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第13話 花束

――朝だった。




目を開けた瞬間、


部屋のぼやけた輪郭が、ゆっくり戻ってくる。


カーテンの隙間からほんのわずかに、白い光が漏れている。




隣は、空いていた。


シーツは少しだけ乱れていて、


指先を伸ばすと、まだ温もりが残っている気がする。


昨日の名残みたいに。




息を吸う。


昨日は気づかなかった部屋の匂い。


それに混じって、


確かにそこにいた彼女の気配だけが残っていた。


時計を見る気にはならない。


急ぐ理由も、


確かめる理由もないから。


静寂のなか、


窓を叩く微かな雨音だけが響く。




――まだ、彼女の温度は残っている。




それだけで、 今は起き上がらなくてもいい気がした。








どれくらい、ベッドで丸くなっていただろうか。


目を覚ましたときよりも雨脚が強まっている。


今日が桜の季節なら花は全て散っていただろう。




トイレに行こうと立ち上がった。


フローリングの床がひんやりと冷たい。


テーブルにメモ書きが貼られていることに気が付いた。




【夕方までには戻ってくるね。


 ご飯はキッチンに置いておくね。】




ありがたく、ご飯をいただく。


スマホを開いて、お母さんにメッセージを送る。




適当につけたテレビ。


昼のニュースが流れている、


どんな内容だったかは覚えていない。




エアコンの音だけが、うるさかった。








ガチャガチャと鍵を差し込む音が、


小さな1Kの部屋に静かに響く。


みお先輩が帰ってくるまでの待ち時間は相当長く感じた。




テレビを消して玄関に向かう。




――目が合う




「ただいま。」




優しい瞳。




語りかけるような声。




雨で濡れて透きとおるような、




秋月澪――




どれだけの不甲斐なさを感じても、


今までは泣かなかったのに。




彼女のただいまという言葉、


彼女がいるという事実だけで涙が溢れてきた。




息が、浅い……




「…おかえりなさい」




止まらない涙を必死に堪えて絞り出す。




こんなに情けない姿を、


彼女の前では見せたくなかった。


私とあなたは対等になれたと思いたかった。




彼女は、


卒業式の日の続きのように、


優しく抱き締めて耳元で囁く。




「どうしたの?」




私がこれから何を言うのか、


彼女はわかっている。




それでいて、


選択権を、


私に委ねている。




進めばきっと、


あなたから、


もう戻れなくなる。




でも、もう、そんなことはどうでもよかった。




1Kの、この空間だけが、今の全てだ。




フローリングの冷たさを今は感じない。




泣きじゃくりながら問いかける。




「今夜も、一緒にいていいですか。」

最後まで閲覧いただきありがとうございます。

たった、1万字程度ですが、小説を書くというのはかなり疲れるものなんですね。

思い付きで突っ走って書いてみましたが、処女作にしては満足いくものになりました。


章タイトルは、ありきたりですが花言葉です。

一部の花に関してはその特性だったり形容を物語に落とし込んだりしています。

↑まあ、胸張ってそれができているとは言えないですが。あと、一部です、すべてじゃないです。

また、本文にでてくる色は章タイトルに対応する色だったりします。

だから、アスターは青色です。その他、特に記載のない色についてはその花全体の花言葉です。

↑まあ、花言葉なんて1種類の花に何個もありますし、別に調べなくていいです。

朝倉咲はアサ+サクラでアサクラです。途中で散らせてます。

花束は冠婚葬祭すべてのイベントで用いられます。最終章以降の進み方は皆様にお任せします。


その他もろもろ、考えて書いた部分もありますが、どれか一つにでも気が付いていただけたのならありがたいです。


与太話が長くなりましたが、もしもここまで見ていただける方がいたのならば感謝申し上げます。

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