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悪魔の棺に鬼と人  作者: 鮪崎
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side2:鬼従院天閣 feat. 佐藤健太 and 額傷のgiant

早速お気に入り登録してくださる人がいてすごく嬉しかったです。ありがとうございます。

このペースなら上々くらいに思っていただければ幸いです。

 鬼(き)従(じゅう)院天閣(いんてんかく)は勤め先の事務所で自分の部下を待っていた。視線が扉と腕時計を忙しく往復すし、同時に机を叩き始めた人差し指が、時間が過ぎるにつれてリズムを速めていく。


「遅すぎる」


 鬼従院の人差し指に釣られ、今度は右足が地面を叩き始める。


「まぁそんなカリカリするなや。お前との約束に限ってヤツが理由なく無碍にする訳ねぇだろう。まぁ、あくまでお前との約束に限るが。うん、アイツ俺のいう事全然聞かない」


 隣の席に座る鬼従院の先輩であり、上司にあたる、佐藤(さとう)健太(けんた)が自分で言った事に自分で落ち込みながら鬼従院の怒りを鎮めようとフォローを入れる。


「佐藤さんは部下に甘すぎます。だから部下に舐められるんですよ」


「あ、やっぱり? 俺やっぱ舐められてるかぁ。一応この班の班長なんだけどなぁ。班長って班員に一度も言われたことないしなぁ。まぁ、班長って呼ばれたいわけでもないけど、改めてハッキリ言われると傷つくなぁ。でもなぁ、俺そういう熱血キャラっていうの? 性に合わないんだよなぁ」


 鬼従院は覇気のない佐藤の発言に呆れ、小さく溜息を吐く。


「あ、鬼従院お前、今溜息ついたろ」


 鬼従院は、今度は大きく溜息をつく。


「ダメだねぇ、最近の若者はカルシウムが足りてない!」


 佐藤はそう言うと自分のデスクの引き出しを開き、そこから一本のカフェオレと表記された缶を取り出し、鬼従院の机に置いた。


「何ですか」


「やる」


「はあ、ありがとうございます」


 そう言い、鬼従院は佐藤に貰ったカフェオレを机の端に寄せた。それを見た佐藤は苦笑いを浮かべる。その時だった。事務所のドアが勢いよく開かれ「すいやせん! 遅れやした!」と勢いのある謝罪が響いた。それとほぼ同時に鬼従院の「遅い! バカタレ!」という罵声が響き、近くにいた佐藤の肩がびくりと反応し、苦笑いが硬直する。


 事務所の出入り口には坊主頭の両サイドに鋭い角をモチーフにしたかのような剃込みを入れた二メートル近くの体躯をした大男が立っていた。鬼従院も十分大男だが、その鬼従院よりもさらに一回り大きい。しかし、その男の一番の特徴は剃込みでも大きな身体でもない。額に作った大きな二ヶ所の傷。その傷がその大男の一番の特徴だった。


「すいやせん! 『イボ』を見つけたので追っていました!」


「何!? それで、『イボ』はどうした!」


 鬼従院が興奮気味で椅子から立ち上がる。


「すいやせん! 逃がしやした!」


「バカタレが……」


 鬼従院が頭を抱え、今度は力が抜けたように椅子に座りそう言った。


「すいやせん……」


 それにつられて大男の威勢もなくなる。


「お前、情けを掛けたわけではないだろうな」


 何かを疑うように鬼従院は大男に問う。それに対し、大男は「断じて」と即答した。


「なら今回は見逃す。だが、お前が今日ヤツを逃がしたことで誰かが命を落としているかもしれないという事は肝に銘じておけ。行くぞ、時間が押してる」


「はい!」


 鬼従院は自分の椅子に掛けられた背広を少し窮屈そうに羽織ると、机に置かれたアタッシュケースを持ち上げ、鬼従院に手渡すと事務所を出た。大男もケースを抱えて鬼従院の後に続く。


 彼等の後姿を見て事務所に一人残された佐藤は「青春だなぁ」と眩しいものでも見るかのような目をして、鬼従院の机に置かれたカフェオレのプルタブを引いた。


元々、書く時は結構ハイペースで書く人間だったのですが、現在の生活サイクルではなかなか難しいのが現状です。暇なときに更新してるなぁ~って感じで覗いて下されば嬉しいです。

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