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カルト教団アジ・ダカーハ

一夜明けて、庵の前であくびをするフシミの下にホクト天満宮から手紙が届いた。郵便配達員が警官に見えたフシミは少しビックリした。


フシミ『もう足がついたのかと思ったぜ……』(ドキドキ)


その手紙は最強と名高い陰陽師、セイメイからのものでさらに驚かされた。それはセイメイの式神、雷光四天王との模擬戦の誘いであった。


フシミ「模擬戦だって!?」


今のままでは勝ち目はない、というか、何故そんな誘いが俺に?間違いではないのかと何度も読み返しても、やはり、それは自分宛てであった。


フシミ『こうなったら……』


フシミは庵の中で茶碗を箸でリズミカルに鳴らして朝飯を待っていたキュウビに手紙を見せた。


キュウビ「いきなり、ワシの出番か?困ったのぅ。」


フシミ「100%の力がないのはわかってるが、頼むよ。」


フシミは稲荷信仰だが手をすり合わせて大妖怪のキュウビを拝んでいた。


キュウビ「式神憑依はめっちゃ、腹が減るんじゃ。」


フシミ「親に頼んで米送ってもらうからさぁ。」


キュウビ『うーん、ソレが終われば、たらふく飯が食えるやも知れんな……』「あい、分かった。手を貸してやろう。」


フシミ「やったぜ!」(ガッツポーズ)




ホクト天満宮の境内でセイメイは式神の雷光四天王と共にフシミが来るのを待っていた。


フシミ「おまたせしました。」


セイメイ「キョウシロウ。なんか変わったか?」


ギクッ


フシミ「き、昨日はあんまり寝れてなくて……疲れが――顔に出てますか?」


キツネ系が憑依すると、鼻の下が伸びる。フシミは自分の変わった顔をササッと元に戻した。


セイメイ「?そうか、ちゃんと休めよ。今日はお前にコイツラと模擬戦をやってもらおうと思ってな?」


フシミ「一つ質問なんですが、なんでまた、俺なんです?」


セイメイ『アジ・ダカーハの名前を出して、臆されても困るか……』「コレで勝てたら教えよう。」


もったいぶってんなぁ。フシミは片眉を上げた。


試合前、フシミはココロの中でキュウビと会話した。


キュウビ『……』


フシミ『キュウビが頼りなんだ。頼むぞー!』


キュウビ『お、おう!任せておけ!』


ツナ「渡辺綱。先方は某が。」


セイメイ「はじめ!」


フシミ「行くぞ!臨兵闘者皆陣烈在前!水龍斬!」


ツナ「む!」


水流の刃をツナは太刀で受け流した。


セイメイ『威力は申し分ないんだがなぁ。』


ツナの一撃をひらりとかわした、フシミの中のキュウビが叫ぶ。


キュウビ『もっと柔らかくするんじゃ!』


フシミ「え!?」『どうやるんだ?』


キュウビ『かしてー』フシミ「みい!」


セイメイ「!」『目つきが変わったぞ!?』


フシミ「水龍斬!」


ツナはもう一度、太刀で受け流そうとしたが、それがウカツだった。水の刃は太刀をすり抜けてツナに直撃した。


ツナ「ぐ、無念。」


バヒュン!


