表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
259/523

258

 不快な音が、広場に響いた。

 ぐちゅり――

 骨と肉と魔力が、無理やり“縫い合わされる”音。

 ゴアドリクの背後で、無数の腕が絡み合い、

 やがて一本の巨大な王腕へと統合されていく。

「……来たな、第二形態」

 アシュベルが低く呟いた。

 王腕は、ただ太いだけではない。

 雷、氷、水、風――

 複数の属性が、同時に循環している。

「ふははは……!」

 ゴアドリクは立ち上がった。

「これが“王”だ。

 選び、集め、完成させる存在よ!」

 次の瞬間。

 王腕が、地面を薙いだ。

 衝撃波が街道を割り、石畳が宙を舞う。

「散開!!」

 神谷の叫びと同時に、結界が張られる。

 だが――

 一撃で砕けた。

「ぐっ……!」

 神谷が吹き飛ばされ、地面を転がる。

「防御が、意味ねぇ……!」

 黒瀬が歯噛みする。

 ゴアドリクは腕を振り上げ、今度は叩き落とす。

 落下点に、雷が集中する。

「レオン!」

「分かってる!」

 レオンの炎が、雷を包み込む。

 属性干渉――だが完全ではない。

 爆ぜた雷が、レオンを弾き飛ばした。

「チッ……重すぎる!」

 間髪入れず、王腕が伸びる。

 今度は水圧――

 まるで海に沈められるような圧迫。

「動きが……止まる……!」

 黒瀬の足が鈍る。

「――任せろ!」

 アシュベルが前に出た。

 雷撃を一点に集中し、王腕の“関節”を狙う。

 バチンッ!!

 一瞬、王腕の動きが止まった。

「今だ!」

 黒瀬が風を纏い、横から突入する。

 ――だが。

 ゴアドリクは、笑っていた。

「浅い」

 王腕の表面が、氷結する。

 雷撃が流され、風刃が逸れた。

「属性……統合してやがる……!?」

 アシュベルが目を見開く。


 ゴアドリクは、ゆっくりと腕を構える。

「兵は兵の戦い方しかできん。

 だが王は――

 すべてを“同時に”扱う」

 王腕が、地面に突き刺さる。

 衝撃、氷結、雷撃、風圧。

 四重の攻撃が、円状に拡散した。

「――ッ!!」

 全員が吹き飛ばされる。

 黒瀬は膝をつき、息を荒くする。

「……くそ……俺ら、削れてるのに……」

 神谷は割れた結界の残滓を見つめ、

「再展開、もう数回が限界だ……」

 レオンは立ち上がり、拳を鳴らした。

「それでも……やるしかねぇだろ」

 ゴアドリクは、悠真を一瞥し――

 意図的に無視した。

「よいぞ、兵たち。

 もっと来い。

 もっと壊れろ」

 その背後で、悠真は動かない。

 ただ、静かに観ていた。

(……分かった)

 この王は、仲間では倒せない。

 だが――

(これは、俺の出番だな)

 ゴアドリクが、最後の一撃を振りかぶる。

 仲間たちが、歯を食いしばる。

 ――そして。

 悠真が、一歩だけ前に出た。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