第3話 2/10 研究者の思い込み
ダンジョンのせいで世界大戦が起きていない世界線です。
架空の国家が樹立しています。が、位置説明のためアジア・ヨーロッパなどの呼称は使用しています。
ご了承ください。
SIDE:名もなき研究者
国営放送で証人喚問を見ながら考えていた。
この探索者は愚かだ。この探索者は『自分がモンスターを間引きしてダンジョン氾濫を抑えていた』と話している。たった一人で何ができる。
この世界にはダンジョンが数えきれないほどある。
ダンジョンには危険度によりランキングがつけられており、C級からS級まで4段階が設定されている。C級は雑魚モンスターのみ、B級は雑魚モンスターのほかに鉱石・薬草・資源の採取が可能になる。C級・B級は氾濫の恐れはないといわれている。A級からは氾濫の可能性があり、S級になると氾濫により広範囲がモンスターに占領されてしまう。
特にS級ダンジョンの氾濫では言語を操り雑魚モンスターを秩序立てて動かすダンジョンボスと思われるモンスターが発生。特に被害が大きくなっている。
その中でも有名なものとしては、
ヨーロッパのヴラディオル国には真祖ヴァンパイア。
北欧のフェリアル国にはシルバーウルフ・ブラッドコング・ゼノバード。
アフリカのボナル国にはアンデットキング。
北アメリカのバルゲル国には巨神タイタン。
南アメリカの大半の国は魔樹ユグドラシル。
アジアからインドでは邪蛇咬牙。
S級ダンジョン一つにつきダンジョンボスは一体であるため、フェリアル国はS級ダンジョンが3つあると推測されている。
わが国にもS級ダンジョンが2つ、A級ダンジョンが7つあり、B・C級は合計100以上あるといわれている。12年前までS級・A級ダンジョンは氾濫を起こしていた。が、A級ダンジョンの氾濫は範囲を拡大しすぎて氾濫を維持し続けることができず自然消滅。S級ダンジョンでは広がっていく氾濫範囲に伴いダンジョンボス同士が接触。フェリアル国のようにボス同士が共存することはなくお互いに戦うこととなり、結果共倒れになったといわれている。
残ったA級・S級ダンジョンも内部のモンスターは増加することなく安定している。ただ内部のボスモンスターは30m級の大きさで存在している。攻撃をしなければ何もしてこないことや、時折ほかのダンジョンボスと入れ替わるという現象がみられる程度だ。手を出さなければ何もしてこないため、探索者はこっそりと採取を行っているとのことだ。
それ以降わが国は復興を重ねるとともに、莫大な資源を使って国際世界への発言力を上げることとなった。
特に『減らずのC倉庫』といわれるアーティファクトがある。これは中の魔石をいくら持ち出しても次の日になると満タンに戻っている無限の資源を内包した倉庫といわれている。また、その倉庫からとれる魔石を使って開発された、『対モンスター兵器』を操る『特殊装備戦闘隊』を結成。国内のダンジョンのモンスターの間引きを行い氾濫を抑止するとともに、『対モンスター兵器』を世界中に輸出し、A級ダンジョン氾濫を抑え込むことができたのが大きかった。
『特殊装備戦闘隊』はモンスター相手に常勝。
『対モンスター兵器』は世界中で使われており、国際的にも認められてきている。
『減らずのC倉庫』で資源は安泰。
勢いのある政治家が上に立ち不正を糾弾。
甘い汁を吸っていた探索者は罰を受けてめでたしめでたし。
そう思っていた。
一年後この国で氾濫が起こるまでは。