渡辺綱がセイメイの下に帰っていき、セイメイの手のひらに渡辺綱と書かれた紙のヒトガタがヒラヒラと落ちてきた。


セイメイ『ふむ、突破しよったな。』


その後もフシミは坂田金時、卜部季武うらべすえたけを次々に破ってみせた。


セイメイ『ここまでとは、少し、侮っていたか?しかし……』


セイメイはフシミの顔を変化に目をつけた。


セイメイ『……式神憑依?にしては何か違うような……』


サダミツ「碓井貞光。最後は私ですな!手加減は無用と見まする!」


最後とあって、サダミツは鼻息荒く、弓に矢をつがえた。


フシミ『いや、加減してくれ……』


フシミ「行くぞ!ウスイとやら!」


セイメイ『?変だな?奴は“〜とやら”と言ったのか?碓井貞光を見るのはコレが初めて、ではないはず……』


その時、地鳴のような音と共にホクト天満宮の塀の壁が崩れ、全身タイツに変わったお面をした一団が現れた。


フシミ「なんじゃあれは?」


セイメイ「もうきたかっ!あれはジハードンだ!」


ジハードン達「ゴワス!」「ゴワス!」


群れをなしたジハードン達は波のように2人に押し寄せた。


セイメイ「もう一度だ!四天王!」


ツナ「渡辺綱!」


キントキ「坂田金時!へへ!そうこなくっちゃ!」


スエタケ「卜部うらべ季武!負けっぱなしはよくないよなー。」


サダミツ「む!新手か?」


雷光四天王は三人が切り込み、サダミツが弓で支援する布陣だった。


セイメイ『しばらくは持ちこたえられるか?エンノ行者、早く来てくだされよ!』


そこへ参道から一人の黒スーツの男と二刀流の軽装甲冑の怪人が歩いてきた。


黒スーツ「タカッブさん、あれ、陰陽師ですよ。」


タカッブと呼ばれた怪人は右手の剣をなめた。


タカッブ「アンリ、お前のくれたコイツの威力、すぐ試せそうだぞ?」


そう言うと怪人は手前に居たフシミに襲いかかった。


フシミ「おいおい!問答無用かよ!」『コッチは丸腰だぞ!?』


セイメイ「臨兵闘者皆陣烈在前!ヒダン!」


セイメイの周囲に浮かんだ無数の油の玉が火をまとって怪人に降り注いだ。


タカッブ「おっと!」


シュババッ!


怪人は素早い刺突を繰り出して、その油玉を串刺しにしてみせた。

驚愕するフシミとセイメイを尻目にタカッブは不敵に笑った。


アンリ「お見事!タカッブさんに渡して正解でしたね?それ。」


フシミ「く、臨兵闘者皆陣烈在ー」


タカッブ「させるか!」


ズババババッ


フシミ「!?」


体を素早く八つ裂きにされフシミは血を噴いて倒れた。


ドサッ


セイメイ「キョウシロウ!っすまん!」


タカッブはフシミの死体をまたいでセイメイに迫った。


エンノ「またせたな!セイメイ!」


刀を持った前鬼が四天王に加勢する。エンノと鬼女の後鬼が碓井貞光と共に術で支援に回った。


セイメイ「今だ!式神憑依!卜部季武!」


ジハードンの鉄パイプを受けていた卜部季武が消えてセイメイに憑依した。


双剣を装備したセイメイがタカッブと激しく打ち合う。


セイメイ『ぬ!?コイツ!』


スエタケ『つえぇぞ?!』


一旦、距離を置いて仕切り直す。


タカッブ「ふはは!我が剣は神域!術者の剣などー」


その時、辺りをスーッと霧が覆った。


セイメイ「!?これは!?」


エンノ「術?!一体誰が?」


タカッブ「この、たかが霧だぁ!」


タカッブはセイメイに斬りかかるも、その姿はかき消えた。


タカッブ「な!?」


脂汗がにじむ怪人の後ろでユラリと人影が立ち上った。


フシミ「水の術、こんな使い方もあるのか……」


タカッブ「お前は!?確かに、殺したはず!」


フシミの右肩の上に青い玉が浮かぶ。


フシミ「フッ!残念じゃったな!」


ズバババッ!


またフシミの体が八つ裂きにされ、今度は首が転がる。


アンリ「あらら、起きなきゃいいのに。」


フシミの体がぬうっと起き上がる。


タカッブ「うぅ!?」


アンリ「えー?不死身なんですかね?彼?」


タカッブ「っぎゃぁぁぁ!」


いきなり、怪人が悲鳴を上げる。驚いたアンリは後ずさった。

転がっていたフシミの首が目を細めてケケケと笑う。


タカッブ「熱い!顔が焼ける!」


そこへ霧の中からセイメイが飛びかかった。


セイメイ「鬼刃双破斬きじんそうはざん!」


三枚おろしにされたタカッブは絶命した。


アンリ「うっわ!こりゃマズイ!」


アンリが虚空に消えると、四天王と切り結んでいたジハードン達もかき消えた。


ツナ「終わったのか?」


キントキ「ったりー!」


サダミツ「一休みしよう、皆!」


霧は晴れ、そこには五体満足のフシミが立っていた。フシミにセイメイとエンノが駆け寄る。


セイメイ「キョウシロウ!」


フシミ「セイメイさん、アイツラは一体?」


エンノ「まてまて、お前が説明するのが先じゃぞ?」


フシミの周りを雷光四天王とエンノの従僕の前鬼と後鬼が取り囲む。


フシミ『うわー、逃げられそうにないぞ?どうしよう?キュウビ?』


キュウビ『ワシは知らんぞ!』


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