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第11話 月下美人

文化祭当日の生徒会の仕事や、


クラスでの仕事は可能な限り全て引き受けた。


人との壁を感じるのなら、


一人で、与えられた役割に徹したいと思った。


それを引き止める人は、


今の私にはいなかった。




1日目、2日目と平坦に過ぎていく。




後夜祭の花火が打ち上がる時間、


私は薄暗い校舎で、


思い出をめぐるように廊下を歩いていた。




誰もいない生徒会室。


指でなぞる座面に、


あの頃の温もりは感じない。




「…みお先輩」




白と金の光が、私の影だけをこの部屋に落とす。




わたしのこの気持ちの名前が知りたかった。


あなたにとっての、わたしが知りたかった。




これは結局逃げでしかなくて、


現状を改善する手段でないこともわかっていた。




一人じゃ何者にもなれない自分自身を、十分にわかっていた。




あなたに会えば、自分で自分を傷つけることも、わかっていた。










ポケットからスマホを取り出す手は、小刻みに震えていた。


最後に連絡したのは半年前。




久しぶりに素直な気持ちを書き出す。




【明日、会いたいです。】



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