決着
ツタ使いは、両手を触手に変えてうにょうにょとしている。
すげぇ、アレは男のロマンだ。
メーシャ、奴に捕まってみないか?あぁ、いいですかそうですか。
さて、正面から殴りあっても勝ち目は薄いだろう。
ということで俺が取り出すはもちろん朧月夜の奇弓だ。
上空から撃った時は見事に掴まれたが、この距離だとどうだ?
まずは普通に一発。
ツタ使いは余裕で掴んでくる。
メーシャは後ろで腕を組んで立っている。
では次に《ハードショット》で撃ってみる。
触手二本で掴むようにキャッチ。
すげー、結構重い矢なのに掴めるのか。
じゃあこれはどうだ?
《ロックオン》に掛け合わせるのを《ハードヒット》ではなく《衝撃波》にする。
矢としての威力は大きくなる反面、誘導が弱まり矢の速度も遅くなる。
流石にこれは受け止められないよなぁ?
ツタ使いは受け流すようにして矢をいなした。
地面に突き刺さった矢から、小さな衝撃波が発生する。
とはいえよく受け流せるなぁ、関心してしまう。
しかしこの矢も使えるといえば使えるなぁ。
《ショックショット》と呼ぼう。
ちなみにメーシャは後ろで腕を組んで立っている。
今度は《矢の雨》を装備してみる。
まずは普通に一射。
ツタ使いは6つの矢を全て触手で受け止めた。
何て器用な。
楽しくなってきた。
さぁて《ハードショット》だ。
流石に全部を受け止める事は難しかったらしい。
自分に命中しなさそうなものは無視で、残りを何とかキャッチしていた。
俺の後ろに立っていたメーシャがぽんっと煙になって消えた。
ツタ使いはあれ?みたいな反応をしている。
なーに心配することないって。
メーシャが分身でここに残ってるふりをしながら、こっそり赤い玉を破壊しに向かっただけで大したことないって。
本体となった方のメーシャはすでに赤い玉のすぐ前まで行ってるけど気にすんなって。
ツタ使いは焦ってメーシャの方へ向かおうとするが、俺が遠慮なく《ハードショット》の雨を降り注がせる。
焦っているツタ使いの背中に一本の矢が刺さり、変色が始まった。
ツタ使いはその部分を切り落とそうとするが、俺は遠慮なくもう一射。
回避しなければいけない。毒になった部分を切り落とさなければいけない。メーシャを止めないといけない。
混乱したツタ使いは、降り注ぐ矢を一身に受けてしまった。
己に毒が回るのを実感しながら、ツタ使いの目にはメーシャの《急所突き》で破壊される赤い玉が目に入った。
見るからに急所だよなぁ。アレ。




