昼 王座の横で
太陽が光り輝く光の世界の王宮。
王座の横に、1つのルキウスフラワーが咲いていた。
闇のように黒く染まった花が散ってから、幾ばくかの時が経ったある日。
純白のルキウスフラワーが、突如淡い光を放つ。
黄金の輝きが消えると、そこには淡い桃色の花が姿を現した。
エリオス王はその一部始終を見て、怪訝そうに眉をひそめる。
「……なんだ、この色は? 結局、ルナは目を奪われたのか? 天人の目を手に入れても、影人が光の世界へ来ることは不可能だというのに。どういうことだ?」
訝しげな光の王を背に、ソルは一人、息を呑んだ。
ソルの脳裏に、あの日――太陽に焼かれ、光の民に迫害され苦しむ闇の青年の姿が蘇る。
(あぁ、ルナ。君はきっと……太陽で目を焼かれたノックスに......片方の目をあげたんだね。)
胸の奥に冷たい痛みが広がる。
あの日光の世界を去ってから、君は......僕の知らない場所で、僕の知らない選択をして――もう、永遠に僕の手が届かないところに行ってしまった。
それでも、不思議と少しだけ肩の力が抜けた。
(でも、きっと君は、闇の世界で、自分の居場所を見つけたんだね。寂しいけれど……元気で生きていてくれるなら、それでいい。)
ソルは淡く優しい色に染まった花を見つめながら、胸の奥に渦巻く痛みと安らぎを同時に抱きしめた。
ヘーゼル色の瞳はわずかに潤んでいた。
桃色の花はその後数百年間にわたり、王座の横で誇らしげに咲き続けた




