第八十五話「セグメンティアの本気ですわ、おほほほほ」
アプリシアとセグメンティアの合同軍事演習が行われた。
以前「飛行魔道具はうちが先に作ってました」とハルカに挑発的に飛行ショーの招待状を送りつけて、各国から招待した観客の目の前で最初の1機目が離陸直後でバードストライクして墜落し、ハルカが激怒して真剣に開発させるため、エンジニア魂を焚き付けるために提案した模擬戦であった。
結果、とてつもない運動性能の機体と、ハルカの想像を右斜め上75°の戦術とでセグメンティアが圧勝した。
「素晴らしいですわ!
おほほほほ」
と思ったのも束の間、合同軍事演習翌日にそのセグメンティアが隣国のスタッキア王国に宣戦布告し、オンプレー大陸上が震撼した。
「どういうことですの!?」
理解が追いつかず困惑するアカリ。
「結局飛行機は戦争の道具になってしまうのですね…」
諦めの表情を浮かべるフサ。
「飛行魔道具の技術を提唱したのはハルカ嬢で、アプリシアとクラウディアが噛んでる。
これ、スタッキアとの関係が絶望的になるぞ…」
かつてのように「余には関係ないからヨシ」などと言わず冷静に分析するヨシチェック。
「…みなさんお忘れですわよ、おほほほほ」
ハルカはその状況下で、微動だにせず意味深な振る舞いをする。
「何を忘れてるかって?
そもそも我がオンプレー大陸の中央に走る東西を隔てるスチパー山脈の、西側が我らのアプリシア、その北側がクラウディアですわ」
「…それがどうした」
「そしてスチパー山脈の東側にスタッキア、スチパー山脈とそこから流れ出るダクト川の間のわずかな土地がセグメンティアですわ」
「そうだが……だからそれが何だというんだ?」
「セグメンティアはもともと、民族や政治はスタッキア寄り、山脈のせいで経済や文化はアプリシア寄り、そこでかつてのスタッキア王朝は独立国家として扱ったのですわ…」
「そういえばそんな歴史だったな」
「…そして、時が数百年下って、近親婚を繰り返したスタッキアの王朝が滅び、現王朝に交代すると手のひらを返したように『セグメンティアを再編入する』という方針になりましたわ…。
今までやたらとセグメンティアがアプリシアを含め他国に鬱陶しい動きでアピールをしていたのも、独立国家としての存在を必死にアピールしていたのだと思いますわ」
「………頑固な父親に反発する中学生みたいですわね………」
「アカリ嬢、その例えはちょっと問題アリですわ、おほほほほ…」
「セグメンティアの国民感情は理解したが、止めないといずれアプリシアもスタッキアと対立することにならないか?」
「みなさん、もう一つお忘れですわ。
『やらかし』と『しくじり』をセグメンティアの港に展開すれば解決ですわよ、おほほほほ」
「いや、コンテナ船で港を塞いで何をするんだ?」
「……そもそもあの2隻が『空母』だということすらお忘れでしたのね!?
おほほほほ…………」




