よんじゅうさん
どうやら、姫は呆れているようだ。
「でも、王子もハーレムしてたんだから不公平じゃない?」
私だって目の保養がしたいのだ。
主張する私に、テアーは平然といった。
「あら? お兄様じゃ不満? 今なら、妹もつきますわよ」
美形は美形だけど、たまには違った顔を堪能するのもいいだろう。そのくらいは、自由なはずだ。
「飽きた」
率直に言うと、見慣れてしまったのだ。中身はロリコンだし。
「……」
「あら、喧嘩を売ってるのかしら?」
二つの冷気がぶつかりあって凍えそうになる。
二人の顔には、同じように恐ろしい笑みが浮かんでいた。
「いや……ちがっ……」
「ごめんなさいね、飽きるような顔で」
「君の美心眼に叶わなくてごめんね」
ひいいぃぃ! 欠片も思ってないような顔で、コッチによるなぁぁ!
背後に王子、前にテアー。異様に迫力のある組み合わせである。
「ちょっと個室に行きましょうか」
二人に引きずられ、休憩用に準備された部屋まで直行された。
すかさず、メイドがあらわれ着いてくる。
部屋まで来たところで解放されると、テアーが言った。
「賊は?」
メイドが方膝をつき、頭をたれる。
「とらえました。処分は、どのようにしましょう?」
「雇い主は?」
「まだです。今、吐かせています」
真剣な空気の中、テアーが舌打ちをする。
「少し泳がせてからが良かったかしら」
「ああ、接触してきた令嬢のどれかだろう」
王子が無表情に答えた。
「囮にハナを使ったのは、無駄でしたわね」
……!
あの毒のことか! 私を殺す気か!? ……あ、頭痛が。
血の気が引いて、頭を押さえる私に、さらにテアーが追い討ちをかける。
「今日は、もういいわよ。それに、もしかしたら……ハナは狙われなくなるかもしれないわね」
「今日は?」
私が聞き直すと、彼女はクスリと笑った。
「私達が何故、あなたを王族に迎え入れようとしたのか……おわかり?」
小さな頃から命を狙われ、他国との争いの種になっていた私を庇う理由?
…………発明品……かな?
「好きだからよ。どうしようもなく、甘くて王家には向かないけど、あなたは私の親友で、民にとっても大事な人だから守るの」
まるで聖母のようにテアーは微笑んだ。
「僕たちは、つねに命を狙われる。だからこそ、守る方法も知っている」
私が幼かった頃のことをいっているのだと、不思議と理解できた。
「逃げるなら今だよ」
王子が笑って言った。
私は無言で首を振る。
「では、行きましょうか?」
そう言って、手を差し出す彼に、ソッと手をかぶせた。
テアーがハンカチを取り出し、私の頬を優しくぬぐう。
「そんな顔をじゃ笑われますわよ」
三人しかいない室内で、私は久しぶりに泣いた。
幸せがこんなに間近にあったことを知らなかったのだ。
「さあ、みんながお待ちかねだ」
私達は三人は、同時にホールへ降り立った。
「君は知らないだろうけど、テアーに必死に頼まれて婚約者という形で君を引き取ったんだよ」
まあ、王家じゃないと守れないだろうなぁ。私、他国に狙われてたし。
「君は十五歳上だし、幼女趣味じゃないよね? ただ可愛いモノが好きなだけで、色々な言われるのは心外だな」
!
「そうですわよね、ハナも小さくて可愛らしいですし」
「ああ、一目で気に入ったよ」
「ベタぼれですわね……」
!!!
「恋敵は多いですわよ。毒ぐらい耐えなさい。私も耐えたのだから」
え。
「慣らしていけば平気だよ。毒見役なら僕がしようか?」
だ……「ダメ!」
「冗談だよ。君は面白いなぁ」
「……それじゃ、伝わりませんわよ。きちんと告白しましたの?」
「……伝わるだろう?」
「いいえ、全っ然。勝手に見合いを断ったことは、もう謝りましたの?」
「……」
「まあ! 今すぐ、プロポーズし直しなさいませ。結婚は、女子の夢らしいですわよ。乙女はみんなロマンチストですのに」
「……すまなかった。結婚してくれないだろうか?」
いやいや、言わされてる感がすごいよ!
本当に完結です。
最後までお読みいただいた方、評価をくださった方、お気に入りに登録してくれた方、ありがとうございました。感謝の言葉しかありません。
少し間を置いて、また次の作品を書いていこうと思います。勉強して、勇気を蓄えまた物語を書いていきます。作品を投稿するときは、文字が間違ってないかとか、不安感でいっぱいです。※文字間違え訂正しています。アドバイス大歓迎です。




