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53.令嬢バージョン強い


騎士団へお邪魔するのに、クッキーだけでは口の中の水分が持っていかれるだけになってしまうのでスポーツドリンクを作ることにした。

水+砂糖+塩+レモン

以上だ。あとは味見で適当に作る。


それを隣で見ていた料理人は

「ローレライ様、それは何を作られているのですか?」

「飲んでみて」

怖々と口に運び、そして

「何ですか!これは!爽やかで、甘くてそれでいて塩味を感じる」

大層な感想である。

「汗をかくと身体から塩分が出て行くでしょう。それを補ってあげないと人は脱水を起こすの。料理人の中にも夏に倒れる人いない?」

「います!」

「それは熱いのと汗をかくからなんだけど、これを飲めば予防にもなるしお砂糖が入ってるから疲れも取ることができるのよ」

ざっと説明する。

「ローレライ様は色んなことをご存じなのですね」

「たくさん学んだだけよ。さて騎士団へ行ってくるわね。またお邪魔させていただくわ」

色々誤魔化しながら、騎士団へと向かうことにする。


騎士団へ令嬢として行くのは初めてだ。

「メリッサ、何かこの格好で行くの変な感じね」

「レイ様、これが普通なのですよ。レイ様はお美しくていらっしゃいます!!その辺の令嬢は足元にも及びませんので安心してください」

少々メリッサも強火である。

そう。騎士団はご令嬢達がお目当ての人に『差し入れ』という形で近づける絶好の機会なのである。

まあ、シオンのファンはかなり多いのだけどそんなに気にしてはいない。


とりあえず、婚約者として挨拶がてら暇だし行こうかな。という軽い気持ちなのだがメリッサは牽制のためと解釈したようだ。


騎士団の練習場へと赴くと、私に気付いた騎士が近寄ってくる。


「わたくし、ローレライ=ガオナーと申しますわ」

と挨拶したところで、若い騎士は固まった。

「あの・・・」

目の前で手を振ってみるが固まったままだ。

「メリッサ。固まってしまったわ」

「レイ様のお美しさの前では皆無力ですから」

とメリッサも意味の分からないことを言い始める。そこでフレッツが助け舟を出してくれた。

「シオン殿を呼んできましょう」

とフレッツはシオンを呼びに行ってくれた。


「レイー!!」

とシオンが走ってくる。来たかと思えば抱きしめられる。

そこでどこかから黄色い声が上がった。

「レイ、体調は?」

毎日会っているのにまだ心配している。


「もうすっかり。暇になっちゃって、クッキーを焼いてきたの」

「レイが作ったのか?」

「そうよ。料理人にも手伝ってもらったけどね」

「早速食べよう。休憩にするか!」

と言ってシオンは団員に

「皆!休憩にするぞ!!」

と声をかけた。


すると団員たちが一気に私達を取り囲む。

「噂の幻のご令嬢」

「噂通り美しい」

「そして可愛い」

「そして色気がある」

「隊長羨ましい!!」

「「「同意」」」


皆がいっぺんに喋り出す。

「ええい。寄るな。見るな」

とシオンが助けてくれる。


「まあまあ、シオン。皆さんにも差し入れを持ってきました。

ローレライ=ガオナーと申しますわ。どうぞよろしくお願いいたします」

微笑むと歓声が上がった。

君たち、私この間まで一緒に訓練してたんだぞ。

令嬢バージョンになっただけでこの違いとは一体。



「わたくし達だって差し入れを持ってきましてよ」

ご令嬢たちの登場である。


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