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2019年6月6日 コックさんの日企画 だって恋しかったんだもの

今回のお話は「おっぱい」といった単語を不快に思われる方にはオススメできない内容となっております。


大丈夫な方はこのままお進み下さい。

水の二月(六月)六日。

何故かお休み率の高いこの日。


『水の季節』の名の通り、今年も雨が多い季節となっております。

自然の事だもの。それは仕方のない事だって分かってる。


分かってはいるんだけど…。


季節の変わり目で風邪をひいたり、大雨に見舞われてお出かけ予定が潰れたりで、一ヶ月近くママ達やおばあちゃんに会えていない。


つまり何が言いたいのかと言うと。


ふんわり柔らかなおっぱいが恋しい!


なのに、私の現状は右を見ても雄っぱい。左を見ても雄っぱい。


むっちり固い筋肉も普段はご褒美だけど、今、求めているのは温かさと安心感をくれる柔らかい脂肪でできた甘い香りのする女性のおっぱいなんですっ!!!


……とまぁ、心行くまでぶっちゃけた所で本日の任務ミッションを即決しました。

ふんわりした感触のクッションを作って、その上でふて寝する。







という訳で、まず向かった先は、いつもお世話になっております鍛冶部隊は服飾担当部門。


「こんにちはー」

「いらっしゃい、ユーリちゃん。カラフ副隊長なら奥にいるよ」


すっかり顔パス状態。

入口で受付してる隊員さんにご挨拶して、服飾担当部門のお部屋にお邪魔する。


作業中の隊員さん達にもすれ違う時にご挨拶。

皆さん、本当に良い人達ばかりでお邪魔してもいつも笑顔で出迎えてくれる。


「カラフおねーちゃま、こんにちは!」

「ユーリちゃん、いらっしゃい。今日は何を作りたいのかしらぁ?」


一番奥の大きな作業台で何かのデザイン画を確認していたカラフさんに声を掛けると、カラフさんも笑顔で出迎えてくれた。


「ふんわり柔らかい、大きなクッションが欲しいんでしゅ」

「……柔らかくて大きなクッション?」


本当の欲望は心に秘めて、オブラートにくるんだ完成形のイメージを伝える。


「それ自体がソファーになるくらいの大きさで、寝転んだらふんわり体が沈むくらい柔らかく受け止めてくれるクッションを作ってみたいんでしゅ」


そう、イメージは“人をダメにするクッション”。

魔大陸には当然ながらございません。


あれ、私も使ってたんだけど本当に素晴らしい発明品だと思うの。

お茶やつまめるお菓子、読む本などを周りに準備万端整えて、動かず過ごす時間の何と贅沢な事か!


程々柔らかいクッションはあるけれども、あくまでもソファーの背もたれやお尻の下の補助的存在で小ぶり。

中は綿が主で、ビーズなんて考えは今の所無い。


でも魔大陸にある素材で一からビーズを作るの大変だし、程々経ったら補充とか取り替えしないといけないからなぁ。


「…成程、綿の代わりに水と風の魔術を使って中の新しい素材を作る」

「勿論、肌触りのいいカバーも必要でしゅ」


代わりに一つだけ思い付いた事があって。

クッションとかの装飾品関係も扱っている服飾担当にご相談に来てみた。


私が思いついたのは、ずばりウォーターベット。


しかも水なら上手くすれば温冷の温度切り替えもできる。

夏は冷たく快適に、冬や人肌恋しい時は温めて。


それにカバー生地次第で私の求める形以外にも、シックなインテリアとしても使えると思うんだよね。


問題は、水百パーセントだとその重量なんだよな。だから、人に触れる周囲は水で、風の魔術を応用できないかなーなんて思ってみたり。


そして形が自由に作れるとなれば、円座クッションとか座り仕事の多い方にも優しいクッションもいけるかなーなんて?

