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私は平凡周りは非凡   作者: 雪香
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世紀の大決戦?




「…つまり、兄貴と有川四毅の姉貴が同じクラスって事かよ?」

「まさか、お前と由香利が知り合いとはな…。」


よく見れば似ている兄弟は、お互いに状況を説明すると驚いていた。昴が此所に居たのは、弟の決戦?を聞き付けて止めに来たらしい。

由香利は三人組から子細を聞いて駆けつけたので、お互い理由は近いだろう。 とは言え、元々は決闘自体も由香利が了承してしまった事だが。


「まさか君が昴の弟だなんて、世間って狭いね。」


何やら騒ぐ周囲には悪いが、流石にクラスメイトの弟だと知ってはこのままに出来ない。

今日の決戦止めとかない?と切り出すと、「はあ?何でだよ」と苛立ちを向けてくる。


「おい、綺羅。年上にそんな口の聞き方するんじゃねえ。」


兄に諌められた不良少年は、目を丸くして口をあんぐりと開けた。


「…驚いた。兄貴がそんな事言うなんて、もしかして兄貴の彼女なのか?」


昴と由香利を交互に見ては、何やら何度か頷いて一人納得している。「最近何か機嫌良いと思ってたけどなー」との綺羅の言葉は見逃せないが、慌てて否定させて貰う。


「まさか!ただの友達だよ。」

「…"今“はな。」


兄の呟きに何か察したらしい弟は、少し悪い笑みで二人を見つめるのみ。 それに首を傾げる由香利と、昴は無言で弟の頭をはたく。

痛い、と反論する綺羅はチラリと由香利を見てから、側へと近づいて声を掛ける。


「悪いことは言わねーけど、兄貴は止めとけよ。今まで兄貴に泣かされた女見てきてるからさ。」

「…え?あー、よく分からないけど分かったよ。」


お前…いやアンタ良い奴だから言っとく、と言われた内容は理解不能だ。昴が女の子を泣かせてきた…?まあ、イケメンだし有り得そう。ていうか、昴が私を相手にするとか無いでしょ。


そんな事を考えていると、急に周囲のざわめきが大きくなる。所々から耳に入る「金狼だ」「シキが来た」の声に、騒ぎの元へ目を向けた。


「おい。何処に逃げやがった?」

「有川四毅!…逃げてねえよ、ぶち殺す!」


面倒臭そうにスラックスのポケットに手を突っ込んだままの四毅に、眉を吊り上げ戦闘体制に入る綺羅。二人の邂逅に盛り上がりを見せる周囲とは裏腹に、由香利は戸惑い気味に二人を眺める。

先程の三人組が「やっちまえー」と叫ぶのも気付かず、どうしようかと困惑してしまう。


「なあ由香利、気のせいだったら悪いが。有川四毅って…」

「うん、私の弟なんだよね。」


マジかよ、と昴も頬を引き吊らせる。


「………次いでに、決闘をOKしたのも私です。ごめんなさい。」


懺悔する由香利を見る昴は、それに関してはあいつらが悪いだろ、とハッキリ否定する。昴が言うには、綺羅は自分の真似をしてああいう風になっていったのだが、最近は「有川四毅を倒す!」事を目標に身体を鍛えていたらしい。


四毅を倒す為…って。そんな目標困るんだけどな。男同士の事だから口を挟むのも憚られるが、昴の弟だと知った今は決闘をさせたいと思わない。


「俺が止めてやろうか?」


昴の申し出は有難いけど、これは自分の撒いてしまったことだ。始まった決闘は激しい物だけど、行くしかない。


「…大丈夫。私が行く。」


危ないから止めろと言われても、人混みを掻き分けて前へと進んでいく。昴の弟はともかく、四毅ならきっと止められる筈。綺羅君、すっごい怒りそうだけどごめんね。恨むなら私を恨んで良いから。


飛び交う声援と野次。徐々に立ち込めていく熱気は、足を進める事を躊躇わせる。

それでも行くしかない…とあと一歩で人混みを抜け出す所だろうか、背後から掴まれた腕に進んだ筈の体が戻される。


「酷いですよー!姐さん…じゃなかった、ゆかりさん!」

「置いていかないで下さい〜!」

「紫鷹めっちゃこええええー!」


ちょっ!アンタ達かーい?!

右腕に青髪、左腕に赤髪、肩にかけた鞄に緑髪が引っ付く様は「わあ、カラフルー」なんて他人事に笑ってしまいたい。


「いや、あのね、一回離してくれる?今、すっごーく忙しいっていうかね…。」

「嫌っスよー!また、紫鷹が来たら、一陣の終わりです!」


一陣…一貫の終わりって事?

焦る由香利は相手の言い間違いを指摘する余裕も無く、3人を引き剥がそうと足を踏み出すが、流石に男子中学生三人の力に敵わない様だ。


「いい加減に…「おい、誰に気安く触ってやがんだ?ブチ殺されてえのか、あ?」……あーあ…。」


声を掛けてきた人物の姿に、赤青緑三人衆は目にも留まらぬ素早さで手を離し後ずさる。

離れた三人を睨み付けながら、由香利の腕や背中に視線を落としうなづく。怪我等変化が無いのか観察したらしい。ふいに上げた顔には、負の感情は見受けられないが「何で此処に居るんだ?」とでも言いたげだった。


「何かあった?…あ。もしかして、そいつらから逃げて来た?んじゃ、絞めとくわ。」

「えっ…ああ〜違う違う!様子を見に来ただけだよ。」


背後から聞こえる三人組らしき悲鳴を耳にし、直ぐに否定しておく。言って直ぐに、喧嘩を止めてと言う流れに出来ない雰囲気だと気付く。







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