シーン14
――4月19日――
「……きろ……お~き~~ろ~~~!」
良く知っている男の子の声に呼ばれて、わたしは目を開いた。
「…………晴夜……君?」
少し呆れた様な顔でわたしを見下ろしているのは間違いなく晴夜君……なのはいいんだけど、ここはわたしの部屋で、わたしはベッドで寝ているんだけど……。
「……って!? ええっ!!? な、ななな何でっ!!!?」
思わず大声を上げて起き上がると、晴夜君も「わっ!?」と声を上げて身を引いた。
「……びっくりした……」
「びっくりしたのはこっちだよぉ! 何で晴夜君がわたしの部屋にいるのよ、しかもこんな夜中に……!?」
すると「夜中?」と怪訝な顔になった晴夜君は、次には溜息を吐くとどこかを指さして、「時間をよく見てみろよ……」と言ってきた。 言われてみると夜中にしては明るい気がした。
「……時間……?」
それは壁掛けの時計で、時間は九時三十分だった。 一瞬、遅刻?と思って焦ったけど今日は日曜日だったはず……ん? 日曜日……ていうと……。
「……ええ!? 嘘……もうこんな時間なのっ!!?」
ひょっとして目覚ましをセットするの忘れてたの……?
「そんな時間なんだよ……まったく……」
そうだった、今日は部活のメンバーでボードゲームを購入しにゲームショップに行く事になっていたんでした……。 つまり、晴夜君は寝坊したわたしを起こしに来てくれたわけなのね、でも……。
「……だからって……ノックくらいしてよぉ……」
「したぞ? でも全然反応がなかったからな。 悪いと思ったが入らせてもらった……」
そんなに熟睡してたんだと思うと同時に、ひょっとしたらわたしが熱とか出してると思って心配してくれたのかな?とも思ったりした。
「まあ、いいや。 とにかく下で立夏と待ってるから着替えて来いよ?」
「立夏ちゃん……?」
部活のメンバーで行くのだから立夏ちゃんがいるのはおかしくはないのだけれど、なら立夏ちゃんが起こしに来てくれれば良かったような……?
あ……もちろん晴夜君が眠っているわたしに変な事はするはずないのは分かってるけど……それでもね?
そう言ってみると、「あーまぁ……そうは思ったんだがな……」と頭を掻いた。
どうも、わたしのお母さんが晴夜君と立夏ちゃんに起こしてくるように頼んで、そうしたら「お姫様を起こすのは王子様の仕事だよ?」って一人で行かされたみたい。
お母さんもお母さんで「あーそうよねぇ~」って反対もしなかったとか……そりゃ晴夜君なら信用出来るだろうけど、わたしの気持ちにもなってよと思う。 変な寝顔とかしてて、それを見られていたら嫌だよ……恥ずかしい……。
「……とにかく、早くしてくれよ? 俺達だけが遅れて姉さんたちを待たせるの悪いからな?」
「……あ……うん」
晴夜君が退室して扉を閉めてもわたしはすぐには動けなかった……もちろん、それは彼が覗きをするとか考えていたわけじゃない……。
今までも晴夜君はわたしの寝顔とか何回も見てきてる、昔は一緒にお昼寝とかもしてたし、遊び疲れてわたしが眠っちゃった事とかもあったし……でも、寝顔を見られて恥ずかしいなんて思った事はなかった……。
もしも、起こしに来たのが立夏ちゃんだったと想像してみる……うん、確かに誰だとしても変な寝顔を見られるのは恥ずかしい……けれど、”嫌”じゃない気がする。
そう、今のわたしは彼に自分のみっともないところは見られたくないと思っているような気がした……幼なじみなのに、そんなところなんてお互いに見合ってきたはずなのに……。
「…………わたしは……」