これはできそうだったら伝えようっと。


「いいわね、その発想、面白そう!」


そんな話をしていると、カラフさんが目をキラキラさせながら手を叩いた。

そして服飾担当部門のメンバーに振り返る。


「カバー生地の選出できてまーす」

「キャスが魔導部隊のいつもの部隊呼びに出ましたー。直に戻りまーす」

「今、隊長にも温度変換装置の話通しに行ってるんで、多分すぐ顔出しますよ」


……と、あちこちからそんな声が次々と上がった。


「アンタ達ったら、流石アタシの部下っ!」

『当然っス』

「おう、またユーリが何か変わり種を思い付いたって?」


そんでもって、予言通り直ぐにジョットさんを筆頭に設備部隊に第二部隊所属してるスイッチ類作成関連の技師さん二人もひょっこり服飾担当部門の入口から顔を覗かせた。


この行動力。凄く頼もしい。







取り敢えず、全員が揃ってからカラフさんがこれまで出た考想をまとめて全員に説明をする事になり。


全員揃うまでの間に出してもらった布の中から試作品と言う名の私専用のクッションの生地を選んでいると、魔導部隊からいつも服飾担当部門に協力しているという隊員さんも三人姿を現わした。


ちなみに服飾担当部門の面々はそれまでにカラフさん指揮の元、全員で協力して全ての作業をキリのいい所まで終わらせていた。やっぱり有能。


そしてカラフさんから考想が説明されると、魔導部隊の三人がサックリ形を作ってくれた。

四角い、普通のクッションの大きめサイズ。


洋梨ペアル型でもう一回り大きくて、少し高くできましゅか?」


取り敢えず、外見をまず私が使っていた形に近付けてみる。

そして、靴を脱いで乗ってみる。


「…もっと体が沈みたいでしゅ」


これはこれで柔らかくて良いんだけど。

何度か仕様を変更してみたけど、ちょっと違う。

プニプニ、プルンプルン、ボヨンボヨンじゃないのよ。


ここは、やはり本心を伝えるしかないか。


「ふんわり柔らかい…あ、おっぱいでしゅ!」


言った途端に、部屋中の大人達がブハっと噴出した。

そのまま噎せる人、呆気に取られる人、赤くなる人、納得する人など色々だけど。


「おー、そりゃあ確かに快適だぜ」


ゲラゲラ笑いつつ、ジョットさんが同意してくれた。

でっしょー?


「そういう事なら……」

「ふぉー、コレでしゅっ。おにいしゃんやりましゅね!」


イメージが掴めたのか、見る見る間にその柔らかさが向上していく。


興奮しながら調整してくれたお兄さんを褒めると、大人達がニヤニヤしながらお兄さんを肘で小突いていた。

お兄さん、さては巨乳派ですな。


「水が四に風が六の比率って所ですね。軽量化は風の魔術の方に術式付与しておきます」

「……もう起きたくないでしゅー」


あー、力が抜けるー。

本当に快適過ぎて、ダメになるぅー。


「で、コイツに温度調整機能だな。水ん中にスイッチに繋いだ小さな熱伝導装置と圧縮装置入れてやりゃ温冷切り替えできるか」

「やってみましょう」

「取り敢えず、先にカバー作っといてくれや」


クッションの上でまったりしている私をひょいっとどけて、ジョットさんがポケットからメジャーを出してサックリ水部分のサイズを計測し、鍛冶部隊の面々を連れて服飾担当部門の部屋を出て行った。


そんな私の横では、カラフさんが魔導部隊の面々からクッション作成の魔術を教わっていた。

あ、私も教えて欲しい。


「そうねぇ、これじゃあもう一回乗ったらユーリちゃん動けなくなっちゃいそうだし、先にカバーを作りましょうか。スイッチの場所が決まったら、そこに細工すれば良い訳だし」


そう思った時には終わったのか、小さく細工を終えたカラフさんが手元に作った小さな水と風のクッションをもふもふしつつそう言った。


「魔導部隊の三人、ありがとう。折角だから三人は帰る前に一度、作成したクッションの感触を楽しんで行ったら?」


カラフさんのそんな言葉に、率先して感触を調整してくれていたお兄さんが真っ先に座って凭れる。


「…おっぱいは、偉大だ」


途端に呟いてぐったり力を抜くお兄さん。


うんうん。

凄く分かる。最高だよね。

いや、勿論大きさが全てじゃないよ?

