シーン17
縁側に腰かけて月を見上げる永遠さんに『あの……ありがとうございました』と僕はお礼を言った。
「なに、偶々通りすがっただけの事さね?」
僕がコンビニでの事故を知ったのは夕方のニュースだった、そして被害者として出た名前に晴夜くんを見つけてゾッとなった。 でも、奇跡的に死者はおろか怪我人らしい怪我人もいないという事に、もしかしてと思って聞いてみた。
すると、やはり永遠さんが魔法で晴夜くんや他の人たちを守ったんだって。
アインさん曰く、本当は永遠さんみたいな人は軽々しく僕達の世界に干渉しちゃいけないんだって言っていた。 永遠さんもそれは十分に心得ているけど、目の前で人の命が失われようとするのは決して見捨てないらしい。
「それにしても、ちょっと様子を見ていたらこんな事になるとわねぇ……」
何でも散歩中に晴夜くんを見かけたのでコンビニの屋根の上でしばらく眺めてたらしい。 普通に考えたら誰かに見つかりそうなものだけど、永遠さんの場合は魔法で姿を消して……じゃなくて、そもそも永遠さん達は本来は普通の人間には視えないらしい。
それを魔法を使って視えるようにしているらしいので、今回の場合は魔法を解除したっていうのが正解だと思う。
こうして説明してると永遠さんなら僕に声を晴夜くんに聞こえるようにするなんて簡単そうじゃないって思えるかも知れないけど、そう簡単でもないみたいなんだ。
まず、永遠さんと僕とじゃそもそも存在の在り方自体が違うから、永遠さんやアインさんをみんなに視せている魔法は効果がない。 僕の姿や声を晴夜くんに認識させる魔法はあって試してくれたんだけど、どうも晴夜くんには効果がなかったみたい。
詳しい原因は分からないらしいんだけど、晴夜くんが心を閉ざしているのが原因じゃないかって言っていた。 おそらく無意識下で僕と会ったり、僕の声を聞くのを怖がっているんじゃないかって。
それが正しいかは分からないけど、とにかく晴夜くんの心に大きな変化がなければ永遠さんでもどうにも出来ないって事だね。
もちろん、春香ちゃんや立夏ちゃんなら効果はあると思う。 二人を信用してないわけじゃない……でもね、僕は僕の声と言葉で彼に伝えたいんだ。
我がままかも知れないと思う、だってその方が成功するかはともかく手っ取り早いと思うし……でも、永遠さんは僕のしたいようにして良いって言ってくれた。
だから僕はもう少し待ってみようと思う……。




