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第25話

 私たちはやがて『黒林』に入った。その入口には関所の如くが設けられ、人の出入りをチェックしておった。またその脇には、小屋がいくつも建っておった。


 関所もそうだが、見かけるのは、武装した者ばかり。恐らく軍隊が駐屯しているのではないかと想い、チイねえに尋ねると、


「そうです」との答え。


 3千人ほどの兵がここに駐屯し、何かあれば、街道を封鎖するとのこと。更には、この林を抜ければ国境は近いとのこと。


 ゲームのエリザベトも、こうして、ここを抜けたのだろうか?


 日光はさえぎられてはおらぬ。木々はむしろ、まばらである。ただ紅葉する広葉樹がほとんどないために、秋の名残を感じることはまったくできない。針葉樹の黒色の葉の色に、これから来る冬の世界に、目にするすべてが沈む如くであった。


 名はそのゆえなの?



 

 やがて木々は更にまばらになり、代わりにところどころに水路が見える。国境沿いを流れるという川より引いて来ているの?


 それにうるおされて、小麦?――稲なら私にも分かる――の畑が広がっておった。




 遂に国境に至る。そこは私が勝手に想像しておったものとずい分違った。てっきり両軍陣地を築き、先の『黒林』の入口以上の軍勢が対峙しておると想っておったのだが。そうした、いかめしき様とは無縁であった。




 その国境をなす川には、橋さえ架けられておった。そして、その橋の向こう側には、さすがに敵国の小部隊が駐屯しておるようであった。


 チイねえが、そこの隊長らしき人物に用件を伝える。すると、相手は、ならば護衛隊を付け、我が皇子のおる首都まで案内しようと言う。


 相手が準備をするというので、待っている間に、私はチイねえに尋ねる。


「敵対しているのでなかったの?」


「それは、あくまで国と国の問題。我らも表向きはそれに付き合いますし、実際公爵家はマガツ国の王家とは断絶しております。更に言えば、その国の王や皇子の悪評を流して、忌み嫌うを装っております。

 ただ、この国境の地は、マガツ国との行き来や交易がなければ、何かと不便な地。公爵はそれを知るゆえに、見逃しておるのです。もちろん、オーゼンシュタインの者どもにはナイショですよ」


 私は初めて父上のしたたかさを知ったのであった。


 と同時に、皇子に希望が持てた。

 少しだけどね。




(創作裏話 本当はドイツのシュバルツヴァルト(黒森)をそのまま持って来ようとしたのだけれど、そちらは針葉樹が密生しているそうだから、『黒林』と(にご)した)

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