第13話
午前3時10分。まだ空は真っ暗だった。
私たちは、スカー・フェイスの案内でその場所へ向かっていた。
私とデペンドラ、それにスカー・フェイス以外にも、レオンとムラドという二人の仲間がいた。
私たちはSMGやスナイパーライフル、さらに小型偵察UAVまで持参していた。
木々は鬱蒼と生い茂り、蚊も異常なほど多かった。
……
しばらく進むと、スカー・フェイスが近くの木を見上げた。
そこには三本の釘が三角形に打ち付けられていた。
「ふぅ、もうすぐだ。あと2キロくらいだな」
デペンドラはうんざりしたようにぼやく。
「まだあるのかよ? もうずっと歩きっぱなしでヘトヘトだぞ!」
この辺りの道はもともと危険だ。
下手をすれば地雷を踏み抜いてもおかしくない。
……
さらに進むと、別の獣道へとたどり着いた。
その時、突然スカー・フェイスが手で停止の合図を出した。
「待て。車の音がする」
私たちはすぐに身を隠した。
すると左手の方角から、不意に車のライトが光った。
そこには、いかにも怪しいコンテナトラックがゆっくりと国境へ向かっていた。
スカー・フェイスをその場に残し、私たちはサプレッサー付きの銃で即座にタイヤを撃ち抜く。
「プッ、プッ、プッ、プッ!」
そしてレオンとムラドが運転手二人を制圧し、私たちは後部コンテナを担当した。
「3つ数えたら鍵を撃つぞ!」
「オーケー!」
よし!
1……2……3!
「プッ、プッ、プッ、プッ!」
頑丈な錠前が鈍い音を立てて地面へ落ちた。
だが中の二人は最初から扉へ銃口を向けて待ち構えていた。
長いフック付きロープでコンテナの扉を少しだけ開く。
「バンバンバンバンバンバンバンバン!」
途端に銃弾が飛び出し、私たちは扉の陰に沿って身を隠した。
相手は一斉射撃した後に止まり、なかなか正面から攻められない。
私たちが一、二発撃って隠れると、相手も撃ち返してくる。
そんな撃ち合いが続いた。
やがて、中の一人が安全ピンを抜き、手榴弾を投げてきた。
デペンドラが叫ぶ。
「グレネードだ!」
反射的に、デペンドラは地面に伏せて両耳を塞ぎ、私は車体の死角へ飛び込んだ。
「ドォォン!」
耳鳴りが止まらない。
何も聞こえず、頭もくらくらする。
その隙を突いて、二人の男が飛び出してきた。
私たちを始末するつもりだ。
「まずい!」
気が付けば、一人が私の顔へ銃口を向け、引き金を引いていた。
「バン!」
だが次の瞬間、その男の頭から血が吹き出した。
死体は無様に地面へ崩れ落ちる。
デペンドラの方も同じだった。
どうやらレオンとムラドが間一髪で援護してくれたらしい。
危うく死ぬところだった。
コンテナの中には被害者たちもいた。
なんと十一人も。
私は警察へ連絡した。
しばらくして警察が到着し、被害者たちとスカー・フェイス、それから私たちが生け捕りにした男を連れて行った。
私たちは四人の男たちの装備を奪い、そのまま変装する。
ムラドは運転手の一人へ銃を突き付けた。
「俺たちをそこまで運べ。お前が向かう予定だった場所だ」
「は、はい! はい! お願いです、殺さないでください!」
運転手は一切逆らわず、すぐにトラックへ乗り込んだ。
ムラドは銃を向けたまま隣に座る。
残る三人の私たちはコンテナ内へ身を潜めた。
やがて雨が降り始める。
しかもかなり強い。
……
しばらくして、私たちは目的地から約1キロ離れた地点で停車した。
運転手に麻酔を打って眠らせた後、武器を再確認し、作戦行動の準備を整える。
私たち四人は土砂降りの雨の中を徒歩で進んだ。
……
さらに進む。
もうかなり近いはずだ。
先頭をデペンドラとレオンが歩き、私とムラドは周囲を警戒しながら後ろを進んでいた。
背丈の高い草地を横切る。
デペンドラはそのまま前進していたが、何も気付いていなかった。
レオンが慌ててデペンドラの肩を掴み、後ろへ引き戻す。
「危ない!」
「ダダダダダダダッ!」
機関銃の音だ。
銃弾が私たちのいた場所をかすめる。
よく見ると、草の葉に極めて細いレーザー光線が映っていた。
私とムラドも周囲を確認し、自分たちがあと少しで蜂の巣になるところだったと理解した。
その時だった。
足元から突然ガサガサという音が聞こえる。
私は下を見る。
何かが足に触れながら通り過ぎた。
「へ……蛇だ!」
私の声を聞き、三人も足元を見る。
そこには四匹もの蛇が鎌首をもたげていた。
私たちは思わず飛び退く。
デペンドラなどは驚いて尻もちまでついた。
レオンが素早く引っ張り起こす。
私たちは蛇が本気で襲ってくる前に急いでその場を離れた。
だが急げば、今度はあのセンサーに引っかかるかもしれない。
「厄介だな……」
草むらは依然として深い。
まだ蛇が潜んでいるかもしれないし、自動機関銃も残っている。
このまま進むのはかなり危険だった。




