Karte~3-2~ 拡張型心筋症および肝硬変に対する生体肝移植とオーバーラッピング術③
楓さんの号令の下で始まった生体肝移植。
まず、楓さんはドナーからの肝臓摘出を始めた。
紛争地域に居た俺たちは一見すると外科医療の簡単なものを専門と見られることが多いが、実は皆、有名な大学病院から声をかけられていたかなりの凄腕の持ち主だ。
俺は、心臓外科に関しては絶対的な自信を持ちどんな難病でも完璧に治す事から「神の手」と呼ばれてたりする。
俺がこれだけの技術を持ってるのも、師匠の徹底的な指導の賜物だろう。
その証拠に、姉弟子である楓さんは移植術全般を得意とし、更に脳外科に関しては卓越した技術をもち、神経膠芽腫が脳の深部に発症しどの医者も匙を投げた患者を楓さんは治療し、完全回復させた経験を持つ。どの様な病状であっても怖気づかず、果敢に攻めていく治療、そして持ち前の性格が「女帝」の異名たる所以だ。
今回担当するのは、移植術の中では移植の成功率が約70~80%とされているが、ここは異世界。
ましてや担当患者は人間のようで違うエルフだ。久々移植術と重なり楓さんの表情は本気モードの顔だった。テキパキとドナーにメルセデスベンツ切開を行い、ドナーの肝臓を露出させた。
「うん、綺麗な臓器ね。では、これより肝右葉の摘出を行います。剪刀。」
楓さんは、躊躇うことなくドナーの肝臓に剪刀を入れ、肝臓の摘出を開始した。
その間のバイタルも安定しており、非常にスムーズな摘出を行っていった。
「切除完了っと、血管吻合開始します。修哉君、同時に始めるから準備しておきなさいよ」
「了解。リーファ。準備開始するぞ。春香、引き続き器械出し頼むぞ、それと和也、今回は生体肝移植もやるから人工心肺ありで行くぞ。」
「了解。スタンバイは出来てるからいつでもいいぜ。彼女たちはどうするんだ?」
「リファエルは和也の指示で動いてリーリエは楓さんのサポートを頼む。リーファは第一助手な。手術前まで技術叩き込んではいるが、まだ不安なところは拭えんから基本は俺の補助を頼む。アスクレピオスは引き続き全身管理を頼む。」
その言葉に力強く頷いた4人は、各自持ち場について段取りを再開させた。かく言う俺も久々の心臓手術に気を引き締めなおし、そのすぐに楓さんから準備完了の合図が出た。
「始めるわよ、修哉君」
「了解。それではこれより拡張型心筋症に対するオーバーラップ術を」
「その合併症による肝硬変に対する生体肝移植を」
「「開始します。」」
俺と楓さんの掛け声と同時に、リーリエから楓さんに、春夏から俺にメスが渡され手術が開始された。




