第九十四話「セッションですわ、おほほほほ」
ハルカとヨシチェックの再婚約が公式に発表された。
報道関係者を集めた王宮内の記者会見用の一室で記者とカメラマンがどう他紙と差別化を図るか唸っていた。
アジャイリア日日新聞の記者だけはどうマリアと関連づけて記事を書くかで悩んでいた。
「再婚約おめでとうございます…って言っていいのでしょうか?」
「おほほほほ、構いませんわ」
「余も問題ないと思っている」
「今回、『婚約破棄の取り消し』ではなく『再婚約』と伺っておりますが、経緯についてお聞かせいただけますか?」
「余は例の婚約破棄の後、思い知らされた。
既にハルカ嬢がいないとダメな体になっていたと…」
「殿下、それはわたくしへの精神依存ではなくただ自立できていなかっただけの話ですわよね?」
「…えーっと??」
「そこで、婚約破棄のキャンセルを申し出たのだが、断られて、逆にハルカ嬢の方から再婚約の申し出を受けたというのが今回の経緯だ」
「なるほど、ハルカ嬢の方からだったんですね?
なぜ婚約破棄キャンセルではなくわざわざ再婚約なのでしょうか?」
「信頼のおけないセッションをdisconnectして、こちらからセッションを張り直しただけですわ、おほほほほ」
別室でアカリはモニター越しに「それじゃ私以外理解できませんわ!」と大きくため息をついていた。




