9.いつの間にか眠っていた
何かがきしむような音が聞こえて目が覚めた。
ほかには遠くで何かを引きずるような音が聞こえたりするけれど、何の音なのか想像もつかない。
私は気が付いたら寝ていたらしい。
あたりを見回してもいつもの部屋だし、特に変わったところはない。
スマホの充電は完了していて、ふと思い立って地図アプリを立ち上げてみた。
そういえば事故情報なんかが共有される仕組みがあったことを思い出したのだ。
「公園に自衛隊?」
もう十数時間も前の話だけれど、近くにある大きな公園に自衛隊が展開していたらしい。
炸裂音はその関係なのかもしれない。
でも、最新の情報は何も更新されていなかった。
その公園自体もここから少し遠くて、もし自衛隊の人たちが救助をしているにしても今外を歩いてそこまで向かうのはリスクが高いと感じた。
何かを引きずる音が、ゾンビの群れが移動している音だったりしたらたまったもんじゃない。
「そして、人はこんな状態でもお腹は空くんだね……」
はっきり言って食欲はない。でもお腹が鳴る。
パン1枚じゃ昼間まで持たなかったみたい。
冷蔵庫を開けると野菜が少し余っていてしなびかけていた。
「この野菜たちをとりあえず処理しよう」
食欲がなくても何も食べないのもよくない。
キャベツと玉ねぎとしなびかけた長ネギと人参の先っぽを切って冷凍してる豚肉を一緒に入れてとりあえず炒める。
「いただきます」
名前のない炒め物。あえてつけるなら豚肉と野菜の炒め物。
良い匂いはする。
「わたし、思ったより図太いのかな?」
一口食べてみたら、少しは食欲が戻ってきたのかもしれない。
お腹が空いてたのってもあるとは思うけれど、温かいものを食べるって落ち着く効果もあるんだね。
ちゃんと食べきることができて少しホッとした。
少なくとも、私の住んでるこのマンションで寝る前までに聞いた何かが落ちるような音はもう聞こえない。
あるのは私の生活音だけ。
「もういっそゲームでもして気を紛らわせよう」
いつもならヘッドセットをするけれど、そうすると行政無線は聞こえないだろうから使わないでゲームをすることにする。
少なくとも、今のところ体調が悪くなったりしないってことは、私は耐性があるのかもしれないって思うことにする。
それに突然死ぬんなら苦しまないかもしれないし、これ以上わからないことを心配しててもしょうがない気がしてきていた。
「災害時は、いつも通り生活できるならそうするのがい大事!よし!」
自分に言い聞かせる。
しばらくゲームで遊んだら一度シャワーでも浴びよう。




