南部エリアへの道
南部エリア。
そこには一つの大都市と、一つの閉鎖的な町が存在するらしい。
大都市はトレイサー、閉鎖的な町は俺達にお馴染み、ホーガンという。
ホーガンは日本語が通じるという噂があり、ラッド達の出身地でもある。
鬼姉妹の元雇い主もここの出身という噂はある。
日本語話してたからね。
今回重要なのはトレイサーの方。
どうやら、ここでは水田が広がっているらしい。
日本では新潟とか秋田とか北の方が田んぼが多いイメージだが、南なんだな。
そしてつい先日、俺達と同様にトンネルを開通させたダンジョンマスターがいたらしい。
それもトレイサーとナフィ間である。
お陰で一部の商人がここを通過できるようになったとかなんとか。
一部というのはなぜかたまに襲われる事があるからだそう。
ナンデダロウネ、フシギダネ。
カロリーナがこの前ナフィに行った時、朝市にこのトレイサー出身の商人がいたそうだ。
そしてその時、お米を売っていたのを発見したので購入したのだそうだ。
ただしかなり値段が高く、あまり量も出回ってないそうだ。
ただでさえ高い値段に少し上乗せする形で、カロリーナは買い占めたそうだ。
まぁ、ダンジョン完成しちゃうとお金結構余るからね。
コータとメーシャが仲良く皿を洗っているのを見ながら、今後のことを考える。
お米かぁ、正直欲しい。
ホカホカのご飯はやはり日本人には欠かせないものだ。
そしてもう一つ気になる点。
その新しく生まれたダンジョンというのが気になる。
どうやら俺たち同様ダンジョンという風に宣伝はしてないようだ。
が、カロリーナ曰く『ダンジョン丸出し』だそうだ。
俺たちにはわかりやすいということか?
何となく想像できる気がする。
しかし俺達のダンジョンもこれ以上放置する訳には行かないよなぁ。
うーんどうしよう。
「行ってらっしゃいよ」
「え?」
「あんた、どうせ行くのか迷ってるんでしょ?あたしが留守番してるから行きなさいよ」
凄い良い言葉に聞こえる。
冷静に考えると壮大な使いっぱしりだが、それでも心が揺れる。
確かにその通りだ。
コータが英語を話せると発覚した今、俺とコータさえいれば正直なんとかなる。
偽りの帽子を借りるのが必須だが。
買ってきたいなぁ。
お米が大量に確保できれば、精神的な差が大きい。
カレー粉があれば鬼に金棒だ。
帰宅の準備を完了させる。
残ったカレー粉の半分は俺達が貰う事に。
単純に俺とハナの二人分消費するからだが。
せっかくなので、ダンジョンまでター君に送って貰う事になった。
ダンジョンに帰りながら、ずっとその事を考えていた。
ナフィはともかく、トレイサーまで向かうとかなりの時間がかかる
ダンジョンに到着したら、鬼姉妹を呼び寄せる。
そういえばカードを返してなかったな。返しておこう。
「……よし、明日の夜になったらトレイサーに向かう」
「分かった。へきへき!」
へきへきがそっと俺の近くに歩いてきた。
何だ?
「コータの乗り物兼荷物持ち兼監視役よ。連れてって」
「へきへきも一緒なの?わーい!」
コータが喜んでいる。
監視役というのは、コータはともかく出かけた先で不倫とかしないようにチェックということか?
ば、ばかだなー……す、するわけないだろうに……。
鬼姉妹から偽りの帽子を一つ借りる約束をする。
ハナのいないお使いか、ちょっと緊張するな。
やっぱり俺は英語ぐらい出来た方がいいんだろうか。
……無理だなぁ。




