夢が膨らむ
レナンド王国首都、トールシアにある、とあるお店から、二人の人物が姿を現した。
一人は、凶悪な面をした少年、つまり魔王。
一人は、とんでもない美しさを持つ女性、すなわち聖女。
その登場を目撃した人々は、これから決戦が始まるのかと、息を飲んだ。
「それで、貴様は我を倒しに来たのであろう?一体どこで戦うと言うのだ?」
ゼノは辺りを見回すレオーネに問いかける。
レオーネは非常に迷惑そうな顔でゼノを見た。
「うるさいです、黙ってください」
「えぇー...」
「折角食べたばっかりなのに、余計なエネルギーを使わせないでください」
「いや、奢ったの我...」
「黙れというのが聞こえないのですか?」
理不尽!
そう思いながらも、ゼノは口を閉ざした。
そもそも、レオーネは勇者になりたい訳ではないそうだが、それは関係無いということにゼノは気付いた。
何故なら、魔王を倒す者は勇者と決まっているからだ。
レオーネがゼノを倒せるのならば、レオーネには勇者の資格があるのと同意義であると思う。
そうなれば、ゼノはこの後程々にレオーネの相手をしてから、魔王城に招いて戦うのが一番ゼノにとって良い方法だった。
「...ちっ、来ませんね...何をやっているのですか...」
「誰のことだ?まさか、勇者か!?」
急に目を輝かせ始め、身を乗り出したゼノに、レオーネは若干引く。
「...違いますよ。私の協力者です」
「協力者?」
「ええ。彼と私で貴方を殺すことになっています」
「やっぱり勇者じゃないか!」
「そんな見上げた人ではありませんよ。国から妹を人質に取られて従っている人ですから。剣の腕はまあ認めますが」
「おお、剣士か!勇者にぴったりだ!そういえばお前は魔法使いなのか?」
「何故そんなことを教えなければならないのですか?」
絶対零度の視線を向けられるも、ゼノはひるまない。
「いやぁ、いいなぁ!剣士と魔法使いか!あと二人くらいは欲しいなあ!やっぱり武闘家と、後は何だろうな、遠距離系か?わくわくするなあ!」
「うざっ...」
レオーネは吐き捨てる。しかしゼノには届かず、見たこともない剣士に期待を寄せるのであった。




