Karte~閑話・リーフィアの思い
草木の色が枯れた色からきれいな緑に代わり、春の訪れを告げる花々が咲き誇る季節になりました。
私が長を務めるこの森に住む子供たちも元気に外を遊びまわり、非常にほほえましい光景を見るようになった。
私、リーフィアはこの森の長でありながら、子供たちと駆けまわったり、森で狩りをしたりするのが好きです。
しかし、今の私は、走ることなどはおろか日常生活にさえ支障をきたす程、病に侵されているのです。
この森一番の医師のリーファでさえ病の正体は掴むことさえ出来なかった。
森中に、沈んだ空気が漂うようになりました。
そんな空気を一気に壊す人が、この森にやってきました。
名は「桐崎修哉」と言うらしく、リーファ同様に白衣を着ていることから、人間の医師なのでしょう。
彼は、もう一人の人物と共に現れました。
それは、創造神のアスクレピオス様です。私の前に凡そ1ヶ月に1度くらいの割合で顕現されるのでその美貌は間違うことなどできません。
二人は、見たことのない検査機器を手際よく操り、私の体を検査し始めました。
殿方の前で肌をさらすのは抵抗がありましたが、桐崎先生はそれを組んでくださったのか、アスクレピオス様に検査を一任し、見舞いに来てくれていた子供たちと話してくれていました。
検査室と呼ばれる部屋に案内された私を待ち構えていたのは、明らかにこの世界の技術では無い物が所狭しとそこにありました。
アスクレピオス様、そして、リーファが検査機器を迷う事無く操作し、私の体を隅々まで調べてくれました。
なぜ、リーファが機械を操れるのか尋ねたところ
アスクレピオス様から「検査技師」なるスキルを賜ったとのことでした。
それだけ、アスクレピオス様から信頼されたとのことであれば、長である私も鼻が高いというものです。
1時間くらいでしょうか、検査が終わり、桐崎先生のもとに案内された私は病名を告げられました。
先生曰く、かなりの難病であることは知らされました。
治療法も我々エルフが培ってきた技術とは違う次元にあるかのようです。それよりも驚いたのは、先生が
「この病気は治る」とさらっと言ったことでした。
通常、医師は確証がない限り「治る」といった言葉を使うことはありません。
なのに、先生はさも当然のように言ってのけたのです。
これまでの不安であった心をすべて振り払うような言葉にどれだけ救われたでしょうか。
私は、先生に出会えたことに心から感謝したいと思います。
そして、お願いします。
私を、治してください。