同性から見てもおっぱいは全て尊い。

それぞれのサイズにそれぞれのいい所がいっぱいあってだね。

語ると長いよ??


思わずこっくり頷く私を他所に、他の二人のお兄さんが力尽くで立ち上がらせて入れ替わる。


「あ、これヤバイ」


そうだろ、そうだろ。

だからこそ“人をダメにするクッション”なんて本来の製品名とは違った名称が付けられたんだから。


「ユーリちゃん、恐ろしいモノを思い付いたなー」


三人が三人とも座るなり力が抜けている。


「「「出来上がったら一つ、予約で」」」


そして、三人は揃ってカラフさんにマジな目でそんな言葉を残して去って行った。


「…………どうしよう。完成前から波乱の予感しかしないわー」


三人の後姿を見送り、カラフさんが乾いた笑いを浮かべてそんな言葉を呟いた。

その予感、正しいと思います!







服飾担当部門のお力を借りつつ、しっとりスベスベな柔らかい生地でクッションカバーを作成。色は綺麗で明るいマリンブルーです。


軽量化の魔術がバッチリ効果を発揮し、私でもちゃんと持ち上がるのでカバーの取り付けも一人で大丈夫。

体が小さいから、あっちへちょこちょこ、こっちへちょこちょこ動き回る事で時間がかかるけれども。


どうにかカバーを掛け終えた所で、カラフさんをニコニコ笑顔で“人をダメにするクッション”にご案内。


「………………これ、ダメだわ。ちゃんと生産体制を確立してからじゃないとアタシ達の業務が死に物狂いになるヤツ」


クッションに埋もれてグッタリ脱力しつつも、カラフさんがこれからを考えてスンッと真顔になった。


他の服飾担当部門の面々もクッションに交代で埋もれる中、私もカラフさんにクッション作成の魔術を教えて貰い。


そのついでに円座クッションを試作し、素材故の低反発がいかに腰とお尻に優しい効能もプレゼンしてみる。

そして、これはそのままカラフさんにプレゼント。


「……ユーリちゃん、これ、クッションの一大革命よ。腰痛は勿論、コッソリ痔で悩んでる内勤担当者多いのよ。クッションの特注って形でどっちも服飾担当部門ウチに相談に来る隊員は案外多いの。そういった隊員達の救世主と言っても過言じゃないわ。それどころか、何ならもうその二つの予防推奨品として治療する医療部隊も巻き込めるレベルよ?」


笑顔の消えたカラフさんは、遂には遠い目になった。

あれ、もしかしなくても凄くお仕事増えちゃったパターン?


「と言うか、生産数ザッと考えただけでも色々と厳し過ぎるわね」

「…ならボクからエリエスたいちょと親衛隊のおにいちゃま達にご協力を要請しましゅ」

「本当に!?」

「カラフおねーちゃまがそう判断したのならきっと間違いないでしゅ。予算も必要だし、書類も多いでしゅよね? なら、もう最初から専門部署を巻き込みましょう」

「このクッションを報酬にすれば、絶っ対に協力してくれるわ。だって、座り仕事の最たる部隊だもの」

「医療部隊の方が先でしゅか?」

「そうね。コレにカバーも付けて。ついでにそっちのソファークッションにも興味を持つと思うから、温冷切り替えスイッチまで付けてから見立てをお願いしましょう。そっちの方が生産計画も立てやすいし」


グダグダになる服飾担当部門の面々を見つつ、カラフさんとそんな密談もちゃっかり交わしてみた。







「おう、待たせたな」


そして服飾担当部門が全員“人をダメにするクッション”を試し、密談をまとめつつ同時進行で“円座クッション”に即席カバーまで付けた所でジョットさんと技師さん達が小さな装置片手に出現した。


