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貧乏辺境貴族令嬢の契約結婚から始まる事件簿  作者: 雨夜 フレ
第二章 揺れる信念

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引き分けの結果

「あなた!?」


王妃様が王の傍らで叫んでいた。

血は赤く床に広がっていた。

この人をなくすわけにはいかない。

この人はまさに人間の宝だ。


「ヴァン様、急いで兵と医師を!」

「ああ!」


そうして、ヴァン様は部屋を出ていく。


「王妃様、とりあえず止血をします。何か、布はありますか?」

「こ、これはどうかしら?」


そういってハンカチを渡される。


「ありがとうございます」


ハンカチを傷口に押し当てる。


「陛下、大丈夫ですか?」

「うっ」


何とか意識はあるみたいだった。


「リアリス連れてきたぞ!」


そうして医師と兵士によって王は運ばれ、賊たちは連行された。


私と、ヴァン様は寝れるわけもなく個室にて王子と今回のことを話し合っていた。


「今回の件は計算されていたと?」

「はい、彼です」


彼以外、こんな緻密な計画は考えられない。


「まさか、あの暴動は新兵器を注目させるためのフェイクだったのか?」

「おそらく、あの暴動自体は予想のはずです。ただ起こるにしても起こらないにしても彼はどっちでもよかった。ただ、噂を流すことで、注目を新兵器のことにいかせた時点で目的は達成できていた」

「なるほど……」


今回の件は私たちの裏をかかれた。

まさか、暴動はあくまで予想、噂が本当の目的を隠すためだったとは。


「今回の真の目的は王の抹殺だったと?」

「いえ、おそらく違います」


これは、確信だ。


「なぜだ?現に王は撃たれているのだぞ?」

「あの武器は試作品のはず、なら、そんな不確かな方法では実行しないはずです」

「たしかに、もし動作不良などが起これば計画は無になる」


そう、彼にしてはお粗末な計画だ。

そんな方法は彼なら取らない。

なら、これは意図的だと思っていい。

つまり、目的は他にある。


今までの彼の行動を考えるにこれは…


「私たち、いや、王族は試されているのでしょう」

「……リアリスのようにか?」

「はい。ヴァン様、今回のことで王族は大変、市民から信用が下がるでしょう」

「ああ、賊の侵入、敵にまんまと騙された事実。どれも、不安が広がり信用は下がる」

「ええ、彼は試している。王族、ひいては貴族たちを」


彼はことごとく試そうとしている。

敵を知ろうとしている。

それは彼の情なのか、それともただの興味か。

どちらにしても、私たちは逃げてはいかない。

それは、支配者としての義務だ。


「失礼します」


部屋に医師が入ってくる。


「王の容体は?」

「ええ、致命傷ではありませんが、しばらくの安静は必要でしょう」

「分かった。尽力感謝する」


医師は礼をして部屋から出ていく。


「これもあいつの掌と言うわけか……」

「いえ、一つ、彼の予測を超えていることがあります」

「それはなんなんだ?」

「陛下の答えですよ」

「陛下の?」

「はい、おそらく予定では賊たちが陛下に死なせない程度のけがをさせる予定だった。だけど、それが不可能になった。だから予備に待機させていた狙撃兵に狙撃させた」


王の答えは賊を無力化した。それは予測はしていても可能性はすごく低かったのに違いない。


「だが、それも予想していたから狙撃できたのだろう?」

「はい、ですが、使うつもりはなかったはずです」

「なぜだ?」

「先ほども言いましたが、試作品を予備として置いている時点で手札を切っていると言う事です。つまりあれが外れる、または動作不良などだった場合、計画は完璧ではなかったはず。そんな手段を使うぐらい予想の上をいかれた証拠です」


そう、彼ならきっと確かな方法でやる。

もし、そんなものを考えずやるなら、初めから新兵器を使ってやればよかったのだ。

それをしなかったと言う事は、不確かな方法で信用できなかったからだろう。


「つまり、今回はあいつにとても苦肉な最終手段だったと言う事か?」

「その可能性は高いですね」

「引き分けってわけだ」

「おそらく……」


あと一歩間違えれば完全に負けていた。

だが、新兵器を使わすまで追い詰めた時点で彼なら余計に慎重になるはずだ。

しばらくは動けないだろう。


「なら、とりあえずは平和なわけだな?」

「ええ、ですが、何もしないわけにはいきません」

「と、言うと?」

「こちらからも打って出ます」

「ふふ、どうするきだい?」


彼らは勘違いしている。

私たちが何もできないと。だが、今回の件でヒントは得た。

今回の狙撃も前と同じ方向だった。

それが偶然か予定されてことなのか分からない。

その方向はちょうどニビアの方向だった。


「狙撃の方向がニビアからでした。方向が一緒なんですよ。」

「偶然では?」

「その線もあり得ますが、考えてみてください。音も光も大きい兵器です。なので、位置の特定はすぐにできます。だから逃げるときはすぐに逃げられた方がいい」

「つまり、ニビアから来て、帰っているかもしれないと言う事か?」

「その可能性があると言うだけです。なので調べます」


私は、紅茶を一口飲みそう告げた。


「つまり、ニビアに打って出ると?」

「はい、ただ軍で動くのではなく視察と言う形で偵察を私とヴァン様で行きます」

「大丈夫なのか?前の件で領主は変わったが、変わらず恨まれているんだぞ?」

「はい、ですが、今回はいい機会だと思います。誤解を解くチャンスでもあります」


どうせ、いつかは誤解を解かなければいけなかったのだ。早いか遅いかの違いだ。

それにその目的を建前にすれば怪しまれるのを防げるかもしれない。


「分かった。だが、無茶をするなよ。奥方」

「はい」


そうして私たち二人は近日中のニビアの視察が決定した。












読んでいただき、ありがとうございます。

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