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57.新天地へ


私は現在シュバリエ侯爵家で生活している。


というのも、シオンに乞われたからだ。

いきなり「これから侯爵家で暮らしてほしい」と言われて驚かない人間がいるだろうか?いやいない。

「どうして?」

とりあえず理由を聞く。


「レイと離れたくないから。一秒でも長く傍にいて欲しいから」

と熱烈な言葉をもらい呆気に取られない人間がいるだろうか?いやいない。

だって、あのシオンだよ?堅物の。言葉数の少ない。

呆気に取られていると

「義父上にはレイが良いならと了承は得ている」

根回し済みだと?

なら、侯爵家で生活する。の一択だろう。

こんなに乞われて嫌だと思う人間がいるだろうか?いやいない。


ということであれよあれよという間に侯爵家での生活が決まった。

ちなみに母たちは

「あらあら!まあまあ!レイったら」

と同じ反応で両手で頬を包みながらニヤけていた。

弟たちは

「姉さま!出て行くの?えー!!嫌だ!嫌だ!」

と駄々をこねる可愛いルイ。

「姉さま、僕は遊びに行ってもいいでしょう?」

とこれまた珍しく可愛いことを言うルカ。

「ルイもルカもいつでも遊びにおいで!姉さまも帰ってくるしね」

と2人の頭を撫でておいた。

もうルカもルイの影武者をしなくて良くなったから、伯爵家にふさわしい相応の装いをしている。

今は見た目がそっくりだから、ガオナー家病弱説を利用してまだまだ表に出ない予定である。


ちなみに父様は

「レイったらやるねえ。あんなにシオン殿を骨抜きにしたの?さすが私の娘だね」

「骨抜きにした記憶は無いのだけど」

「無自覚とは罪深い。私など自覚してるのに、レイも認めなさい」

「父様、たち悪いー。まあでも父様も安心でしょう?」

「シオン殿なら可愛い娘を預けるのにふさわしいからね。あそこまでレイに入れ込むようになるとは思わなかったけどね」

「私が魅力的すぎたのね。美しいって罪ね」

と頬に手を当て大げさに演じてみると父様も

「美しいとは罪さ。まあ私の娘なのだから美しいのは当然さ」

と髪をかき上げ大げさに演じる。

それを見ていた陛下が

「レイは本当にリカルドに似たな」

としみじみ言っていた。




私が侯爵家へ引っ越すにあたって、一番寂しそうだったのがライだ。

「レイ、侯爵家へと移るんだって?」

「そう」

「やっぱり寂しいよ」

「私も寂しくないと言えば嘘になる。だって誰よりも長く一緒に過ごしてきたんだから」

「レイ、今までありがとう」

「いいの!私も楽しかったわ!普通のご令嬢じゃ体験できないことをしたもの!ご令息でも体験できないことだったわね!」

「シオンに幸せにしてもらうんだよ」

「あら。ライ!私が幸せにしてもらうっていうのは当たり前だけど、私だってシオンのことは幸せにして見せるわよ」

「そうだった。私もレイに幸せにしてもらっていた側だった」

「でしょう!だからライは自分も目一杯幸せにしたい相手を見つけてね」

「わかった」

「それから、私はここを出るけどライとは従兄妹なのだからこれからも大事な相手には変わりは無いのよ?」

「それもそうだった。私の大事な従妹殿、これからもよろしくね」

「もちろん!」


と私は長く暮らしてきた王宮を出てメリッサとフレッツと共に新天地へと向かった。

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