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携帯電話 ⑪
呼び鈴が鳴ったので、私が扉を開けると綺麗な女が立っていた。
「私は未来からやってきた、デリバリーヘルス型携帯電話です」
「チェンジ」
「えぇ、ソッコーはヒドイですよー。まったくもぉ」
と、綺麗な女はめんどくさそうに右手を上げ、独り言を口にしていた。私ではない誰かと通話をし出したらしい。
「あ、店長、チェンジらしいですよ。あぁ、はい、はい。え、客に断った理由を聞くんですか。分かりました」
「……」
「あのお客様、チェンジって、なんでです?」
「テメーとやってると、そうやって誰かに聞かれそうでイヤだからだよ!」
と言って私は扉を閉じたのだった。