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シスコン兄の登場

どうも!世界一の美少女を婚約者に持つレオン・ライルスタ王子です。


最近のシャーロットは日に日に甘えん坊になっていて、それに応えるのが凄く嬉しく思う!


そんなある日…



「殿下…キスしてほしいです…」


綺麗なエメラルドの瞳を上目遣いで見上げる愛おしいシャーロット。


そんな顔をしないでくれ!もうこれ以上メロメロにされたら失神してしまう!


俺はそんな事を思いながら…冷静に対応する


「シャーロット、キスだけでいいのか?俺はいつだって君の求める事は応えるぞ?」


俺はシャーロットを姫様抱っこしながら、ベンチに腰掛け…唇を奪った。


甘い匂い…綺麗な髪に世界一美しい容姿。


シャーロットは両手を俺の首に回して長い時間…キスをした。


唇を離すと、シャーロットはトロンとした表情を見せ…その表情に艶かしさを感じて、そこが一気に元気になった。


「その…殿下…当たってます…」


カアアっと赤面をしながら、指摘するシャーロット。


一体…誰のせいでこんなに元気になったのかを分からせてやりたいのは山々なのだが…学園を卒業するまで、それは我慢しなければならない。


「誰のせいでなっているか分かってる?」


口元を手のひらで隠しながら…赤い顔でコクコクと頷くシャーロット。


恥ずかしがっているのを追い討ちをかけるようにシャーロットに伝える。


「今すぐにでも君を襲いたいし…抱きたい…でも、王家として…一人の男として我慢している。…卒業したら分かっているね?」


「はひっ…」


学園内にある公園のベンチでシャーロットと砂糖の様に甘い時間を過ごしている矢先…


「おい」


横から俺達を邪魔するように睨む男が一人…。


誰だ?邪魔する奴は…?


幸せな時間を邪魔するんじゃねえよ…と顔を上げて睨みつけると…



エメラルドグリーンの瞳とストロベリーブロンドの短髪の男が目の前に立っていた。


顔は愛しのシャーロットそっくりな顔立ちをしてはいるが…目がとてつもなく鋭い。


誰だ?こいつ…


「お…お兄様!!?」


胸元でシャーロットが大きな声で驚いていた。


…声まで美しい。


しかし…この男はなんだ。


シャーロットと似やがって…誰の許可なくシャーロットに似せてるんだっ!


…って


「お兄様!?」


初耳である。


まさかまさかのシャーロットに兄がいるなんて知らなかった。


…というか聞いてねえよ!


そんな設定あったか!?


俺は頭をフル回転させ…ストラルス学園のゲームを思い出す。


説明書に記載されてる登場人物…ストーリー中…パッケージ裏…


しばらく記憶を思い起こし…気がつく。


いたわ。うん、いた。


パッケージ裏にシャーロットと横並びで写った画像、ストーリーで婚約破棄された時にシャーロットに付き添っていた謎の男…etc


お前やったんかーい!


ストーリーに何も言及されてねえから分からねーよ!


「貴様にお兄様と呼ばれる資格はないっ!シャーロットから離れろ!返せ!シャーロットの身も心も返せ!」


シャーロットは慌てて俺の元から離れると、お兄様と呼ばれる男に対面する。


「いつの間に留学から戻って来られたのですか!?どうしてお屋敷に戻らないのですか!?」


あー…なるほど!


シャーロット兄はどうやら留学しているらしい。


そりゃ~知らねえよなぁ


「落ち着いてシャロ、昨日…フェルゼンスから帰ってきたんだよ、シャロ…迎えにきたんだ」


「それは大変でしたね…それで、迎えにきた…とは?」



シャ…シャロ…だと!?


そんな呼び方があるなんて知らなかった!くそっ!その呼び方いいな!絶対真似してやるからな!


俺もベンチから立ち上がって、二人の近くに歩み寄る。


「忘れたのか?シャロ、俺とシャロは婚約して他国に移り住むって話したじゃないか」


「お兄様…冗談ですよね?」


シャーロットは真っ青な顔をしてシャロ兄を見つめている。


おっと…?なんかおかしな話だぞ?どういうこっちゃ??


なんか兄の方、変な感じだぞ?


「忘れたのかっ!兄妹で結婚できる国を見つけたのに!シャロを愛してるのは俺だけだということを!俺の子を産むのは妹の義務だろ!」


おいおいおいおい!こいつ…実の妹に何言ってるんだ!?


頭のネジどこかに飛ばしてきたのか!?


