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ジェンダーレス男子と不器用ちゃん  作者: 高井うしお


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結婚式

着替えとヘアメイクが終わったら、軽くプランナーさんと打ち合わせだ。こちらは朝から待機してくれているマネージャーの山口さんが手伝ってくれた。


「はいはい、急いで急いで」


 ほっとする間もなく今度はリハーサル。今回は人前式にしたから会場で誓いの言葉を言うだけだ。一番心配だった天気はばっちりみたい。


「それじゃ、写真とりますよー」


 その言葉で今度はまた移動する。普通の結婚写真とマスコミに配る用にブーケで顔を隠した写真の2種類を取った。


「はぁー、緊張する……かのん君は余裕だね」

「そりゃ本業だから。さぁ、家族にあいさつして来ないと」


 私達はそれぞれの家族の部屋へ行き、あいさつをした。


「まぁ、真希さん綺麗ねー」

「かのん、しっかりしろよ」


 かのん君の両親がそう声をかけてくる。


「真希、綺麗よ。とっても似合ってる」

「ありがとう」

「真希幸せになれよ、加藤君よろしくな」

「お父さん、真希ももう加藤さんなんですよ」

「お、おう……」


 私の両親は緊張しているようだった。六本木のこんな大きなホテルの大会場での式だもんね。お父さんはパニクりながらもすでに泣きそうである。


「ああ、長田さん」

「ああ、どうもこの度は……どうぞうちの娘をよろしくお願いします」

「大事なお嬢さんでしょうから、もし喧嘩でもしたらうちの南をしかってやりますよ」


 互いの両親が挨拶をした所で、とうとう披露宴だ。


 


ざわざわと人の声が聞こえてくる。会場にはすでに沢山の人が集まっているようだ。


「みなさま、大変お待たせいたしました。これより、加藤南さん、長田真希さんの結婚式を始めたいと思います。それでは皆様お庭にご注目下さい」


 司会の声が聞こえてくる。ああ、緊張で口から心臓が飛び出しそう。


「真希ちゃん、行くよ」


 かのん君が私の手を取る。うん、大丈夫。となりにかのん君がいるんだから。私もかのん君の手を握り返して歩を進めた。


「新郎新婦の入場です!」


 お庭の見事な花の中を歩きたいというのが私達のささやかな希望だった。それに合わせてカーぺットを敷いて準備してくれた会場のスタッフさんには感謝。

 徐々に近づいて来る、私達を目にした会場のゲストからおお、とどよめきが漏れる。

 この日の為にオーダーした私達の衣装は純白。私のドレスはベアトップにレースとフリルがふんだんにあしらわれ、かのん君は変形のタキシードにおそろいのレースとフリルがあしらわれ、足下にはヒール靴。


「それでは、今日ここにお集まりの皆様を証人として誓いの言葉をあげていただきます」


 司会の方……この人も結構有名なアナウンサーらしい、と目が合い私達は手元の紙を見る。ええい、静まれ心臓。だたこれを読むだけなんだから。


「本日、私たちは、ご列席くださった皆様の前で夫婦の誓いをいたします」

「真希さんと偶然からここまでくるのに、まだ半年と短いですがこれは運命の出会いだったと思います」

「私もかのん君もそれぞれ得手不得手がありますが、お互いを支え合って生きていこうと思います」

「これからは、信頼と愛情をもって、助け合い、励まし合って、より良い家庭を築いて参ります。○年十一月○日」

「新郎 加藤南」

「新婦 長田真希」


 会場から割れんばかりの拍手と喝采がわき起こった。ああ、かまいたちさんが号泣している。


「それでは指輪の交換です」


 リングピローを持って現れたのはさくらちゃんだ。このピローも手作り。二匹のウサギが仲良くリングを抱えている。


「お幸せに」


 心からの笑顔で差し出してくれたその指輪をかのん君が受け取る。スルリとグローブを外して指輪が左手薬指にはめられる。そしてかのん君の指にも。二人のネイルはこの日の為におそろいの白い羽根のネイルだった。


「はい、これでお二人は晴れて夫婦となりました! 皆様拍手を」


 みんなの温かい拍手に囲まれて挙式は終了した。

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