第十一話
「ダンテ、どうしたんだよ。」
アリスさんが団長さんに訊きました。団長さんは私をじっと見据えて、真剣なお話を始めます。
「セブンちゃん、今後の君の生き様をどうするべきか…それをちゃんと考えないといけない。」
「親も居ませんし、家もありませんからね。」
「そうそう、そういう事だセシル。」
そう…私にはもう、殆ど何も残っていない。だからこそ、何にも縋れないという事。そんな単純なことを、忘れかけてしまっていました。
「ダンテが保護すれば良いんじゃないのかな。」
真っ先に口を開けたのはアリスさんでした。しかしこの提案に対し団長さんは首を横に振りました。
「傭兵は危険な仕事だ、俺達について世界を回っていたら…最悪の場合がある。」
「逆にあんたが保護するって選択肢はないのかい?」
ジルヴァーナさんの声でした。アリスさんはそれを聞くとうぅん…と唸り首をひねります。
「僕ってさ、収入少ないんだよね…。正直、子供を3人も預かる余裕はないかな…。」
嗚呼、私はどうすれば…!
「だったら、決まったようなもんだな。だろ?」
クロ…何を言って
「そうじゃな。ならば簡単なことじゃ。」
ベラトリクスまでそう言うものですから、リカオンの皆さんもアリスさんも目を丸くして二人を見ます。一体何を考えているのか、と期待しているかのような様子です。
「俺達3人で頑張る。」
が、頑張るって…
「儂も同じ考えじゃ。何よりセブンの為にのう。」
二人揃って何を言ってるんですか!?
「セブンは大人に繰り返し裏切られた。儂が思うに、本人は意識していないかも知れんが、大人を信じられなくなっておるじゃろう。」
「だったら、下手に施設暮らしするより俺達で頑張った方が良いだろ。」
「随分とぶっ飛んだ意見を持っているね君達???」
アリスさんはそう言いますが、二人は怯みません。
「セブンが安心できるのは儂らが信用できると感じておるからじゃ、いつ心が壊れるとも知れんのじゃぞ?」
「眼の前で死にたいなんて事語られた経験あるんだからな俺達!」
どんどん置いてけぼりにされている気がした私も、負けじと声を張り上げました。
「ちょっと待って、なんで私が壊れそうな事前提なんですか!?」
「…実際一度ゴミ捨て場でボロボロだったじゃろ。」
確かにそれは否定できませんが、と言葉を続けたかったのに、その時私は何も言えず…
「儂らだけで世界を旅してみるというのはどうじゃ、面白そうじゃろ。」
ニコニコしながらベラトリクスはさらに夢を広げます。
「良いなぁそれ、面白そうだ!」
クロもノリノリです。
「だが、資金が無いだろう。」
「そうだな、カネがなけりゃ何もできないが、お前達でそれを十分に確保できるとは思い難い。」
エルヴァートさんと、団長さんの現実を見据えた言葉が叩きつけられ、議論はストップしてしまうかのように思われました。
「まぁ、資金援助が無いと言い切る事も出来ないがな?」
続けて団長さんがそんな事を言い出した事で、クロとベラトリクスは目を輝かせます。
「ダンテ、それ本気?」
アリスさんが口を挟みますが、団長さんはそれを制して話を続けます。
「ただし、3人である事の意味を3つ以上出してもらおうか。」
そういえばベラトリクスは私の為と言っていました。これがどういう意味なのか…団長さんはきっとそれが知りたいのでしょう。
「ふぅむ…ならば儂が説明してやるかの。」
「あぁ。色々教えてくれよ。」
クロは団長さんを見てにっこりと笑うベラトリクスに信頼の眼差しを向けていました。私は今後…どうなってしまうのでしょうか。