「ちょっと待て!貴殿はシャーロットの兄だろ?そんな滅茶苦茶な話、婚約者の俺が聞き捨てならないぞ!」


思わず割り込んでシャーロットを庇う。


この頭のネジ飛んだ男は俺の顔を見て、般若の様に怒り始めた。


「…お前がシャロを誑かした男か!?許さねえ許さねえ許さねえ!!」


「ひっ…」


シャーロットは恐怖を感じたのか、思わず声を漏らしていた。




精神状態大丈夫か??


「貴様が王子だろうと…シャロは渡さないぞ!シャロは俺の嫁だっ!」


ひいいい…あったまおかしっ…狂気のシスコンが現れた


「シャーロット…無礼承知で言うが…こいつは何だ?」


「私のお兄様です…小さい頃から私と婚約すると叫んで治らず…治療と見聞を広げる為に留学していたのですが…殿下と私の婚約を知って留学先から脱走したと聞きました…」


シャーロット、君はなぜそんなにトラブルが頻発するのだろうか…?


アリエル嬢の件はシャーロットを疎かにした俺(前世の記憶戻る前)にも非があるが…


この兄は知らないぞ…


「そ…そうか…シャーロット、安心してくれ、君の兄は見た通り正気を失ってるだけだ、俺がなんとか矯正させてやる!」



「えっ!?」



真剣にこの兄を睨みつけ、戦う姿勢をみせる。


向こうもその気なのか、般若の顔をしながら腰を低く屈めている。



「シャ…シャロを返せえええええええ!!!!!!」


「目を覚ませシスコン狂い!!!!!」



「や…やめてくださいお兄様!殿下っ!」


シャーロットの制止を無視して…俺と兄と呼ばれる男は拳を上げながらお互いに距離を詰めようと走る。


これは好きになった'女'を取り合う'男'の戦いっ!俺はシャーロットを譲る訳にはいかない!


男には絶対に負けられない戦いがあるっ!それが今だ!!!!!!


インファイトなら…俺は負けねえ!


言っておくが、前世の俺は中学までボクシングやってたからな!


その上、このレオン王子の身体能力も凄まじいから鬼に金棒だ!


「うおおおおお!!!」

「おらああああ!!!」


互いに接近する寸前…


黒白の給仕服を着た女性が上から降ってきて…俺の拳を受け止めた後、シスコン狂いの頭にハイキックを噛まして吹き飛ばした。


「ここにいらっしゃいましたか…若旦那様」


よく見ると…メイド服を着込んだえらい美人さんが俺達の男の戦いを阻止していた。


…降り立った時にスカートが反ってピンク色の下着が見えたのは秘密だ。


シャーロット以外で見えても何の感情も沸かなかった。



「なっ…!メリル!?くそっ!邪魔をするなっ!俺の嫁を取り戻しに来たんだっ!」


「実妹を嫁と仰っておりますが…王令では身内の婚約など許可されておりませんし、お嬢様のお気持ちも無視して突っ走って気持ちが悪いです…それに、私という身近に魅力的な女性がいるというのに…なぜ若旦那様は振り向いてくれないのですか?もっと私を見てほしいものです…」


最後の方はよく分からないが…このメイド、有能だな


黒髪ショートヘアに紫色の瞳…つり目のスラッとした…女性としては高身長な見た目だ。


それよりも、シャーロットよりも胸の膨らみがたわわな感じで、普通に美女と言っていい。


まぁ…シャーロットの方が清楚で可愛いんだがなっ!


「王子殿下、この度はルーカス・ブラウン公爵令息が失礼を致しました…つきましては後日、旦那様から謝罪をさせていただきたく…)「いや、むしろこちらとしては助かった、とにかく…早急にそのシスコンを矯正させてやらねば危険だ…」


「仰る通りでございます…つきましては、他の女性への関心を持つよう矯正していく次第でございます」


メリルと呼ばれているメイドは、早口謝罪を行った後…シスコン狂いの方を向いて歩き始める。


「ま…待てっ!俺にはシャーロットという決められた運命の女がっ!」


メイドはシスコン狂いの首に高速チョップを繰り広げ、意識を刈り取った後…


まるでアメリカ軍がやりそうな珍しい背負い方をした。


「王子殿下…お嬢様、それでは失礼致します」


メイドはシスコン狂いを背負ったまま歩き去っていった。


ブラウン公爵家は変わっているなぁ…とその後ろ姿を見送った。


「殿下…どうかブラウン公爵家を嫌わないでくださいませ」


「嫌うものか…なかなかに強烈な者達であったが、見限ったりはしない」


とにかく、ものすごく強烈な時間を過ごした。


あれが身内になるのかぁ…気苦労が絶えないだろうな…


よくシャーロットは耐えてるなぁホントに


俺はこれから先に起こる厄介事を想像しながらシャーロットに聞こえないようにため息をついた。


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