼女三人で泊まりに来るのは初めてだったのかもね。
で、あるのは一人部屋と二人部屋のみ。
大きな町じゃないので、覚悟をしていたけど。部屋は二人部屋をひとつ取って、そこで三人仲良く泊まることにした。
さすがに、部屋を二つ取るのは迷惑がかかりそうだし、幼女三人なら体の大きさから、ベッド二つでも大丈夫だろうという判断だ。
ま、まあレンと一緒に寝るのは慣れてるし……大丈夫、大丈夫。
そんなこんなで、荷物を置いて自由行動。
ミィヤにはレンを護衛として同行させた。僕は、僕でラルクの姿になって、気ままに町探索だ。
「お? 兄ちゃん。旅人だね? どうだい、瑞々しい果実は?」
歩いていると、果物を売っているおじさんに呼び止めれる。
「やっばり、わかっちゃうものですか?」
「たりめぇよ! 俺は、この町で四十年も商売してるからな! そいつが町の者か、そうじゃないかはすぐわかる。兄ちゃん、見たところ来たばかりだろ?」
「そんなことまでわかるんですか?」
「おうさ! さっきも、兄ちゃんみたいに、キョロキョロと危なっかしいお嬢ちゃんをな」
せっかくなので、僕は記念にと果実をひとつ購入し、その場から離れる。活気があっていい町だ。
食べ物も結構豊富で、おいしいし。最初の町としては良いところに辿り着けた。
「はぶっ!?」
「おっと」
しまった。ちょっと気分が高揚して、前方不注意になっていた。そのせいで、誰かとぶつかってしまったようだ。
結構小さな人で、頭を見下ろせるぐらいだ。あれ? この桃色の髪の毛……ま、まさか!
「ご、ごめんなさい。前方不注意でした」
僕から離れ、顔が露になる。あっ、やっぱりきらめだ。まさか、こんなにも早く再会することになるとは。
まあでも、今はラルクなので問題はない。
「いえ、僕も同じく前方不注意でした。お怪我はありませんか?」
とりあえず、笑顔で対応だ。本当は知り合いだけど、初めてあった風に対応しよう。
「……」
あれ? なんだか、返事が返ってこない。ぼーっと僕を見詰めてるけど……。
「あの、大丈夫ですか?」
「え? あっ、はい! 大丈夫だよです!」
本当に大丈夫なんだろうか……。
「よかった。では、僕はこれで」
今は特に関わる理由もないし、さっさと退散しよう。最後まで笑顔を絶やさず、一礼をしてから立ち去る。
だがしかし。
「待って!!」
なぜか呼び止められてしまう。え? なんで? まさか、ライカだってばれた? いやそんなはずはない。
ラルクとライカじゃ何もかもが違うんだから。気づくなんてことは……さて、どうなる?
「なんでしょうか?」
「歳はいくつでしょうか!?」
……どういう意味なんだろう。呼び止められて、初めに聞かれたのがまさかの年齢。
これはナンパというやつなんだろうか? 僕もそこまで詳しくないけど、じいちゃんがナンパをする奴は、大体が名前や年齢を聞いてきたり、あれ? 前どこかで会わなかった? みたいなことを言うと教えてくれた。
子供ながら、それって普通のことなんじゃないのかな? と思ったよ。だって、知らない人にものを訪ねるなら、名前や年齢を聞くのは間違っていない。名前を知るのは、話しやすくするためで、年齢はもし年上だったら、失礼のないように敬語を使ったりとか。
それに、前どこかで会ったことがないかと聞くのは……まあ、本当にそう思っているなら良いけど、思っていないのに聞くのはナンパの意志があるんだろうな……。
けど、彼女はどうしてだ? まだ出会って間もないけど、ナンパをするような子には見えなかった。というか、ナンパって男が女にする行為だから、これはナンパじゃない、のか?
「えっと、なんでそんなことを聞くんでしょうか?」
「ご、ごめんね! でも、その……お願いします!」
えー……頭まで下げてきた。一体どんな意図があるかわからないけど、まあ年齢ぐらいはいいか。
「十六歳、ですけど」
それを聞いた瞬間。
きゅぴーん! と目が野獣のように鋭くなる。
「私、十七歳なんだよ!」
「え? あ、はい」
だ、だから何なんだろう。……あっ、まさか。そこで、僕は気づく。年下ということは、つまり。
「お姉ちゃんだよー」
嬉しそうに両手を広げ、言い放った。
ですよね……って、そうじゃない! おかしい。おかしいよ、この人。会って間もなく、名前を知らない人に、年下だからってお姉ちゃん宣言って! というか、てっきり幼女相手にしか、そういう行為をしないのかと思っていたけど……これはかなりの重症かもしれない。




