40.任務完了
「ローレライ嬢!婚約とはどういうことですか!」
とお怒りのご様子。
「そのままでございますけれど」
「一昨日会った時にはまだだったではないですか」
「けれど婚約の予定があるとお答えしましたわ」
「そんなすぐに!!」
「私が急いだのですよ。我が婚約者は美しいですから、他に取られないようにと」
とシオンが珍しく甘い。
「クソ!!やられた!」
と荒々しく去って行った。
とりあえず準備は完了!
あとは仕上げを残すのみ!
その前に
「シオン、リュクス嬢の近くにいて護って」
「私は殿下の護衛ですから」
「シオンだから頼んでるんだよ。リュクス嬢に何かあったら困るから」
「ですが」
「リュクス嬢を巻き込んだのは私だから絶対護って。それから絶対逃さないで。生かせて捕らえて」
「・・・わかりました」
「信頼してるよ」
シオンは渋々マージの元へ向かった。
そして、夜会も終盤に差し掛かったところで王女が私のところへやってくる。
給仕を連れて。
「王太子殿下、一杯いかがです?わたくしの国から献上しているものですがお試しになりまして?」
確かに献上されて、この夜会でも出しているが怪しさ100%である。
「私はあまり飲まないのですよ」
「まあ!わたくしの杯が飲めないとおっしゃるの?」
その通りである。
めんどくさい。
「私はあまり人から出されたものは口にしないようにしてるのですが、そこまでおっしゃるならいただきましょうか」
私の言葉に少しピクリと反応したが、嬉しそうに給仕からグラスを受け取り渡してくる。
「では、ルナールとディスィーヴの未来を祝して」
祝さなくていいし、むしろもう終わるのだけどね。
と私も飲み干す。
あらまあ。やっぱり媚薬入り。
もちろん想定内である。
私は毒も媚薬も効きにくいが、盛られるとわかっていてそのままにする人間はいないだろう。
解毒薬をあらかじめ飲んでいる。
「王太子殿下。いかがです?美味しいでしょう」
「そうですね」
「まあ。お顔が赤くなっておりますわ。お休みになられた方がよいのではなくて?」
「ではそういたしましょう」
「わたくしが付き添いますわ」
「結構。侍女がおりますので」
「いけませんわ!わたくしが責任をもって看病いたします!」
と必死だ。
「では、休憩室に参りましょう」
「ええ!もちろん。わたくしの休憩室へ参りましょう!!」
かなり興奮している様子の王女。
高位貴族は休憩室をリザーブしているのだが、自分の休憩室へ誘うとは。
王女の休憩室の前で
「王女殿下は先に入っておいてください。少しお手洗いへ行きたいので」
「そうですの?では先に失礼いたします。すぐ戻っていらして?」
馬鹿だなあ。
◇◇◇
ところ変わって、こちらローレライに扮するローライド。
夜会が終盤に差し掛かってきたころ。
「ローレライ嬢、先ほどは失礼いたしました。残念ではありますが、ご婚約が成立したことを私にも祝わせていただきたい」
「ローレライ、受け取りなさい」
とお祖父様。
「では、いただきますわ」
「ローレライ嬢の婚約を祝して乾杯」
それを、ローレライも飲む。
「とても美味しゅうございましたわ」
「ローレライ良かったな」
「ええ。お祖父様」
と和やかな2人に対し、どこか様子のおかしい公爵令息。
息が段々荒くなってくる。
「まあ!マンソーンジュ公爵令息様、お加減がお悪いのですか?」
「そんな・・・」
と呟いている。
「大変!休憩室へご案内いたしましょうか?」
「ええ。その方が良いみたいです」
「お祖父様、わたくし先に行って準備して参ります」
何の準備かは言わない。
「ああ。そうしなさい」
と先に去って行くローレライ。
息がどんどん荒くなる令息に王宮侍従が手を貸しながら休憩室へ向かう。
「こちらになります」
「ああ」
と返事だけでもやっとな令息を部屋へと入れる。
外から鍵を掛けられた。
部屋の外では王太子殿下と護衛、ローレライ、侍従、部屋付きの侍女がハイタッチをしていた。




