表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/120

第四章 郷愁別離(三)

 船が岩にあたる回数は、確実に増えていた。

 揺れる船の中で、両手を底につき踏ん張って座る。

 手がしびれた頃、前の方で光が見えたような気がした。

 よく見ようと首を伸ばすと、頭がつかえた。

 天井が、やけに低い。

 

 ガリッ


 船の(へり)を鋭く削る音が、耳の側でした。

「伯文、仲興、程適も起きろ! 岩から船を離すんだ」

 三人が動く気配が感じられた。

「だめだ。こっちも岩が迫ってる」

 仲興の声が聞こえる。

 どうやら、川幅は船の幅と同じくらいしかないらしい。

「伏せるのだ。天井が低くなったぞ」

 前方で伯文が告げ、また、こちらに足が投げ出された。

「旦那方、どうすりゃあ」

 程適の涙声がして、袖が引かれる。

 私は、もう一度天井に手を伸ばす。

 天井は斜めに下がっていて、どんどん低くなっていた。

「伏せろ」

 程適の頭を押さえ、船底に体を横たえる。

「黄せんせえ」

 程適が大声で泣き始めた。

「黙ってろ。おまえも学長のところへ行きたいか」

 斜め前方で仲興が怒鳴った。

 いやだ、と程適が叫び、私の胸に顔を押し当てた。

 私は頭上の岩に目を凝らす。

 このまま、岩はどこまで下がっているのだろう。

 岩の匂いが濃くなった。

 その時だった。火薬が破裂するような音がして体が浮いた。

 慌てて船縁に手をやり、握りしめる。

 途端、船底に打ち付けられた。

 私は、腰をさすり、天井を探す。

 しかし、天井はなかった。

「星が見える」

 綺麗な夜空だ。

 月も見える。

 船底に横たわっていた三人が体を起こした。

「星?」

 仲興が呆れたような顔で空を見上げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