「あんま熱くなり過ぎても冷た過ぎても良くないだろうから、それぞれに上限付けといたぞ。容積に合わせて魔導石も小せぇから魔力の補充がこまめに必要なのが課題だが、こんぐらいの装置ならやたら重くもならねぇしいいだろ」

「あら、それくらいの大きさならカバーの加工も楽だわぁ」

「ユーリの手が届くこの辺から入れとくか。カラフ、頼む」


完成していたカバーをカラフさんが外し、ジョットさんが水部分に装置を設置していく。そのままテキパキと試運転させて温度確認もしていく。


「大体温泉から水浴び出来る泉の間の温度設定だ。効果は魔導石に魔力満タンで約二刻」

「そうね、そのくらいで十分だと思うけれど」

「分かりやすいように赤と青の色表示のダイヤル式にしといた」


取り付けが終わった所で、カラフさんがパパッとスイッチ部分の加工をしてくれた。そのままカバーを掛けてくれる。


「でね、隊長。コレ、ちょっとご相談案件になりそうなのよねぇ。はい、座って」


そこまでした所で、カラフさんが言いつつジョットさんを完成した“人をダメにするクッション”に座らせる。

あの大柄なジョットさんをスムーズに座らせられる辺り、カラフさんも綺麗な見た目に反してしっかり成人男子だよなぁ。


「……ふむ」


一方のジョットさんはと言うと、そのまま脱力してダイヤルを回して好みの温度にしてるみたい。


「やべぇな、このおっぱいクッション」

「その名前は絶対に却下だけど、ヤバイでしょう?」

「おぅ、間違いなくやべぇ」

「それとね、実は隊長が装置作ってる間にもう一つヤバイのができてるのよねぇ」

「マジか」


クッションを堪能しつつ笑顔でカラフさんと話していたジョットさんだけど、カラフさんが円座クッションを手に言葉を紡ぐと目を丸くする。


「今度はこっちねー」


移動式のキャスターの付いた丸椅子に円座クッションをセットし、ジョットさんの手を引いてカラフさんが誘導する。

それに逆らわずジョットさんが動き、椅子に座った。


「構造は全く同じ水と風の魔術だから、低反発なの。しかもお尻の負荷が減るように穴開き。座り仕事の慢性的な腰痛と影のお悩みの痔の軽減が見込めちゃいそうなのよねぇ。まぁ、その辺りは医療部隊に見てもらうのが間違いないと思うけど」

「ある意味、こっちのがやべぇじゃねぇか。オレも作業椅子用とあっち両方欲しいぞ」

「そんなのアタシ達もに決まってるでしょ!」


こちらもこれからを考えてスンッと一瞬で真顔になったジョットさんがカラフさんに告げる。

ちゃっかり自分達の分も数に入れてるしっかり者の二人だ。


その間にスイッチに協力してくれた技師さん二人も“人をダメにするクッション”に座ってくつろいでいた。


「で、こうなったら最初に医療部隊に見てもらって生産計画立ててから真っ先に書類部隊に協力仰ごうってユーリちゃんと話してたのよ。コレ、下手に発表しようもんなら鍛治部隊の業務・予算共に瀕死になっちゃうのが目に見えるし。何なら隊長が座ってる方のクッションは有料で製造方法開示して製造委託も有りだと思ってるんだけど」

「クッション大革命だな。こいつぁ久々に色々と来るぞ」

「とにかく、まずはちゃんと名前も付けないと。それと隊長、次の部隊長会議でロイス隊長に絶対話を通して頂戴」

「つーか、もう先に作っとけ。再来月だろ、四領会談」


その間にも、ジョットさんとカラフさんの相談は続く。

あれ、何でここでロイスさんの名前が出たのかしらん?


