第53話 そして一路、国境町ガンクツへ
その日の夕方、国境町ガンクツに着きました。門の前には数十人の人が並んでいるので、私たちも大人しく並んだのです。すっかり日が落ちたころ、やっと門を入ることができました。
「国境町ガンクツへようこそ。どのような御用でしょうか?」
「私、リリー商会のリリー・ミズホと申します。スローン王国での商いのため、この町からスローン王国へ通らせていただきたいのです。よろしくお願いいたします」
「うん。積み荷は何かな?ご禁制品はないだろうな?」
「ございません。ごらんの通り、イモやカボチャ・豆など野菜です」
「通ってよし」
今晩の宿は、”暁亭”。門から真っすぐ200Mほど先の右側にある。
「あった、あった」と、アランが指を差します。
ここは、魔女の家指定の宿です。
「ガラーン」と木戸を開けると、正面にカウンタ、左右にテーブルが少しありました。夕食のお客さんで埋まっています。
アランが、3つ巴の魔女紋を提示すると、店番の少女が目を見開き絶句して固まっています。
「おと・・ーさーん」
やっと、厨房らしき方へ大声をかけました。
「これはこれは、・・・魔女様のご関係で。すぐお部屋を用意させていただきます」
すごいですね。この部屋は魔女の家の関係者用として、常々確保されているそうです。だから、いつも空いています。ちょっと、もったいない気もしますが。
王都や主な町には魔女の別邸があって、こちらには執事やメイドなどが居て、常時受け入れ体制ができています。サナエさんや魔女の家のメイド、アオシ、モモコなど魔女関係者が利用しているそうです。
それ以外の、町や村には”魔女の家指定宿”があります。
夕食は、特に構えることも無いので、一階のお客さんたちと同じようにテーブルにつきました。お城に居る時は、こんな庶民の場所で食事なんて考えられませんでしたが。アンズちゃんも、なんとなく恥ずかしそうにしています。まあ、自国の王女様が2人もここに座っているなんて知られと大変な騒動になりますね。
まずは、サラダとスープが出てきました。
「パンにされますか? ご飯にされますか?」
そう、米のご飯が出てきたのです。まあ、お城では常食だったので不思議はありませんが。
風呂付の宿は快適でした。私とアンズちゃんとジジとモモコのフィオはこちらの部屋。アランとアオシのアントニオはあちらの部屋でね。と部屋割りをして就寝に入りました。
今日1日、新しいことばかりでうれしかった。




