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デビル・ミュータント  作者: 竹林十五朗
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    友じゃねぇ⑥

「えっ!? お前らそんなこと出来んの?!」

「あぁ、そういう道具があるんだ。こちらに来るときの支給品でな」

「へぇ~」

「当然、悪用は固く禁じられている」

 スコットは、ある者に視線を遣りながらそう述べた。

「あ? んだよ、しねぇよ。……多分」

 含みのある言い方ではぐらかす当人。

「まぁでも、そのときはクリントを殺しても罪に問われないよね?」

「そうだな。友を殺すのは辛い。とても辛いが、どうせ処刑されるのであれば、せめてオレたちの手で葬ってやろう」

「そういうのは友情とは言わねぇんじゃねーかな?」

 以上は、仲間内であるが故に通じる冗談である。士は『逮捕にしとけよ』と思ったが、この話を広げる気はない為、腹に留めた。

「支給品って他にもなんかあんの?」

「あぁ、朝にクリントが飲んだポーションとか、神域でも自由に動ける外套とか、痛みを抑制する仮面とか。あとはバッグ要らずの指輪があるな」

 ほぅ、今はその様な物があるのか。



 《ポーション》とは、飲用する事で摩訶不思議な効力を発揮する薬品の一種である。まあ、漢方薬を物凄く高性能にした物、と考えてくれれば良い。人間が薬局で購入、または病院で処方される物と同様、飲み薬・丸薬・軟膏等の形で使用される。違いはその即効性。

 作製には魔力が必要であり、ヒト族では主にエルフが得意としておる。無論、人間の魔術師にもこれを得手とする者も居(お)る。悪魔だとヴァレフォル公爵家が代表的。具体的な作り方は知らん。

 効果としては、怪我の再生・体力の回復・解毒・病気の治癒、肉体の強化等が一般的。他には、変身や透明化、媚薬や魔力の回復等がある。

 効果が効果である為、材料も特殊な物が多い。ドラゴンやフェニックス、マンドレイクやユグドラシル等の体組織が有名か。鉱物を含む事もしばしばあるな。勿論、人間もよく用いる薬草類が原材料になる事もある。



 指輪はブルースも持っておったな。あの中に色々仕舞ってあったのか。

「ふ~ん。ってことは、他は全部私物か?」

「いや、ある程度は経費で落ちる。バッキーのオリハルコン合金製ナイフやヒュドラの毒みたいに高価すぎると無理だが」

 クリントの矢は経費。スコットの刀剣類は微妙で、物に依(よ)るらしい。

「あ、剣といやぁ、アレはどうやったんだ?」

「アレ? どれだ?」

 剣で連想し、士の頭にまたまた何かが思い浮かんだ。専門家に問う。

「俺の腕を斬ったアレ。こいつの話じゃ、俺の体はアホみたいに堅いらしいし、なんで斬れたんだ? しかもあの時だけ」

 士は己の胸を指でトントンと叩き、延(ひ)いては我を指した。我もその事に対して疑念を抱(いだ)いておった。カイムの身体能力や特性を用いたとて、あの鈍(なまくら)で悪魔化した士の腕を断つ芸当は、かなりの困難を極める。骨の部分を避けたとしても、そう考えた。

「あぁ、それは……教えない」

「は?」

「自分の手の内を明かす気は“まだ”ない。オマエだって、オレたちに言っていないことがあるだろう?」

 キュアファクターとアダマンチウムの骨格の事か。

「言ったら教えてくれるか?」

「ああ」

 交換条件として、士は己の肉体に関する知識を伝えた。ただし、自身も把握し切っておらんので、その断片を。

「ハァ~、あんだけやっても死なないし、それどころかほとんど無傷なのはオカシイと思ったけど、そういうコトだったんだねぇ~」

「何時間も全力で逃げ回れたワケもそれか。そこにアモン家の強靭なボディが加わりゃ、生半可な攻撃は通らねぇしな」

 話を聴いてバッキーとクリントは驚嘆し、同時に納得した。一方、スコットの顔はまだ晴れぬ。

「ふむ、アダマンチウムという金属は聞いたことがないが、《アダマンタイト》とは別物なのか?」

「えっ?! さ、さぁ、それは俺も分かんねぇなぁ……。一緒なんじゃないのか?」

 我もその区別は付かぬ。ただ後者は、古く神話の時代から在ったと認知しておる。巨神が父の性器を切り取ったり、英雄が怪物の首を刎(は)ねたりした、と。前者については数年前、此奴(こやつ)の手術の時が初耳であった。呼び名が違うだけの同一物、その可能性が最も有力そうであるな。

「ほら、俺も話したんだからそっちも早く言えよ」

「ああ、良いぞ。オマエもドコかで聞き及んだことがあるかもしれんが、アレは高周波ブレードという物だ。正確には、持っていた剣にそういう魔術をかけたんだ。」

 はて、高周波ブレード……何だ、それは? 聞いた事のない名称である。ブレードというからには刃物なのであろうが。

「へぇ~、高周波ブレードか。それじゃあブッタ斬られても変じゃないな」

 士は既知の様だ。刀身を超々高速で微細に振動させる事により、切斬力を高める。そういう認識である。これで本当に切れ味が増すのか?

「最近開発された術だから、アモン様が御存じないのも当然だ」

 そもそも覚えたところで使えぬ。無用の長物だ。

「ふ~ん、まぁ、人間も医療とかで利用してるモンな」

「もっとも、効果は短時間しか持続しないし、ハンパな武器だと壊れてしまう事も多いけどな」

「使いどころが限られるってワケか」

 疑問が一つ解消され、一段落。だがそれも束(つか)の間(ま)、次に移行した。

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