13/15
第11話 月下美人
文化祭当日の生徒会の仕事や、
クラスでの仕事は可能な限り全て引き受けた。
人との壁を感じるのなら、
一人で、与えられた役割に徹したいと思った。
それを引き止める人は、
今の私にはいなかった。
1日目、2日目と平坦に過ぎていく。
後夜祭の花火が打ち上がる時間、
私は薄暗い校舎で、
思い出をめぐるように廊下を歩いていた。
誰もいない生徒会室。
指でなぞる座面に、
あの頃の温もりは感じない。
「…みお先輩」
白と金の光が、私の影だけをこの部屋に落とす。
わたしのこの気持ちの名前が知りたかった。
あなたにとっての、わたしが知りたかった。
これは結局逃げでしかなくて、
現状を改善する手段でないこともわかっていた。
一人じゃ何者にもなれない自分自身を、十分にわかっていた。
あなたに会えば、自分で自分を傷つけることも、わかっていた。
ポケットからスマホを取り出す手は、小刻みに震えていた。
最後に連絡したのは半年前。
久しぶりに素直な気持ちを書き出す。
【明日、会いたいです。】




