じゅう
私がこの世界で、初めて開発したのはペンと分度器だった。
パパに無理を言って作ってもらったのだ。
半円の分度器は、大小様々で自作である。これで、魔方陣が早く書けるが携帯出来るようにしたため、分度器が小さい。難しい魔方陣は手書きでいくしかないし、上級魔法は書く言葉が多いから、陣も大きくなる。
分度器は、外周の円を描くのにべんりだろう。初級魔法は、一重の円の中に文字を描くだけの単純なモノだ。昔と比べてだいぶ省略されたらしい。
陣は歪んでると発動しても、威力がおちたり暴発するみたいだ。まだ、失敗したことないから詳しくはわからない。
魔術を教えてくれる学科は、中等部からなので後三年、正確には三年と一ヶ月あとに選べるのだ。
それまでに、パパを説得出来れば良いのだけど、今は幼いのでダメっぽい。
何か言おうとすると「ダメだ」と、二言目には「おしとやかになりなさい」と言われるようになった。
そんなに言うなら、 しばらく『やまとなでしこ』でも目指してみるか。
ポイントは、摺り足。私がまだ、学生のころ茶道で習ったものである。
結果、足音がカーペットに吸収されて無音になった。これで、走ってもバレない。
次に、料理を習おうと厨房へ出かけた。
昔は苦手で、大抵コンビニめしだったのでちょうどいい。
簡単なモノということで、クッキーを作ったのだけど消しすみと化した。きっと才能が死んでる。
次は、掃除かな? と、いうところでメイドさんに止められた。
「お外で遊んで来て下さい」とのこと。ごめんなさい、仕事場荒らしちゃって。
じゃあ、ガーデニングでもしますか。
庭師さんのところへ突撃。
種をまいたり、水をやったり。家人が「お嬢様の服が汚れてしまいますっ」と焦っていたけど「自分で洗うから大丈夫ですよ」と、続行した。
結構、楽しくて『やまとなでしこ』もいいもんだ、と思っていたらママがやってきた。
「お母様─! 見てー!」
植え替えた薔薇をアピール。
ママは、信じられないスピードで歩いてきて「ハナ!」と叫んだ。悲鳴と怒りが混ざってた。
お怒りだ。
「庭師さんの邪魔しちゃダメじゃないの!」
ママの怒りはもっともなので、ぐうの音も出ない。
後から知ったのだけど、貴族のお嬢様は刺繍とお茶、ダンスやお洒落が趣味じゃないとダメらしい。私の行動は論外だったのだ。
走ってもダメだし、昼間っからゴロゴロしていてもダメらしい。お嬢様って、思ったよりしんどい。
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