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君の僕  作者: 藤
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僕と友達part3

 小学校に通うのが初めての空色には何が正しくて、何処がおかしいか何て解らなかった。

 それが人間の世界では異例な授業だなんて思っても見なかったのだ。ただ、自分を学校に通わせてくれている月さんや心さんに迷惑を掛けたくない一心でひたすら授業を頑張った。

 五教科すら知らない空色だったが、有能な心の家庭教師により、実年齢よりも学力が上がっている事にも当然気付いていなかった。元が良いのもあるだろうが元来の素直な性格と、努力によって運動能力も人間にしてはかなり向上していた。ただ、比べる相手が妖怪の為劣って見えるだけなのだ。

 身体能力の高い妖怪の中にいると劣って見えてしまうから、大妖怪の子供である疾風と空色が一緒にいることに、周りの同級生達は不思議でならなかった。

 彼らの世界はとてもシンプルで力こそ全てだから…。

 そんな大妖怪鴉天狗の疾風と空色が一緒にいることを快く思わないクラスメイトも少なくはないのは…寧ろ仕方がない事かも知れない。


 ◇◇◇


「空色!!この次二手に別れて裏山で模擬対戦をするんだってよ!!」


 元気に声をかけてきたのは勿論親友の疾風だ。

 一緒に学校生活を送るなかで物凄く空色に懐いてしまった。


「俺と空色は勿論一緒の陣営だ!!」


 嬉しそうに笑っている疾風、彼は幼いながらも血の気が多く闘いをとても好んだ。

 空色はと言うと、好き……ではなくて、どちらかと言うと授業の為に仕方なく実施していた。


 空色以外の人間の子供も通っているが、彼らは戦闘中前には出ずに、後方で知将として戦略を担当してるそうだ。何故断定して言わないのか?それは簡単、空色は人間の同級生を未だに見たことが無かったから。

 どうも身体は弱い様で今は入院しているらしい。

 人間も通っているのに模擬対戦何て行っているか?と言うと、それは彼らのガス抜きに他ならなかった。

 元々が好戦的な妖怪達だ。適度に発散させてらやないと子供とは言え暴走する恐れがあった。

 後は、近代化が進み実戦が不馴れな子供達も増えている為保護者からの強い要望もあった。

 この学校の特別クラスの教諭は妖怪か、人間でも力の強い退魔師だ。

 実戦を教わるには適任だったのだ。

 空色達の担任の先生は女性で、大妖怪大蛇。怒るととても怖い、それこそ蛇に睨まれた蛙状態になってしまう。まあ、疾風は何処吹く風だが。



「僕は模擬対戦……苦手だな……」


「んなこと言って、空色負けた事何て無いじゃないか!!」


 そうなのだ。力では相手が格上の筈なのに未だに一回も空色は負けた事がなかった。

 何故なら、鬼神である月に体術を、神狐である心に知力を叩き込まれており尚且つ、その二人の加護もこっそりと受けているから。と言っても空色は加護を受けている事を知らないが。

 並みの妖怪ならその加護を見た瞬間逃げ出してしまうくらいの効力があった。


「僕は闘いが苦手なんだ……疾風は戦っているときとても格好いいけどね」


 その言葉を聞いた疾風は途端に機嫌を良くしてしまう。空色の賛辞には感情の裏表がない、そのまま素直な感想だから、身体に染み込む要に言葉が浸透するのだ。


「大丈夫だ。俺が付いてるだろ!!空色には傷1つつけさせたりしないから安心しろ!!」


「はは、疾風がいるなら安心だけど、僕も自分の身は自分で守るから心配しないでね」


 まるで恋人同士の様な会話を担任の大蛇、もとい蛇邪姫先生と、対戦のときの補佐に入っている百目の心眼先生は生暖かかく見守っていた。


 裏山………山々だが、裏山には強大な結界が張られていて外からは中の様子が見れない。それと同じく中で使った力が外に漏れる事も無いため、ここでは思う存分力が使えるのだ。



 二人は実戦着に着替えると裏山に向かって歩き始めた。授業が行われるのは山の頂上。とても遠い。授業開始迄の猶予時間は一時間だ。

 これでも人間到着するにはとても辛い時間だが、そこは妖怪に合わせていた。これに合わせてられない様なら、そもそもこのクラスに来るべきではないから。


 疾風はその羽根で飛んでいく事も出来たが、空色に合わせて歩いてくれる。始めの内は授業開始に間に合わず疾風が空色を抱き抱えて飛んでくれたが、最近は間に合わなくなる事はなかった。


「………ねえ、疾風」


「どうした空色?」


「何か変な感じがしない?」


 クンクンと風を感じる素振りを見せる疾風だが、う~んと首をひねってしまう。


「俺は感じないけどなあ。でも空色がそう言うなら何か有るのかも知れないから、気をつけような!」


 疾風は空色の言うことなら無条件で信じてくれる。


「疾風が何も感じないなら、気のせいかも知れないね」


 空色も疾風を信頼しているため、二人は大したことはなだろうとその事は頭の片隅に追いやってしまった。


 この空色の勘が実は当たっていたなんて、教師の二人も気付かなかったのだ。

 気配を読むことに敏感な空色だからこそ感じる事が出来た違和感が、大事に発展するなんてこの時の無邪気な二人には思いもよらなかった。

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