第3話
深夜のテンションで書きました。
すいません・・・
やってしまった。
目覚めた瞬間、秋穂は頭を抱えたくなった。(現実は古賀の腕に抱き込まれていてできなかったのだが・・・)
勢いとは言え一番やってはいけないことをした。
体に残る倦怠感に秋穂は自己嫌悪に陥る。
隣で自分を抱き込むようにして眠る綺麗な男を見て、この事態が夢ではなく現実なのだと突きつけられ、深いため息が零れる。
古賀を起こさぬように腕を解き、床に落ちている服を拾いあげ身につけると、静かに部屋を出た。
まだ、夜の明け切らぬ空をすっきりとした心地で見上げている自分に秋穂自身驚いた。
会社に向かう前に家に戻り、シャワーと着替えを済ませる。
上司と顔を合わせるのは嫌だが、辞表を出しに会社には行かなくてはならない。
いつもよりも気合いを入れて化粧をし、秋穂は出社した。
「あきー」
「美麗」
朝からテンションの高い同僚が後ろから抱きついてきた。
「重たいです」
「もう、冷たいなぁ」
「冷たくて結構です」
「化粧変えた?」
鋭い観察眼に秘書という仕事にはありがちな職業病だな、と思う。
人の機微に気づくというのも秘書にとっては大事なスペックだからだ。
「濃いだけです」
「ふーん。まぁ、いいや。それより聞いた?今日、本社の専務が来るんだって」
「そうですか。相変わらず情報が早いですね。どこから漏れているのやら・・・私には関係ありませんが」
「興味ないの?ほんとに?専務かなり美形だって聞いたよ。だからかな、今日の受付嬢は化粧が濃いね」
「?興味があるのですか。意外ですね」
「どういう意味よ」
「そのままの意味ですが」
美麗には、営業部に将来有望な彼氏がおり、溺愛されているのを秋穂が知っている為にでた言葉だった。
「あいつのことと、イケメン見るのは話が別よ。綺麗なものは見ておかなくちゃ。眼福よ眼福」
「そうですか。私はこれから社長の所に所用があるので、失礼します」
鞄を置き、スケジュールなど必要な書類と共に辞表を持つと、秋穂は急いで社長室に向かう。
「失礼いたします」
扉をノックし、室内へ入る。
「おはよう、深山くん」
「おはようございます、社長」
すでに、仕事をこなしている社長に一日のスケジュールを伝える。
「・・・以上が、本日の予定となっております。変更などはございますか」
「本社の専務が二十分ほど後で来ることになった」
「承知いたしました」
「それ以外はない」
「・・・では、少し社長のお時間を私にいただけないでしょうか」
通常ならば、このようなことはしてはいけないのだが、背に腹は代えられない。
「・・・珍しいな、君がそんなことを言うなんて」
「これを」
秋穂が机の上に出したものに、社長は目を見張る。
次いで沈黙が社長室を包む。
「ふむ、理由を聞いても」
「一身上の都合です」
「・・・言い方を変えよう。これは須藤君に出すものではないかな?」
「須藤室長に出したら、なかったことにされそうでしたので」
「・・・」
社長のもの言いたげな視線を受け止めつつ、秋穂はそれ以上の事は口をつぐんだ。
「君は、とても優秀な秘書だ」
「ありがとうございます」
「・・・仮に君の身に仕事を辞めたい、と思うほどのことがあったとして、これを出した後どうするのかな?考えているのかい」
「・・・」
「これは私が預かる、という形にしたいところだが、その顔では君は納得しないだろう」
「申し訳ありません」
「そこで、ものは提案なんだが、深山くん。本社にいかないか」
「・・・」
辞表を出したにもかかわらず、本社行きを進められるのはどういった了見なのか分からず、秋穂は内心首を傾げる。
「僕も優秀な秘書は手放したくはないんだが、深山くんはここを辞めたいようだし・・・
本社の誰かさんは、君を自分の秘書にほしいと僕を脅すんだ」
困るよ、とわざとらしく社長は首をすくめる。
その視線が自分に向いていないことを不思議に思った秋穂は社長の視線を追うように扉の方へと視線を向けた。
ストーカー上司は、社長ではありません。
そして、なにやら古賀さんとつながりがあるようです。
彼らの関係は次話で分かります。
ついに、腹黒くんの乱入です。
秋穂ちゃん大丈夫かな???