「ユーリちゃん、このクッション達、何か名前考えてる?」


小首を傾げていると、カラフさんから話を振られた。


…“円座クッション”はそのままで良いとして、流石に“人をダメにするクッション”はマズイよなぁ。


「ジョットたいちょが座ってる方は“円座クッション”、ボクが最初にお願いした方は“くつろぎクッション”でしゅかねぇ」

「あらぁ、素敵っ。隊長の命名と雲泥の差ね。取り敢えずの名称はそれにしましょう」

「だってよ、柔らかさの基準になったのがおっぱいなんざ強烈だったからつい、な。正直内部ならともかく表には製造話出せねぇヤツだな」


ニヤニヤ笑いジョットさんのお言葉、ごもっともです。

その辺りは上手く誤魔化してね。


「さて、そろそろいい時間だし、医療部隊に話通して昼飯にしようぜ。そうしねぇとユーリが折角作ったクッション使えねぇしな」


そんなジョットさんが壁掛け時計に目をやり、話を締めくくる。

言われてみれば。




ぐーぎゅるる…




うん、今日も通常運転だね。お腹の虫。

まだ本格的な鳴き声じゃなくて予告的な控えめさだけれども、主張はしっかりするのね。


「そうね。ユーリちゃんのお昼寝に是非使って欲しいもの。そうしましょ」

「おぅ。おめぇら、バッチリ聞いてただろ。オレ達は言った通りだから先に出るぜ。適当に切り上げろよー」

『はい!』


しっかり聞き耳を立てていた鍛治部隊の面々に言い置き、ジョットさんが私を抱き上げてカラフさんも引き連れてサッサと部屋を後にする。





やる事を終えて、美味しいお昼ごはんを堪能して、“人をダメにするクッション”でのお昼寝は最高でした。


やっぱりと言うか当然と言うか、ママ達やおばあちゃんのだっこには敵わないけど、これならもうちょっとの間は我慢できるわー。







因みに私のこの碌でもない思い付きから生まれたクッション達。


今日は患者も少なかったらしく、お昼前という事もあって丁度手が空いてたらしいヴィンセントさん始め医師数名に“円座クッション”を見てもらい。こちらは狙い通りの効果が期待できるとの事で、直ぐにGOサインを頂き。


同時に誕生という事で、やはり興味を持ったヴィンセントさんが確認した“くつろぎクッション”はと言うと。

何と温度調整が出来る事から医療器具として利用できると認められ、ソファークッションではなくウォーターベッドとして医療部隊から鍛治部隊と設備部隊への共同開発依頼へと発展し。


それならとうっかり零した整体でお馴染みのマッサージ機能の意見まで採用され、気付けば一大プロジェクトとして発足する事になり。


そんなこんなでカラフさんがジョットさんと相談して予定を組み上げてから企画書をおこし。

翌日の朝一番にカラフさんに連れられて早速書類部隊に相談した所、“円座クッション”は書類部隊の業務上やはり食いつきも良く、快く書類仕事と予算の協力を仰げた。


可能な限り高速で諸々が準備され、いざ発売となった“円座クッション”は書類部隊でまず飛ぶように売れ、その良さが他の部隊でも口コミとなり一週間後には北の魔王城をアッサリ飛び出して北の魔王領全体で老若男女問わずの爆発的大ヒット商品となり。


更には一ヶ月後に北の魔王(カイユ)様によって四領会談という東西南北の魔王様が年に一度、一堂に会する重要な場で北の魔王領からのお土産品として他の魔王様達に贈られ。

…万年筆はともかく、円座クッション。まぁ、魔王様達だって座り仕事多いだろうけど。うん。いいのか?


そして“円座クッション”に少し遅れて発売に漕ぎ着けた“くつろぎクッション”。これを秘密基地にも大柄な大人でも大丈夫なサイズで一つ設置してみたら。


魔王カイユ様がくつろぐあまり、特別な理由無く初めて仕事開始時間を延刻したらしい。

その事から“人をダメにするクッション”なんて近習部隊から呼ばれ始め、結局気付けばそちらが主流の名称になっていた。あらま。


一切宣伝しなかったにも関わらず、こちらもジワジワと口コミが広がっていき、気付けば予約待ちの大人気商品に。


終いには、三ヶ月後には魔大陸の他の魔王領をも巻き込んだ一大クッションブームを巻き起こすなんてこの時は全く思いもしなかった。

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