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47.そんなつもりは無かったんだ(ユージン視点)

ルナールの王太子視点


「王女殿下とマンソーンジュ公爵子息がディスィーヴにて捕まりました!!」

と側近が慌てて執務室に飛び込んできた。


「はあ?!何だって?」


「何でも、王太子殿下と伯爵令嬢にそれぞれ媚薬を盛り、その・・・既成事実を作ろうとしたのだとか」


妹のことは馬鹿だ馬鹿だと思ってはいたが、ここまで馬鹿だとは思わなかった。

妹は昔から、常に自分が一番でないと許せないような傲慢な人間だ。

自分に歯向かうものは皆遠ざける。王女が遠ざけるということはどういう事かもわかってないだろう。王女に遠ざけられたものはその後、真実不明の噂にまみれ普通の暮らしはできなくなる。

王族とはそういう存在であるというのに、使用人だろうが令嬢だろうが令息だろうが気に入らない者を皆排除していった。

そうして妹の周りに残るのは妹の言うことばかりを聞き、何でもかんでも褒めたたえるイエスマンだけである。


そんな妹を私は今までに諭そうと何度も試みてきた。

だが、全く聞く耳を持たない。

むしろ自分を諫める兄などいらないというように、私を徹底的に避けた。

父である王や、母にも妹のことを諫めるように忠告したが妹に甘い両親は妹のしたいようにやらせるといった馬鹿親である。


そんな馬鹿な両親は大国であるディスィーヴに敵対心を持つばかりではなく、争いまでけしかける。国の長としても失格だと思っている。

自国との国力の差もわからず、そんな馬鹿なことをして何になるのだろうか。

人材を無駄にしているだけである。

今までの王たちもそんな考えの者ばかりで、どうして友好関係を築こうと思わないのだろうかと思いながら今に至っている。

この馬鹿な親と全く違った考え方で育っているのは、乳母や乳兄弟、父の弟である叔父上のおかげだろう。

叔父上は優秀だが次男で、上昇志向もない人物だ。兄と争いたくなく早々に王位継承権を放棄し臣下に下った。だが、甥である私のことを親よりも大事にしてくれディスィーヴとの関係についてしっかり教えてくれた貴重な味方だ。


私はいずれディスィーヴとは友好関係を築いて国交を盛んにしたい。それが私の目標だった。



それなのに、愚妹はやらかしてくれた。

そもそもディスィーヴを敵国だとわかっていない時点で王女として失格であるのに、結婚したいからと媚薬を盛るなど人間としても最低である。


どうにかディスィーヴに謝罪の機会を設けてもらうことに成功し、ディスィーヴへと赴くことになった。

馬鹿な両親には任せていられないし、むしろこれはチャンスであると私は考えた。

向こうでこっそり契約を結べないだろうかと。

そのためには両親など邪魔である。

父上には退いてもらおう!と結論が出るまでは一瞬だった。


そのためにはディスィーヴに敵対心を持っている人間は連れていけない。

幸い私の世代ではそこまで敵対心を持っているものは少ない。

側近、護衛、侍女とで総勢6人の少数精鋭で向かうことにした。

側近のうちの1人は、宰相の息子でありやや反ディスィーヴ派である。正直子供の時から一緒だがそりが合わない。

何かやらかして不敬罪で捕らえられてくれないかなと少し思っている。




が、こんなことは望んでいなかった!

無事和平を結ぶことを確約してもらい、王太子殿下とこの後の展望についてでも語ろうと思っていた時だった。

あいつが王太子殿下を切り付けた。

私は呆然としてしまった。

まさかこんなことをしでかすなんて。そもそもここに来た目的は謝罪であるというのに、どうしてそれすらも考えられない?

不敬罪で捕まれ!とは思ったが、殺害容疑で捕まることになるとは思いもしなかった。


そして、あっという間に制圧された私たちはもちろん捕らえられ私は貴族用の牢に入れられた。


あいつを連れて来た私が馬鹿だった。

私はどうなるのだろう。


妹も馬鹿だったが、私も人のことは言えない馬鹿だ。




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